冷寧である俺は戦争に行かないし、救護手当てもしない。~完結済み~
期待された俺は
「そう、だが…」
なぜ二人に『北道素晴』の正体が
昴だとバレているのか、
と一旦思ったが、
犯人は朱空しかいないので
後で朱空を問いただすと
朱空には朱空なりの
事情があったらしい。
朱空が曲を制作する際、
作詞しかできなかったため
ネットで知り合った
『南獄霧幻』に作曲を、
『西方オリオン』に
動画の背景となるイラストと
動画サイトのサムネイルを
してくれるように依頼していた。
ある時三人は同い年で、
しかも学校も岡山県内だと
いうことを知り、三人で会った。
そこで朱空があの『北道素晴』と
友達だという話をすると
二人は食いついた。
更に、是非会わせてくれと
二人は朱空に懇願した。
朱空は最初、あの人は
そういうの好きじゃないと思う、
と言っていたのだが
会わせてくれないと
お前とは縁を切ると言われ、
渋々昴に会わせた、
ということらしい。
「えぇっ!本当だって!
あのっ桝北さんっ!
いやっ、北道さんっ!
あ、握手して下さい!」
「北道さんっ、俺も是非!」
無論、そんなことまだ知らない昴は、
昴が『北道素晴』だと
認めたその瞬間に
血相を変えて握手を
求める二人の気迫に負け、
西難に右手を、
南関に左手を差し出して
両手に人の温もりを感じた。
南関に至っては、
鋭い眼光を大きく見開いて
瞳をキラキラさせている。
南関もこの反応って…
人は見かけじゃないな。
と昴は人を見かけで判断するのは
サングラスをした人だけに
するように心に決めた。
「まぁまぁ二人とも、
昴も困ってるから。
そういうのは置いといて、
例のあれ、早く始めよう」
例のあれと聞いて、
昴はピンとこない。
昴はそんな話聞いてないのである。
「あっ、そうだったね。
それじゃあ始めましょ」
昴の右手を名残惜しそうに
離す西難は、
昴に妹の葉月を連想させた。
「俺としたことが…。
つい舞い上がってしまった。
さぁ気を取り直して
本題を始めよう」
南関もきちんと姿勢を正し、
メガネを人差し指で直す。
「待ってくれ、
何の話をしてるんだ?
俺は何も聞いてないぞ」
「「え?」」
「え?」
昴の発言を聞いて、
西難と南関は間抜けな声を出す。
更にそれを聞いた昴が
間抜けな声を出す。
「おい、楽。
もう話してあるんじゃないのか?」
南関があの顔に
更に睨みを効かせ、
ドスの効いた声で
朱空へ問いかける。
すると、朱空の頭上に
ギクッと文字が浮かんだ。
「え、えっとね…。
そうだ!忘れてた!
これからしようと思ってたんだ!
ごめんね。あはは、ははは…」
朱空はどうにかして
笑いで誤魔化そうとしているが、
それを南関が許すはずなかった。
『僕は悪い子です』と書いた紙を
朱空の首にぶら下げて、
部屋の隅っこに犬のように
一人ポツンと座らせた。
「桝北さん、申し訳ない。
あの天然ドアホのことだ。
桝北さんに何の説明もしてない、
なんて展開があっても
おかしくないと
予測できたはずだった。
それなのに桝北さんに
迷惑を掛けてしまった。
本当に申し訳ない」
南関は言葉の最中、
昴に対して申し訳なさそうに
二度頭を下げた。
西難も南関に合わせて
昴に頭を下げてきた。
「いやいや、よしてくれ。
君ら二人が悪い訳じゃないだろう?」
無論、西難と南関には
全くもって非はないため、
昴は二人が頭を下げたことに
弁明を評した。
「まぁ、そんなことは
一旦置いておいてだな。
今日の本題とやらを
聞かせてもらいたい」
このままでは
埒が明かないと思い、
昴は話の展開を求める。
「じゃあ、私が代わりに
説明したいと思いまーす。
今日はですね、
私と和斗と楽と
桝北さんの四人で―」
「ちょっと待ってくれ」
「はい?」
西難が意気揚々と
話をしようとしているのに、
昴は待ったをかけた。
そのせいで西難は
目をパチクリさせた。
「話を遮りようですまんが、
その、なんだ。
『桝北さん』ってのを
辞めてもらいたい」
昴がそう言うと、
西難と南関は口を
開けて、呆けた顔になった。
朱空は…放っておく。
「俺達は全員中2だろ?
