Door
Door1 2つの生活
2019年5月 (木曜日)
日本各地で異世界のドアが開いてから約2年が経った。
あれから自分は高校3年になり今は高校に向かう所だった。神住高校、自分が通う高校であり日本の神住市にある。家の近くには小さな公園がありそこで少し待つ事になる。2~3分待ってアクビをしていると顔なじみの女性が歩いてきた。
「おはよ~蓮くん。今日も眠そうだね~。」
「おはよ、昨日も稼いでたからな。」
彼女は瀬川愛花、同じ高校3年の同じクラス、性格はおっとりしているがやたら気遣い上手、また黒髪ストレートで前髪ぱっつんと正に和美人な感じで、その性格からクラスの癒し系である。高校で知り合い、今でも飯を食いに行ったりカラオケに行ったりする仲なのだが、2人ではなくもう1人、その男は2人から少し遅れてきた。
「おっす!何だよ今日も俺が最後か、今日は1番乗りだと思ったんだけどな~。これからは5時間位前に待つか。」
彼は桐生健斗、愛花と同じで、高校で仲良くなり今も同じクラスである。
性格は常に冗談を言ってはいるが、実は人情味に溢れていて友達が困っていたらすぐに手を差し伸べる様な、とてもいい奴なのだが、見た目が茶髪で目つきが悪いため初対面だとまず怖がられる。
「そうか。頑張ってな。」
「頑張ってね。」
「ほぉ、今日は突っ込まないパターンですか…そうですか。」
3人でたわいもない会話をしながら少し歩いて行くと、歩道で1人の女性が空を見上げながら待っていた。
彼女はマリーパンドラ、勿論日本人ではないが外国人という訳でもない。
マリーは3カ月ほど前に、向こうの世界のドアからこちらに来ていて、まさに自分と逆パターンなのだ。
綺麗なブロンドヘアをポニーテールにして纏めていて、性格は常に冷静を装っているが予想外の事が起きるとつい感情が表に出てしまう場面も多々あり、ついからかいたくなってしまう。また校内で1~2を争う程の美人である。
「おはようマリー。」
「おはようマリーちゃん。」
「おっすマリー。今日も美人してんなぁ。」
「お、おはよう。健斗は毎日そんなこと言って飽きないのか?」
毎日言われているのだがマリーは毎回照れている。
いつもこの4人で登校し授業を受けるのが、自分の学生としての日常である。
午後の授業が終わり、自分は早々と帰ろうとバックを持つと愛花が聞いてきた。
「今日も向こうに行くの?」
「あぁ。今日も稼がないとな。」
「ホントに無理はしちゃダメだからね。」
「分かってるって。お母さんみたいだな。」
そこで健斗が割ってはいる。
「ホントにお母さん心配なんだぞ。」
「いや誰だよ。」
「誰のお母さんなんだ?」
何故か本気で信じるマリー。
「マリー、いい加減嘘だと気付こうな」
「う 嘘だったのか。」
などとみんなで笑いながら帰宅した。
そして家に帰ると妹がソファーでダラけている。
やたらとスマホでアイドルの動画を見てニヤニヤしている。大丈夫かこいつ。
妹の芦屋凛、中学1年で人懐っこく、誰にでもあだ名っぽい感じで呼んだりとにかく人見知りしない。あと末っ子だからなのかよく甘えたりする。
「ただいまー。」
「おかえりー、あにぃお腹へった~。」
泣きそうな声で訴える凛。
「今作るから待ってろよ。」
家に帰るといつも母親は仕事でいないので、飯は自分で作る。
自分にはもう1人、芦屋花音という妹がいる。中学3年で凛とは真逆でしっかりしていて、誰にでも礼儀正しくバレー部の部長も務めている。
「花音は今日も部活?」
「そだよー、今日も先にご飯食べててだってさ。」
