冷寧である俺は戦争に行かないし、救護手当てもしない。~完結済み~
押し掛けられた俺は
「もうこんな時間だと…」
時刻は午前11時30分を過ぎた。
現在、昴の家のリビングには、
昴と南関、西難、東雲小町がいて、
皆でトランプをしている。
テーブルの上には
お菓子のゴミが散乱し、
西難に関しては口の周りに
お菓子のカスをつけている。
なぜこうなってしまったのか、
時はこの日の朝に遡る――
今日は日曜日で、学校は休み。
妹の葉月は練習試合ということで
朝早くから家を出ていたが、
昼には帰ってくるらしい。
しかし、昴は部活はなかったので、
今日は一日中執筆を
しようと思っていた、
その矢先のことである。
「たっだいまー!」
「昴ーお客様だぞー」
「お、お邪魔します」
ぞろぞろと西難、南関、
そして東雲小町が入ってきた。
あまりに突然のことで
昴は一瞬正気を失ったが、
頭の回転の速さは一流である。
「おい、西難。
ここはお前の家じゃないから
さっさと帰りなさい。
南関、客を連れてきただけなら
もう用はないよな、帰りなさい。
東雲、なぜお前がここにいる。
不法侵入で訴えるぞ、帰れ。」
昴が3人に対して
帰れと言うその様子は、
まさにマシンガンだった。
「まぁまぁ、そう言わずに。
この子ずっと家の前にいたらしいぞ?
こんな可愛い女の子を
外で待たせてるなんて、
お前は本当に人間か?」
2分程あーだこーだと
言い争っていたが、
昴は、何を言っても無駄だと、
そう確信し、諦めて彼らに
お菓子を提供するのだった。
そして、彼らが昴の家に
押し寄せてから約1時間。
この話の冒頭に至るのである。
「なぁ、お前ら。
今日は一体、何しに来たのか
いい加減聞いていいか?」
ここに来ていよいよ、
昴が彼らに問い掛ける。
この答え次第では
昴は彼らを追い出す気でいた。
「はーい、私は今日親いないから
ご馳走になりにきましたー!」
そんなこと元気に言われても…
「俺も愛花と同じ理由だ。
何だかんだ言って昴はいい奴だから、
今日も集ってやろうと思って」
よし、決めた。
こいつの飯には俺の鼻くそを
贅沢に入れてやろう。
「私は、例の件で…来たんですけど…」
例の件?なんだそれ。
「待て東雲、例の件って何だ?」
言った瞬間、昴は思い出した。
先日、東雲と話をした際、
後半の記憶は昴にはほぼ無い。
しかし、何となく東雲の話を
承諾してしまったような、
そんな気がしていた。
「もちろん、コラボの件ですよ。
それから、『東雲小町』は
芸名で私の名前は東真星奈です。
あまり芸名の方で呼ばないで下さい」
東真星奈。東真、星奈。
どこかでその名前を
聞いたことがあるような。
昴は人の名前を覚えることを
特技の一つとしている。
いや、違うか。
一度声を掛けられただけで
次はいつ声を掛けてくるだろうと
ドキドキしてしまうからだ。
これは長年の陰キャ生活の代償である。
「ん?今『東雲小町』って言ったか?
昴がずっと『東雲』『東雲』って
呼んでるからまさかと思っていたが、
君があの『東雲小町』なのか?」
昴が落胆しながらも、
東雲の――いや、東真のコラボの話を
始めようとしたその時、
南関は初めて『桝北素晴』に
会った時と同じ目で
東真に詰め寄っていた。
「し、『東雲小町』!?