それなのに俺だけ
さん付けは変だ。
だから、そのー、あれだ。
俺のことは昴って呼んでくれ」
昴の訴えに他の三人は、
確かに、と顔を見合わせ
無言で頷き合った。
「それでは改めて、
説明しようと思います。
今日は私と和斗、楽、
それから、す、昴の四人で
コラボする内容の
打ち合わせ会をしようと
集まってもらいました」
話をまとめてすると、
こういうことになる。
西難と南関が昴に
会いたかったのとは別で、
同年代で知り合ったこと、
お互いに芸能をしていること、
そしてそれぞれの知名度を
共有できたら更に
活動の幅を広げられること。
これらの要素から
コラボするしかないと、
朱空から持ち掛けたのだと。
「ふむ、よく分かった」
一通りの説明を聞いた昴は
なるほど、と話を吟味する。
「それじゃあ…!」
目を瞑り、考え込む昴に
南関と西難は
期待の眼差しを向ける。
昴はゆっくりと目を開け、
はっきりと彼らに応えた。
「お前達のその企画に、
俺も乗らせてもらおう」
昴の答えに部屋は
様々な感情に溢れかえる。
昴とコラボできるという歓喜、
皆に迷惑をかけずに
成功させられるかという緊張、
自分の眼は決して
間違ってなかったという安堵。
その渦巻く感情の中で、
自分はこんなにも
期待されているのかと
昴は一人感傷に浸るのだった。
━━━━━━━━━━━━━━━
あとがき
どうも、夢八です。
読んで頂き、感謝します。
そういえば、
イラストとか募集したいですね。
西難愛花とかの可愛い系の
イラスト欲しいなぁー…
なんてね!
あと、タイトルの略称も
未だに募集中です。
誰かくれないかなー。
アディオス!
なぜ二人に『北道素晴』の正体が
昴だとバレているのか、
と一旦思ったが、
犯人は朱空しかいないので
後で朱空を問いただすと
朱空には朱空なりの
事情があったらしい。
朱空が曲を制作する際、
作詞しかできなかったため
ネットで知り合った
『南獄霧幻』に作曲を、
『西方オリオン』に
動画の背景となるイラストと
動画サイトのサムネイルを
してくれるように依頼していた。
ある時三人は同い年で、
しかも学校も岡山県内だと
いうことを知り、三人で会った。
そこで朱空があの『北道素晴』と
友達だという話をすると
二人は食いついた。
更に、是非会わせてくれと
二人は朱空に懇願した。
朱空は最初、あの人は
そういうの好きじゃないと思う、
と言っていたのだが
会わせてくれないと
お前とは縁を切ると言われ、
渋々昴に会わせた、
ということらしい。
「えぇっ!本当だって!
あのっ桝北さんっ!
いやっ、北道さんっ!
あ、握手して下さい!」
「北道さんっ、俺も是非!」
無論、そんなことまだ知らない昴は、
昴が『北道素晴』だと
認めたその瞬間に
血相を変えて握手を
求める二人の気迫に負け、
西難に右手を、
南関に左手を差し出して
両手に人の温もりを感じた。
南関に至っては、
鋭い眼光を大きく見開いて
瞳をキラキラさせている。
南関もこの反応って…
人は見かけじゃないな。
と昴は人を見かけで判断するのは
サングラスをした人だけに
するように心に決めた。
「まぁまぁ二人とも、
昴も困ってるから。
そういうのは置いといて、
例のあれ、早く始めよう」
例のあれと聞いて、
昴はピンとこない。
昴はそんな話聞いてないのである。
「あっ、そうだったね。
それじゃあ始めましょ」
昴の右手を名残惜しそうに
離す西難は、
昴に妹の葉月を連想させた。
「俺としたことが…。
つい舞い上がってしまった。
さぁ気を取り直して
本題を始めよう」
南関もきちんと姿勢を正し、
メガネを人差し指で直す。
「待ってくれ、
何の話をしてるんだ?
