Door

ノベルバユーザー369032

Door2 アリス・アインシュタイン

彼女との出会いは全くの偶然だった。

「キミィ~、なんでアタシが狙ってる獲物倒しちゃうかな!」

銀髪でショートボブの女性は凄い剣幕で睨んでいる。
たまにこういう事もある。依頼を受けるのが自分1人とは限らないので獲物を奪い合ったりするし、その場で共闘し報酬を山分けしたりもする。
もちろん依頼を受ける前に何人その依頼を受けているのか報告されるのだが、今回は自分の他に1人だったので大丈夫だと思っていた。

「い、いやぁゴメンなさい。流石にヤバいかなと思って咄嗟に出たから、罠はってるのは気づかなかったもんで。」
「もぉ~、折角の罠が無駄になったじゃん!」

おそらく同じ年くらいだと思うけどいきなりタメ口とは。
しかし罠もタダではない為ここは穏便にいこう。

「まぁ落ち着いて下さい。今回は討伐報酬の方は譲りますから。」
「それはダメ!キミが倒したんだからアタシのプライドが許さないし、なんかお金でつられてる感じがするしねぇ。」

何だよ。どうすりゃいいんすかって言いかけた。なんか面倒な事になりそうな予感がしたところで彼女は、

「それにしてもキミ中々強いよね。メガホッグを一撃で倒すのはC級じゃ無理でしょ。キミもしかしてB級なの?」

確かにアイツを一撃で仕留めるのはC級ではまず無理だ。C級で倒すにはパーティーを組むか先程彼女がやろうとしたように罠にはめるしかない。
しかし彼女の読みは少しハズレている。

「いえ、一応~その…A級です。」
「……。」
「あのぉ…」
「ウソでしょ…」
「いやいやっ、ウソじゃないですよ。」
「えぇ~~~~~!」

まぁいつもこんな感じだからこの反応には慣れてるので、ハンターランクは聞かれた時以外は言わないようにしている。

「キ  キミ、ハ   ハンター歴は?」

めちゃくちゃ動揺してる。

「ちょうど2年になりますね。」
「に 2年!、たったの2年でA級ってキミ天才なの?」

けっして自分が天才だと思った事は一度もない。
なぜなら過去に天才と出会っているから。その人と比べたら自分は足元にも及ばないだろう。

「いや天才ではないです。天才ってゆうのはS級の人達の事だと思いますよ。」
「それはそうだけどキミも十分すごいけどなぁ。まぁそれは置いといて、キミアタシとパーティ組んでくれない?」

置いといて何故そんな話になるかね?
自分にはやりたい事があるので、

「いや、結構です。ソロでやるのが好きなもんで。」
「え~な~んでよ~、いーじゃん別にぃ。2人の方が効率も良くなって依頼も達成しやすいじゃん!」

彼女の言う事も一理あるがそれは同じランクで組んだ場合である。
明らかにさっきの言動からすると、自分より下のランクであろう彼女はキツいようだが、自分にとってはお荷物にしかならない。
そうなると少しの気の緩みで彼女を死なせる事になるかもしれない。
ハンターの世界は決して甘くはない…
ここは、はっきりと断ることにした。
 
「パーティを組むには最低でも、自分と同じランクじゃないと厳しいですね。」

そうゆうと彼女は急に真剣な顔になった。

「お願い…アタシはどうしても強くなりたい。だからあなたにハンターとしての戦い方を教えて欲しいの。」
 
彼女は何故そこまで強さを求めるのか気になった。

「何でそんなに強くなりたいんですか?」

彼女は少し言葉に詰まっていた。

「…倒したいモンスターがいるの…アタシから全てを奪った竜。千年竜…」
「それって3ヵ月前に出た竜ですね。」
「うん。」

千年竜。アルフレッドに古くからいる古代種と呼ばれるモンスター。伝承によると千年おきに目覚めてはその地に災いをもたらすと言われている。
3ヵ月前に観測されその際に、村を1つ焼き尽くした。
それがこの子の村って事は…

「あいつだけは絶対に許せない。でも今のアタシじゃ、どうあがいても倒せない。だから強くなりたい…。それにもう1つ理由があるの。アタシには探してる人がいて、その人はハンターなの。だからアタシもハンターをやって強くなれば、手がかりが掴めるかもしれない。それがハンターをやる2つの理由。」

その言葉には思いが詰まっている。
自分にはそう感じたので少し彼女に興味を持った。

「名前を聞いてもいいですか?」
「そういえばまだ名乗ってなかったね。
アタシはアリス。アリス・アインシュタインよ。あなたは?」
「……」
「おーい。もしもーし。ねぇ聞いてるの?!」

突然の事で全く話を聞いてなかった。
自分は彼女の事を知っていたから。

「あ、あぁすみません。何でしたっけ?」
「んもー、名前だよ。キミの名前を聞いてるの。」
「あぁそっか。自分は芦屋蓮です。」
「ふーん。んじゃあ向こうの世界の人なんだね。」
「そうです。」

アリスは驚く様子もなかった。今や自分の世界の人がいるのは珍しくない。

「探してる人って家族ですか?」
「うん。アタシのお姉ちゃんなんだ。小さい頃に両親は流行り病で死んじゃってね…それからはお姉ちゃんと2人だったけど、村のみんなが私達の生活を助けてくれたの。だけど千年竜に全て焼き尽くされた。その日からお姉ちゃんも行方が分からなくなって…でもお姉ちゃんは強いからきっと生きてると思うんだ。ハンターだし。」
「そうですか…」

自分には彼女とパーティを組む必要ができた。

「なるほど、分かりました。」
「じゃあパーティ組んでくれるの?」
「ただ条件がいくつかあります。」
「条件って、い いかがわしい事じゃないでしょうね?」

そんな感じで見られてたの!今まで?

「自分、そんな風に見えますか…」
「いや、嘘よ、う~そ。てへっ。」

この子腹立つ…まぁ今は置いといて、

「とりあえず条件はまず、戦う時は自分の指示に従ってもらうこと。後は自分が危険だと判断したらすぐさま逃げること。この2つは必ず守ってもらいたいです。」
「分かったわ。全然問題ない条件ね。それとキミ歳はいくつ?」
「17です、今年で18になりますけど。」
「なら、アタシからの条件。敬語はいらない。アタシも同じ年だからね。」
 
メガホッグを討伐した後は、時間が22時になるまでそこら辺にいる雑魚を倒しながらアリスに軽く戦闘の基本を教えることにした。
自分はいつも平日は17時~22時くらいまでハンターとして金を稼ぎ、土日は用事でもなければ朝から夜までこっちにいる。まさにバイトする高校生である。
そして22時になったところでアリスとのパーティ初日は終わった。

「明日もここに来ればいいの?」
「そうだね。学校が終わって飯食ったらすぐに行くよ。」
「分かったわ。なんか変な感じね。まるでデートの待ち合わせみたい。」
「ふぇ!」

思わず変な声が出た。いきなり何言いだすんだこの子は!
 
「いやいやっ!あ、遊びじゃあないんだから!」
「おやおやぁ、顔が紅いなぁ~。キミ中々面白いねぇ。」

完全に遊ばれている。手のひらでコロコロですか。

「ハンターとしては先輩なんだから、遊ばないでくれるかね。」

その手に関しては免疫を持ち合わせていない為上手い返しが思いつかない。
こんなとき健斗がいれば上手く返せるんだが。

「はいはい。じゃあまた明日ね、先生!」
「先生て、まぁいいや。また明日。」 

そしてドアに向かい家へと帰ることにした。

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