「そか、んじゃ先に頂くか。」
2人で飯を食べて自分は直ぐに出掛ける準備を済ませた。
「んじゃ凛、行って来るからな。」
「はぃよ。気を付けてね。」
素っ気ない言葉ではあるが、顔はいつも本気で心配してる顔だった。
「あぁ。」
そう言って頭を優しく撫でると、凛は照れながらも少しホッとした顔をした。
玄関のドアを開けるとその先にはあの濃い霧がかった所に繋がった。慣れた感じで先に進むと以前来た時とは違う場所に出た。そこは街の中で人で賑わっている。
ーーーーーーーーー
ここは、クインローズ城の城下町。
2年前にドアが現れてからこちらの世界の事はある程度解析され、まずこの異世界はアルフレッドという世界で文明はあまり発達しておらずボウガンや大砲などがあるくらいで近代的な物は無い。
そして研究の結果、地球からアルフレッドにドアを通して物を運ぶにはある種の制限が掛かる事が分かっており、着ている衣服やスマホなどはそのまま持っていけるのだが、銃火器といった近代的な兵器、ナイフや刀なども持ち込めない。
つまりは地球の武器は使えず、アルフレッドで武器を用意しなければならないのである。今の所その理由については分かっていないし、何故日本だけにドアが開くのかも分からずである。
そしてアルフレッドの経済の中心にあるのは、ハンターと呼ばれる仕事でモンスター退治を専門に行っており数十万人いる。
アルフレッドのモンスターからは地球にはない貴重な鉱石や様々な素材などが採れ、ソレを元に金に換えたりハンターの武器や防具にしたりするのである。
自分もそのハンターの1人であり城下町の目的地に向かって行た。
ハンターズギルドと呼ばれる場所で城下町の3分の1を占める大きさの建物であり、モンスターの出現場所や緊急時の対応など、ハンター達の仕事のサポートをしてくれていて、装備もココに預けている。
「ロゼッタさん、こんばんは。」
ギルドのカウンターにいる1人の女性に声を掛けた。ロゼッタ・コンバース、このギルドの職員で受け付けをしている。
「こんばんは、装備と依頼だね。」
「はい。よろしくお願いします。」
「今日もC級のでいいんだよね?」
「はい、それで大丈夫です。」
ハンターにはランクがありD~Sランクまでの5段階に別れていて、皆大体CかBでありAランクで数百人程しかおらず、Sランクともなるとアルフレッドでも数人しかいない、伝説級のレベルである。
「んじゃあ行って来ます。」
「気を付けてね。」
「はい!」
そして城下町の外に出てハンターの仕事を開始した。
今日の仕事は城下町の西にある森にいるメガホッグと呼ばれるデカいイノシシ狩りである。
依頼にもランクがあり今回はC級の依頼。
森に行くまでにも雑魚モンスターがいるので、ソレを狩りながら進んで行く。スライムやメガトード(でっかいカエル)など種類は様々である。
扱う武器は2本の剣、いわゆる双剣で軽やかな身のこなしで舞うようにモンスターを切り刻んでいく。
森に進むとどうやら誰かが戦闘中のようだった。ミスって仕掛けた罠が残されている。
慎重に森の奥に歩いて行くとお目当のモンスターが何かを鋭く睨んでいる。
視線の先には膝をついて短剣を構える女性の姿があり息が上がっていた。
流石に短剣は分が悪く、メガホッグは長く生えた牙と額のツノがあり、物凄い突進を繰り出してきて、そのまま突かれたらひとたまりもない。あれは完全に突進する気だ。
突進すると同時に、自分も飛び出し彼女の前に出ようとした時に気づいた。彼女の前には罠が仕掛けてあってコレが狙いだった!