俺は何も聞いてないぞ」
「「え?」」
「え?」
昴の発言を聞いて、
西難と南関は間抜けな声を出す。
更にそれを聞いた昴が
間抜けな声を出す。
「おい、楽。
もう話してあるんじゃないのか?」
南関があの顔に
更に睨みを効かせ、
ドスの効いた声で
朱空へ問いかける。
すると、朱空の頭上に
ギクッと文字が浮かんだ。
「え、えっとね…。
そうだ!忘れてた!
これからしようと思ってたんだ!
ごめんね。あはは、ははは…」
朱空はどうにかして
笑いで誤魔化そうとしているが、
それを南関が許すはずなかった。
『僕は悪い子です』と書いた紙を
朱空の首にぶら下げて、
部屋の隅っこに犬のように
一人ポツンと座らせた。
「桝北さん、申し訳ない。
あの天然ドアホのことだ。
桝北さんに何の説明もしてない、
なんて展開があっても
おかしくないと
予測できたはずだった。
それなのに桝北さんに
迷惑を掛けてしまった。
本当に申し訳ない」
南関は言葉の最中、
昴に対して申し訳なさそうに
二度頭を下げた。
西難も南関に合わせて
昴に頭を下げてきた。
「いやいや、よしてくれ。
君ら二人が悪い訳じゃないだろう?」
無論、西難と南関には
全くもって非はないため、
昴は二人が頭を下げたことに
弁明を評した。
「まぁ、そんなことは
一旦置いておいてだな。
今日の本題とやらを
聞かせてもらいたい」
このままでは
埒が明かないと思い、
昴は話の展開を求める。
「じゃあ、私が代わりに
説明したいと思いまーす。
今日はですね、
私と和斗と楽と
桝北さんの四人で―」
「ちょっと待ってくれ」
「はい?」
西難が意気揚々と
話をしようとしているのに、
昴は待ったをかけた。
そのせいで西難は
目をパチクリさせた。
「話を遮りようですまんが、
その、なんだ。
『桝北さん』ってのを
辞めてもらいたい」
昴がそう言うと、
西難と南関は口を
開けて、呆けた顔になった。
朱空は…放っておく。
「俺達は全員中2だろ?
それなのに俺だけ
さん付けは変だ。
だから、そのー、あれだ。
俺のことは昴って呼んでくれ」
昴の訴えに他の三人は、
確かに、と顔を見合わせ
無言で頷き合った。
「それでは改めて、
説明しようと思います。
今日は私と和斗、楽、
それから、す、昴の四人で
コラボする内容の
打ち合わせ会をしようと
集まってもらいました」
話をまとめてすると、
こういうことになる。
西難と南関が昴に
会いたかったのとは別で、
同年代で知り合ったこと、
お互いに芸能をしていること、
そしてそれぞれの知名度を
共有できたら更に
活動の幅を広げられること。
これらの要素から
コラボするしかないと、
朱空から持ち掛けたのだと。
「ふむ、よく分かった」
一通りの説明を聞いた昴は
なるほど、と話を吟味する。
「それじゃあ…!」
目を瞑り、考え込む昴に
南関と西難は
期待の眼差しを向ける。
昴はゆっくりと目を開け、
はっきりと彼らに応えた。
「お前達のその企画に、
俺も乗らせてもらおう」
昴の答えに部屋は
様々な感情に溢れかえる。
昴とコラボできるという歓喜、
皆に迷惑をかけずに
成功させられるかという緊張、
自分の眼は決して
間違ってなかったという安堵。
その渦巻く感情の中で、
自分はこんなにも
期待されているのかと
昴は一人感傷に浸るのだった。
━━━━━━━━━━━━━━━
あとがき
どうも、夢八です。
読んで頂き、感謝します。
そういえば、
イラストとか募集したいですね。
西難愛花とかの可愛い系の
イラスト欲しいなぁー…
なんてね!
あと、タイトルの略称も
未だに募集中です。
誰かくれないかなー。
アディオス!
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