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冷寧である俺は戦争に行かないし、救護手当てもしない。~完結済み~

青篝

無力である俺は

ファミレスでの腹ごしらえを終え、
昴達はカラオケ店に向かう。
西難が落ち着いて
イラストが書ける場所であり、
気分転換で歌も歌える。
さらに、歌っている際に流れる
映像を参考にすることもできるらしい。

「ねぇ、昴。
私のこと、あまり気にしないでね」

その道すがら、
昴の耳元で西難が囁く。
西難が何かを隠していることを
昴が気付いてしまったことに
対しての言葉だろう。

「安心しろ。
別に深追いする気はない」

しかし、昴は西難を追及しない。
興味がある訳でもなければ、
知ってどうこうする気もない。
それに、自分のヤミを誰かに
勘繰られるのは誰でも嫌いだ。
昴も、嫌いだ。

「そっか。昴がそう言うなら
きっと大丈夫だよね」

そう言って、西難は
あどけない笑顔を昴に向ける。
その笑顔が、どこか無理していて、
どこか期待しているような笑顔で、
昴は悔しかった。

「さて!私も頑張りますか!
皆は好きに歌っててくれていいよ。
むしろ歌っててくれた方が
気分が乗っていいかも」

四人でチェックインを済ませ、
昴達は部屋へとやってきた。
西難は持参していた
タブレット端末と専用のペンを
ジャジャーンと取り出し、
明るく呼びかける。

「俺も今日はパス。
最近忙しくて学校の宿題とか
全然やってないから
そろそろ勉強しないと」

と言って南関も
カバンからノートやら
問題集を広げて勉強を始めた。
昴と東真は、二人で歌うか、
と顔を見合わせる。

「そういえば、東真はさっき
散々歌ってんだから、
カラオケ来てもすぐ飽きるだろ」

「ううん。全然大丈夫だよ。
色んな曲歌えるし、
歌うのが好きだから」

昴の素朴な疑問も、
元気な東真は見事解決。
それから断念したように
昴は自分の歌いたい曲を送信する。
東真は当然のことながら、
昴も中々歌が上手である。
何を歌っても85点は下らない。
東真と昴は、時にデュエットしたり、
時に本気で点数を取りにいったり、
カラオケを十分に満喫していた。
満喫したはずなのだが、
昴の心はどこか満たされずにいた。
それがなぜかも分かっていたが、
どうすることも出来ず、
帰り道にゲームセンターの
パンチングマシンに
思い切り拳を叩きつけた。



本格的に夏らしい暑さが参り、
いよいよ夏休みが始まろうかとする
この時期に、昴達は
当然の如く桝北家に集まった。

「最終チェックを頼む」

昴達の今の全力が詰まった
コラボ動画の最終見直しを
行うためである。
南関がタブレットをテーブルに置き、
皆がゴクリと唾を飲む。
南関は一人一人の顔を確認してから
出来上がった動画を再生した。
スタジオで聞いた
東真の迫力ある歌声は、
動画であってもその威力を
十二分に発揮しており、
西難の描いた東真のイラストは
本人の面影はあっても
そっくりではないという
絶妙なセンスを見せていた。
南関の動画編集力も大したもので、
昴の書いた歌詩が
誇張されるでなく
左右にひっそりと並べられ、
メッセージ性を感じられる。

「どうだ?いい感じだろ?」

時間にして5分もかからず。
それでも昴達は
1本の映画でも見たような
満足感を覚えていた。

「うん!すごくいいよ!」

「私もいいと思う」

「まぁ、今の俺達にとっては
最高の出来といってもいいな」

三者三様、各々の反応を見せたが、
どれも肯定的なものであり、
南関も肩の荷が降りたようだ。
それから昴達は
しばらくの間談笑して
夕方には解散した。
その日のうちに東真の
動画チャンネルにて
動画が公開され、
瞬く間に再生回数が伸びていった。
昴は寝る前にもう一度、
公開された動画を見てから
疲れと安心感に囚われ、
久々に熟睡することができた。



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あとがき


どうも、夢八です。
読んで頂き、感謝します。


中途半端と思われるかもしれませんが、
この作品は今話をもって
終了とされていただきます。
理由についてはノーコメントで。

この作品はこれで終わりですが、
また別の作品を
投稿しようと思っています。
ここまでのご愛読、
ありがとうございました。


読者の皆様のご健勝を祈って、
それでは、アディオス!

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