え、嘘!?本当に!?」
南関でこの様子なら、
西難も相変わらずである。
二人とも、あの時とように
瞳を輝かせ、東真の手を取る。
昴はその光景を見て
思い出に浸りつつも、
少しだけ寂しく感じていた。
「そ、そうですけど…?」
その後の二人は、昴の時と同じか、
あるいはそれ以上の
盛り上がりを見せていた。
「くそ、普段は二人分だけなのに、
何で五人分も作らないといけないんだ…
しかも今日は部活なかったから
ずっと執筆しようと思ってたのに…」
時計の短針が天井を通り過ぎた頃、
昴はキッチンで一人愚痴りながら
五人分の昼食を作っていた。
まさか突然五人分の食事を
作ることになるとは思っても
みなかったことだが、
さすがは中学生の頃から
料理をしているだけのことはある。
「残念でしたー!
みなさーん、和斗がババ持ってまーす!」
「くそ…やられた」
家にある食材を使い、
主菜から副菜まで、
タンパク質からビタミンまで、
栄養も見た目のバランスも
整った料理を作っていた。
「お前らー、もうすぐ出来るから
テーブル片付けとけよー」
「「「はーい」」」
味見をして味を調整した後、
五人分の器に取り分けて完成だ。
「「「いただきまーす」」」
五人で手を合わせ、
賑やかな食卓を迎え入れる。
しかしキッチンのテーブルは
四人掛けのため、
今日はリビングのテーブルに
膳を並べて皆床に座っている。
「うん、相変わらず美味い。
是非俺ん家の専属コックに欲しいな」
「ダメだよ、和斗。
昴は私のお嫁さんになるんだから」
「二人共!お兄は葉月のモノですよ!
誰にも渡しませんっ!
お兄のドーテーは葉月が守ります!」
「お前ら、さっさと飯を食え。
食事中に騒ぐんじゃない。
それから葉月、お前は頬っぺたで
ご飯を食べるのか?」
と、昴は葉月の頬についているご飯粒を
手で取ってそのまま自分の口へ。
エヘヘッと笑う葉月に
昴は悪態とため息をつく。
しかしそうしながら昴は、
心の底で密かに喜びを感じていた。
隣りに座っている葉月が、
昴以外の人と笑顔でご飯を食べている。
この場の雰囲気が明るいのも
その一つの要因かもしれないが、
何にしてもとても喜ばしい。
そして東真はというと、
一人で黙々と食べいると思いきや、
一口一口じっくりと舌を鳴らしながら
幸せそうに噛み締めていた。
時刻は午前11時30分を過ぎた。
現在、昴の家のリビングには、
昴と南関、西難、東雲小町がいて、
皆でトランプをしている。
テーブルの上には
お菓子のゴミが散乱し、
西難に関しては口の周りに
お菓子のカスをつけている。
なぜこうなってしまったのか、
時はこの日の朝に遡る――
今日は日曜日で、学校は休み。
妹の葉月は練習試合ということで
朝早くから家を出ていたが、
昼には帰ってくるらしい。
しかし、昴は部活はなかったので、
今日は一日中執筆を
しようと思っていた、
その矢先のことである。
「たっだいまー!」
「昴ーお客様だぞー」
「お、お邪魔します」
ぞろぞろと西難、南関、
そして東雲小町が入ってきた。
あまりに突然のことで
昴は一瞬正気を失ったが、
頭の回転の速さは一流である。
「おい、西難。
ここはお前の家じゃないから
さっさと帰りなさい。
南関、客を連れてきただけなら
もう用はないよな、帰りなさい。
東雲、なぜお前がここにいる。
不法侵入で訴えるぞ、帰れ。」
昴が3人に対して
帰れと言うその様子は、
まさにマシンガンだった。
「まぁまぁ、そう言わずに。
この子ずっと家の前にいたらしいぞ?
