オレの幼馴染が嫁候補!?
オレも男なんですが…
大学を出て15分ほど歩くと、オレのアパートが見えてきた。
「あれがオレのアパートや。」
そう言えばオレも一緒に探した美咲のアパートもこの辺だったような…
「結構近いんやね。」
「え?美咲のアパートか?」
「え?あ……そ、そう言えばそうやね。」
なんだよ今の間は…
「なんか違ったか?」
「ううん。大学が、と思て……」
「さいで……」
アパートの2階にあるオレの部屋の扉の前に来た時、オレは自分の部屋の中を思い出した。
「美咲…」
「なに?」
「ここで10分待っといてくれ。」
「え?片付けるなら手伝うで?」
美咲…そんな時にだけ天然要素and優しさはいらないんだ。
男子学生の部屋はまさに混沌だ。
部屋の散らかりようはさもありなん、お宝本やお宝映像の類は、身内はおろか他人の、それも女性には見られたくないのが心情というものだ。
あ、因みに常に片付いている男子もいるから、これを読んでいる女性陣は偏見は持たないでくれよな。
「美咲…」
「なに?」
「5分だけ待ってくれ…」
「短かなった……」
「頼む!!」
オレは美咲に懇願なのか脅しなのかわからない勢いで、美咲に迫る。
「う、うん…わ、わかった…」
それに気圧されたのか、美咲もただ首を縦に振るしかなかった。
そして、オレは部屋に入ると、直ぐにテーブル上のお宝を確認し、それを本棚の奥へ突っ込んで漫画や映画のDVDで覆い隠した。
簡単に部屋の散らかりを片付けると、美咲を部屋に招き入れた。
「お、お邪魔します。」
「ど、どうぞ。」
なんだろう、自分の部屋に女の子はおろか友達すら上げたことがない、そのせいかやけにドキドキする
すると美咲がクスリと笑った。
「な、なんやねん、いきなり。」
「あ、ごめんな。自分の部屋やのに、悠ちゃんさっきから落ち着かへんみたいやから可笑しゅうて。」
男の部屋に来たのに、なんで美咲はさっきから落ち着いてるんだ?
ま、まさか男の部屋に来るのに慣れてるとか!?
「悠ちゃん、大丈夫?」
「あ、ああなんでもない、それにしてもお前なんでそんなに余裕やねん。まさか、男の部屋に上がるの初めてやないとか!?」
「ええ!?ち、ちゃうよ!悠ちゃんとこ以外上がったことないし……。昔は、ようお互いの部屋に行き来きしてたし、悠ちゃんの部屋やとなんか落ち着くねん。」
美咲はニコニコしながらそんなことをいってくるが、改めて言われると嬉しいような恥ずかしいようなだ。
「それでやな美咲。確かめたいことってなんや?」
「あ、うん…えーとやね……その……」
美咲がこういうモードになると、なかなか次の言葉は出てこないため、気長に待つのが良い。
「……あのやね…ウチと……悠ちゃんとがやね……その…」
我慢だオレ、ここで怒り出すほどオレは気が短いわけではない。
「えーと…なんていうか……」
オレは待てる男だ……
「だからやね、ウチとの関係がやね…」
オレは……待てる……
「悠ちゃんのことをやね……」
「ああもう!!!」
「ひ、ひゃー…!?」
怒り出したオレの声に美咲は驚きの声を上げる。
「美咲…ハッキリ言えや。言いたいことが全然わからんやん。」
「ご、ごめんなさい……」
美咲の目が涙目になっていることに気付いたオレは、たちまちイライラ感が無くなり、代わりに罪悪感が胸を締め付けた。
「す、すまん美咲。オレ、そんなつもりやなかったんや。」
「う、ううん、ちゃうねん。自分から確かめたい言うてたのに、いざとなったらちゃんと言われへん事が悲しくて……」
「ま、まあ言いにくい事は分かったし、ゆっくり話したら良えで。」
「うん、おおきに悠ちゃん。」
それから美咲はゆっくりとだが、ハッキリと自分の考えを話し出した。
「春休みのこと……悠ちゃんとした約束なんやけどね。」
「許嫁のことか?」
「う、うん。それでやね、ウチは悠ちゃんと、そういう仲になってんのかなって思って…」
「それって、オレと美咲が付き合ってるか言うことか?」