咄嗟に罠の前で踏み止まり、そこから直角に曲がりメガホッグの右胴体を流れる様に双剣で斬りつける。骨まで断つ鈍い感触があり、メガホッグは左に崩れ思い切り倒れ込んだ。
深く斬りつけたので一撃で仕留める事が出来た。
「いやぁ~危なかったぁ。」
「ん~なぁにしてんのよ!キミぃーー!」
「へっ?」
日本各地で異世界のドアが開いてから約2年が経った。
あれから自分は高校3年になり今は高校に向かう所だった。神住高校、自分が通う高校であり日本の神住市にある。家の近くには小さな公園がありそこで少し待つ事になる。2~3分待ってアクビをしていると顔なじみの女性が歩いてきた。
「おはよ~蓮くん。今日も眠そうだね~。」
「おはよ、昨日も稼いでたからな。」
彼女は瀬川愛花、同じ高校3年の同じクラス、性格はおっとりしているがやたら気遣い上手、また黒髪ストレートで前髪ぱっつんと正に和美人な感じで、その性格からクラスの癒し系である。高校で知り合い、今でも飯を食いに行ったりカラオケに行ったりする仲なのだが、2人ではなくもう1人、その男は2人から少し遅れてきた。
「おっす!何だよ今日も俺が最後か、今日は1番乗りだと思ったんだけどな~。これからは5時間位前に待つか。」
彼は桐生健斗、愛花と同じで、高校で仲良くなり今も同じクラスである。
性格は常に冗談を言ってはいるが、実は人情味に溢れていて友達が困っていたらすぐに手を差し伸べる様な、とてもいい奴なのだが、見た目が茶髪で目つきが悪いため初対面だとまず怖がられる。
「そうか。頑張ってな。」
「頑張ってね。」
「ほぉ、今日は突っ込まないパターンですか…そうですか。」
3人でたわいもない会話をしながら少し歩いて行くと、歩道で1人の女性が空を見上げながら待っていた。
彼女はマリーパンドラ、勿論日本人ではないが外国人という訳でもない。
マリーは3カ月ほど前に、向こうの世界のドアからこちらに来ていて、まさに自分と逆パターンなのだ。
綺麗なブロンドヘアをポニーテールにして纏めていて、性格は常に冷静を装っているが予想外の事が起きるとつい感情が表に出てしまう場面も多々あり、ついからかいたくなってしまう。また校内で1~2を争う程の美人である。
「おはようマリー。」
「おはようマリーちゃん。」
「おっすマリー。今日も美人してんなぁ。」
「お、おはよう。健斗は毎日そんなこと言って飽きないのか?」
毎日言われているのだがマリーは毎回照れている。
いつもこの4人で登校し授業を受けるのが、自分の学生としての日常である。
午後の授業が終わり、自分は早々と帰ろうとバックを持つと愛花が聞いてきた。
「今日も向こうに行くの?」
「あぁ。今日も稼がないとな。」
「ホントに無理はしちゃダメだからね。」
「分かってるって。お母さんみたいだな。」
そこで健斗が割ってはいる。
「ホントにお母さん心配なんだぞ。」
「いや誰だよ。」
「誰のお母さんなんだ?」
何故か本気で信じるマリー。
「マリー、いい加減嘘だと気付こうな」
「う 嘘だったのか。」
などとみんなで笑いながら帰宅した。
そして家に帰ると妹がソファーでダラけている。
やたらとスマホでアイドルの動画を見てニヤニヤしている。大丈夫かこいつ。
妹の芦屋凛、中学1年で人懐っこく、誰にでもあだ名っぽい感じで呼んだりとにかく人見知りしない。あと末っ子だからなのかよく甘えたりする。
「ただいまー。」
「おかえりー、あにぃお腹へった~。」
泣きそうな声で訴える凛。
「今作るから待ってろよ。」
家に帰るといつも母親は仕事でいないので、飯は自分で作る。
自分にはもう1人、芦屋花音という妹がいる。中学3年で凛とは真逆でしっかりしていて、誰にでも礼儀正しくバレー部の部長も務めている。
「花音は今日も部活?」
「そだよー、今日も先にご飯食べててだってさ。」
「そか、んじゃ先に頂くか。」