こんな可愛い女の子を
外で待たせてるなんて、
お前は本当に人間か?」
2分程あーだこーだと
言い争っていたが、
昴は、何を言っても無駄だと、
そう確信し、諦めて彼らに
お菓子を提供するのだった。
そして、彼らが昴の家に
押し寄せてから約1時間。
この話の冒頭に至るのである。
「なぁ、お前ら。
今日は一体、何しに来たのか
いい加減聞いていいか?」
ここに来ていよいよ、
昴が彼らに問い掛ける。
この答え次第では
昴は彼らを追い出す気でいた。
「はーい、私は今日親いないから
ご馳走になりにきましたー!」
そんなこと元気に言われても…
「俺も愛花と同じ理由だ。
何だかんだ言って昴はいい奴だから、
今日も集ってやろうと思って」
よし、決めた。
こいつの飯には俺の鼻くそを
贅沢に入れてやろう。
「私は、例の件で…来たんですけど…」
例の件?なんだそれ。
「待て東雲、例の件って何だ?」
言った瞬間、昴は思い出した。
先日、東雲と話をした際、
後半の記憶は昴にはほぼ無い。
しかし、何となく東雲の話を
承諾してしまったような、
そんな気がしていた。
「もちろん、コラボの件ですよ。
それから、『東雲小町』は
芸名で私の名前は東真星奈です。
あまり芸名の方で呼ばないで下さい」
東真星奈。東真、星奈。
どこかでその名前を
聞いたことがあるような。
昴は人の名前を覚えることを
特技の一つとしている。
いや、違うか。
一度声を掛けられただけで
次はいつ声を掛けてくるだろうと
ドキドキしてしまうからだ。
これは長年の陰キャ生活の代償である。
「ん?今『東雲小町』って言ったか?
昴がずっと『東雲』『東雲』って
呼んでるからまさかと思っていたが、
君があの『東雲小町』なのか?」
昴が落胆しながらも、
東雲の――いや、東真のコラボの話を
始めようとしたその時、
南関は初めて『桝北素晴』に
会った時と同じ目で
東真に詰め寄っていた。
「し、『東雲小町』!?
え、嘘!?本当に!?」
南関でこの様子なら、
西難も相変わらずである。
二人とも、あの時とように
瞳を輝かせ、東真の手を取る。
昴はその光景を見て
思い出に浸りつつも、
少しだけ寂しく感じていた。
「そ、そうですけど…?」
その後の二人は、昴の時と同じか、
あるいはそれ以上の
盛り上がりを見せていた。
「くそ、普段は二人分だけなのに、
何で五人分も作らないといけないんだ…
しかも今日は部活なかったから
ずっと執筆しようと思ってたのに…」
時計の短針が天井を通り過ぎた頃、
昴はキッチンで一人愚痴りながら
五人分の昼食を作っていた。
まさか突然五人分の食事を
作ることになるとは思っても
みなかったことだが、
さすがは中学生の頃から
料理をしているだけのことはある。
「残念でしたー!
みなさーん、和斗がババ持ってまーす!」
「くそ…やられた」
家にある食材を使い、
主菜から副菜まで、
タンパク質からビタミンまで、
栄養も見た目のバランスも
整った料理を作っていた。
「お前らー、もうすぐ出来るから
テーブル片付けとけよー」
「「「はーい」」」
味見をして味を調整した後、
五人分の器に取り分けて完成だ。
「「「いただきまーす」」」
五人で手を合わせ、
賑やかな食卓を迎え入れる。
しかしキッチンのテーブルは
四人掛けのため、
今日はリビングのテーブルに
膳を並べて皆床に座っている。
「うん、相変わらず美味い。
是非俺ん家の専属コックに欲しいな」
「ダメだよ、和斗。
昴は私のお嫁さんになるんだから」
「二人共!お兄は葉月のモノですよ!
誰にも渡しませんっ!
お兄のドーテーは葉月が守ります!」
「お前ら、さっさと飯を食え。
食事中に騒ぐんじゃない。
それから葉月、お前は頬っぺたで
ご飯を食べるのか?」
と、昴は葉月の頬についているご飯粒を
手で取ってそのまま自分の口へ。
エヘヘッと笑う葉月に
昴は悪態とため息をつく。
しかしそうしながら昴は、
心の底で密かに喜びを感じていた。
隣りに座っている葉月が、
昴以外の人と笑顔でご飯を食べている。
この場の雰囲気が明るいのも
その一つの要因かもしれないが、
何にしてもとても喜ばしい。
そして東真はというと、
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