冷寧である俺は戦争に行かないし、救護手当てもしない。~完結済み~

青篝

兄である俺は

学校から寄り道せずに
真っ直ぐ家に帰ると
自転車で25分程かかる。
だが今日は部活もあったし、
スーパーにも寄っていたため、
スーパーを出る頃には
7時を回っていた。

「ただいま」

左手に買い物袋を提げ
閑静な住宅街に建つ
我が家に帰ってきた。
すると、すぐにリビングから
忙しそうな足音が
パタパタと聞こえてきた。

「遅いよ!にい
もうお腹ペコペコだよ!」

足音と共に姿を現したのは
俺の実の妹、葉月はづきだ。
ここから徒歩で約15分の
峰城みねしろ中学の2年生。
成績は良い方だが、
とても優秀な奴と
比べると劣ってしまう。
しかし、人に教えるのは
とても上手いのだとか。
部活は俺と同じバド部で、
部内では皆に笑顔を
振り撒くムードメーカーだと
保護者面談の時に聞いた。
バドミントンの実力も
中々のもので、団体戦での
重要な戦力となっているらしい。
今日の練習試合は
全勝だったという話を
本人からよく聞く程だ。
そんな葉月は
鮮やかな橙色と茶色が
混じったような色の髪を
ポニーテールにしていて、
葉月が動く度に
左右に揺れている。
それがとても可愛い。
さらに、可愛い輪郭には
可愛らしい丸い目に
可愛らしい小さな鼻。
あと、笑った時に見える
白い歯がとても可愛い。
服装も中学校の制服から
着替えており、
ダボっとした長袖の
Tシャツを着崩して
デニム生地の半ズボン。
外に行くなら絶対に
許さないが、家着いえぎなので
許容範囲だ。それも可愛い。
可愛い可愛い言っているが、
俺はシスコンではない。
ただ純粋に妹が
可愛過ぎるだけである。
もう一度言う。
俺はシスコンではない。

「すまんな、遅くなって」

葉月の髪の毛に
右手の指を通す。
葉月は目を細めて
されるがまま。
猫のようなその顔は
昔から変わらない、
俺だけの笑顔だった。
そして、この笑顔だけは
絶対に失わせない。

「すぐ作るから
先にお風呂入っとくか、
西難と待っといてな」

名残惜しいが、
ずっとこうして
いる訳にもいかない。
最後に葉月の頭を
ポンポンして
今日の精力補充は完了。
3度言うが、
俺はシスコンではない。

「はーい。じゃあ
愛花さんと待ってまーす」

俺の手を惜しむことなく
葉月は身を翻して
西難のいるリビングへ。
西難は俺達兄妹きょうだいの時間を
邪魔するまいと、
気を使ってリビングから
顔を出さなかった。
その心遣いが、
俺には堪らなく嬉しかった。
おかげで、今日も葉月の
笑顔を見ることができたのだ。

「ねぇ、愛花さん。
お兄の料理、
何が好きですか?」

この質問は俺の料理を
食べたことのある
者にしか聞けない。
それも1度や2度ではなく
何度も食べたことが
なければならない。
が、西難は時々家に来る。
中学2年生の終わり頃から
付き合いのあるもう1人に
比べると、西難は
本当によく来る。
俺達の母ともすぐに
お互いを理解し、
その日のうちに
仲良くなってしまった。

「う~ん、そうだな~」

もう1人の付き合いのある
奴の名前は南関なんせき和斗かずと
そのうち出てくるから
詳しいことは南関が
出てきた時にするとして、
俺達3人は中学2年生の
秋頃に知り合った。
いや、4人というべきか。
その時、その場にいたのは
俺と西難、南関、
そして朱空しゅそらがくの4人。

「オムライス、かな?」

だが、今となっては
朱空は空の向こう側にいて、
もう会うことは出来ない。
朱空は、俺が
殺してしまったんだから。


━━━━━━━━━━━━━━━
あとがき



どうも、夢八です。
読んで頂き、感謝します。


今回は文字数としては
若干少なめですが、
私としては満足してます。

ポジティブに生きよう。


それでは、アディオス!

コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品