冷寧である俺は戦争に行かないし、救護手当てもしない。~完結済み~

青篝

朝食を作った俺は

朝、目を覚ますと
カーテンを突き抜けて
窓から日の光が差す。
午前6時、俺の起床時間だ。
アラームなんて必要ない。
この時間に起きるのも
ちゃんと兄としての
役割を果たすために
もう体が慣れてしまった。
その役目というのは、
朝食と俺のお弁当を
作るためである。

「ん?」

体を起こそうと
布団をめくったら、
横で葉月が寝ていた。
いつものポニーテールは
当然下ろしており、
朝日に照らされた顔は
まるで猫のようだ。
まだ若干寝ぼけていて
一瞬天使が俺の横で
寝ているのかと思ったが
俺の妹で安心した。

「う~…お兄…」

あ~そんな可愛い声で
呼ばないで~。
キュン死にしそう。
ずっと眺めていたい。

「まだ寝ててな。
朝飯できたら
起こしに来るから」

天使のような妹を
一頻り眺めて数秒、
葉月を起こさぬよう
そっとベッドを降りて
葉月に布団をかける。



1階に降りてまずは洗面所へ。
顔を洗い頬を
軽く両手で叩く。
さて、今日も
頑張りましょうか。
その後キッチンに行き、
朝食の準備をする。



約40分後、
弁当はおかずが冷めたら
後は詰めるだけ。
トーストは焼けたし、
目玉焼きもすぐ焼ける。
付け合せの
サラダももう出来た。
ちなみに母親の分の
朝食は準備してない。
昨日出ていったきり、
まだ帰っていない。
別に帰って来て欲しくないが。
さてと、心苦しいが
天使を起こし行きますか。

「葉月、朝だぞ」

俺の部屋に戻り
ベッドで寝ている葉月を
手で少し揺さぶると
葉月は半目を開けて
眠そうに、

「…にぃ…あと5分…だけ.......」

そう言うと葉月は
寝返りを向こう側に打ち、
布団を頭まで被った。
可愛ゆ過ぎる。
今ここにいるのが
普通の男子高校生なら、
間違いなく発情している。
……兄である俺ですら
爆発寸前なのだから。

「ダメだ!起きろ!」

ダメだ、というのは
葉月にというのと、
俺への自制心の
両方に向けてである。
俺は葉月が被っている
布団を勢いよく捲り上げた。

「キャッ!?
むぅ、お兄あと5分って」

女の子らしい悲鳴を上げて
葉月は目をこちらに向ける。
それから頬に空気を入れて
フグみたいに膨れた。
その顔も可愛いな。

「膨れてもダメだ。
朝飯が出来るから
さっさと着替えて、
顔洗っておいで」

色々言ってから
俺は部屋を出ていく。
葉月の返事が
背中に聞こえたのを
確かに感じて、
俺は階段を降りた。



「お兄、おはよー」

中学の制服に着替え、
髪をポニテに結った
葉月がキッチンにきた。

「おはよう葉月。
もう出来てるぞ」

俺は昨日と同じ位置に座り、
その向かいに葉月が座る。
4人掛けのテーブルに
2人分だけの食事が並ぶ。
寂し気なこの光景も、
すっかり慣れてしまった。

「うん、それじゃあ、
いただきます」

「いただきます」

2人で手を合わせ
トーストにかじりつく。
サクッと香ばしい音が
キッチンに聞こえる。
黙々と食べ、
今日の朝飯も上出来だなと
俺は心の中で満足気。

「今日の朝ご飯も温かいね」

普通なら出ないであろう
セリフを葉月は
言ってみせた。
温かみのあるものなんて
トーストと目玉焼き
くらいのことであり、
特に凝った料理をした訳でもない。
だが、葉月は
当たり前のように
温かいと、そう言ったのだ。



━━━━━━━━━━━━━━━
あとがき



どうも、夢八です。
読んで頂き、感謝します。



こんな健康的な
朝ごはん食べてるのって
二次元限定ですよね。

皆さんは朝は
何食べてますか?

私?菓子パンと牛乳です。


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