2人で飯を食べて自分は直ぐに出掛ける準備を済ませた。
「んじゃ凛、行って来るからな。」
「はぃよ。気を付けてね。」
素っ気ない言葉ではあるが、顔はいつも本気で心配してる顔だった。
「あぁ。」
そう言って頭を優しく撫でると、凛は照れながらも少しホッとした顔をした。
玄関のドアを開けるとその先にはあの濃い霧がかった所に繋がった。慣れた感じで先に進むと以前来た時とは違う場所に出た。そこは街の中で人で賑わっている。
ーーーーーーーーー
ここは、クインローズ城の城下町。
2年前にドアが現れてからこちらの世界の事はある程度解析され、まずこの異世界はアルフレッドという世界で文明はあまり発達しておらずボウガンや大砲などがあるくらいで近代的な物は無い。
そして研究の結果、地球からアルフレッドにドアを通して物を運ぶにはある種の制限が掛かる事が分かっており、着ている衣服やスマホなどはそのまま持っていけるのだが、銃火器といった近代的な兵器、ナイフや刀なども持ち込めない。
つまりは地球の武器は使えず、アルフレッドで武器を用意しなければならないのである。今の所その理由については分かっていないし、何故日本だけにドアが開くのかも分からずである。
そしてアルフレッドの経済の中心にあるのは、ハンターと呼ばれる仕事でモンスター退治を専門に行っており数十万人いる。
アルフレッドのモンスターからは地球にはない貴重な鉱石や様々な素材などが採れ、ソレを元に金に換えたりハンターの武器や防具にしたりするのである。
自分もそのハンターの1人であり城下町の目的地に向かって行た。
ハンターズギルドと呼ばれる場所で城下町の3分の1を占める大きさの建物であり、モンスターの出現場所や緊急時の対応など、ハンター達の仕事のサポートをしてくれていて、装備もココに預けている。
「ロゼッタさん、こんばんは。」
ギルドのカウンターにいる1人の女性に声を掛けた。ロゼッタ・コンバース、このギルドの職員で受け付けをしている。
「こんばんは、装備と依頼だね。」
「はい。よろしくお願いします。」
「今日もC級のでいいんだよね?」
「はい、それで大丈夫です。」
ハンターにはランクがありD~Sランクまでの5段階に別れていて、皆大体CかBでありAランクで数百人程しかおらず、Sランクともなるとアルフレッドでも数人しかいない、伝説級のレベルである。
「んじゃあ行って来ます。」
「気を付けてね。」
「はい!」
そして城下町の外に出てハンターの仕事を開始した。
今日の仕事は城下町の西にある森にいるメガホッグと呼ばれるデカいイノシシ狩りである。
依頼にもランクがあり今回はC級の依頼。
森に行くまでにも雑魚モンスターがいるので、ソレを狩りながら進んで行く。スライムやメガトード(でっかいカエル)など種類は様々である。
扱う武器は2本の剣、いわゆる双剣で軽やかな身のこなしで舞うようにモンスターを切り刻んでいく。
森に進むとどうやら誰かが戦闘中のようだった。ミスって仕掛けた罠が残されている。
慎重に森の奥に歩いて行くとお目当のモンスターが何かを鋭く睨んでいる。
視線の先には膝をついて短剣を構える女性の姿があり息が上がっていた。
流石に短剣は分が悪く、メガホッグは長く生えた牙と額のツノがあり、物凄い突進を繰り出してきて、そのまま突かれたらひとたまりもない。あれは完全に突進する気だ。
突進すると同時に、自分も飛び出し彼女の前に出ようとした時に気づいた。彼女の前には罠が仕掛けてあってコレが狙いだった!
咄嗟に罠の前で踏み止まり、そこから直角に曲がりメガホッグの右胴体を流れる様に双剣で斬りつける。骨まで断つ鈍い感触があり、メガホッグは左に崩れ思い切り倒れ込んだ。
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