美咲はコクコクと首を縦に振ると、下を向いてしまった。
確かにオレもそれは考えなかったわけではない。
ただ、美咲とそう言う関係になる事が、本当に正しい事なのかどうか、オレ自身が迷っている。
客観的に見ても、美咲は可愛いし、なによりもオレのことを慕ってくれている。
だけどオレにとって……
「美咲、すまん。」
「え?」
「オレは正直言って、許嫁のことも美咲との仲も、全然受け入れられてへんねん。」
オレは頭をテーブルに擦り付ける程、頭を下げて、美咲に詫びた。
「悠ちゃん、ウチのこと嫌いなん?」
「そうやない!」
顔を上げて美咲を見ると、美咲は目に涙を溜めて、今にも泣きそうになっていた。
しかし、それでもオレは自分の心に正直に応えることが、誠意だと思った。
「オレは美咲のこと好きやで。」
「ほんなら…」
「でも、好き言うんは、恋人とかの好きやのうて、妹のような存在に近いって言うのが正直なところや。」
オレは美咲の潤んだ目を見ながら言葉を続けた。
「だから、少し考える時間をくれ。」
「時間?」
「オレは、オレが美咲のこと女として、見れるよう努力する。でも、もし見ることが出来ひんかったら…」
「出来ひんかったら?」
「許嫁も解消して欲しい。もちろん、その間に美咲に好きな奴が出来たら、オレのことも見限ってくれてかまわん。」
「考える時間はいつまでなん?」
「大学3年に上がる前まで。」
美咲はしばらく黙り込んで俯いている。
やっぱりキツかったかなと、オレはやや後悔しそうになっていたが、でもここで情に流されたら、オレはきっと後で後悔すると思った。
「 悠ちゃんがウチを好いてくれるように、努力するんやね?」
「そうや。」
「ウチのこと好いてくれたら良えんやね?」
「??そうや。」
なんだろうこの違和感。
なんだか前にも同じようなことがあったような…
「ほんならウチ、悠ちゃんが振りむいてくれるよう頑張る!」
「うん。え?」
「だって悠ちゃん、ウチのこと嫌いやないなら、女性として好いてもらえるようにウチも努力するし!」
「み、美咲さん?」
関係をあきらめるどころか、俄然やる気になっている美咲の目にはもう涙は無く、何かハッキリとした意思を感じ取らせた。
そして、美咲はハッキリとオレの目を見て言った。
「悠ちゃん、ウチ……悠ちゃんのこと好きやねん。」
その言葉は、いつもの引っ込み思案な美咲のものでなかった。
美咲がなんだか可愛くて見えてくる。
おいおい、今さっきのオレの言葉は嘘か?
オレは自分の言葉に、傾きかけた心を立て直す。
「と、とりあえず、喉が乾いたな、お茶でも入れるわ。」
「え?あ、うん…」
背中越しでも、美咲がションボリするのがわかる。
オレは逃げるようにキッチンに行くと、お湯を沸かし始めた。
「なんか手伝おか?」
美咲が気を遣ってくるが、オレは取りあえず気持ちを落ち着かせるために、キッチンに残る事にした。
「ええよ。漫画でも読んでゆっくりしとき。」
わかった、とだけ美咲が言うと、茶葉を急須に入れようとした。
「きゃ!」
「どないしたみさき!?」
小さな悲鳴を聞いて、すぐに部屋に戻ると美咲が真っ赤な顔をしてこっちを見ていた。
そしてオレは思い出した。
漫画の裏側にはお宝をしまっていたことを…
「ゆ、ゆ、悠ちゃん、こ、これ、コレ!」
もう何も言う事はない、オレは黙って、ゆっくりと焦らずお宝を拾うと、机の引き出しに押し込んだ。
そして、美咲の方を見る。
美咲は相変わらず赤い顔をして、視線はチラチラとこちらを見ている。
「美咲……オレも男やからな…」
「悠ちゃんのスケベ!!」
パチンと軽い音が部屋に響き、それと同時にヤカンからカタカタと湯が沸いた合図がなった。
「あれがオレのアパートや。」
そう言えばオレも一緒に探した美咲のアパートもこの辺だったような…
「結構近いんやね。」
「え?美咲のアパートか?」
「え?あ……そ、そう言えばそうやね。」
なんだよ今の間は…
「なんか違ったか?」
「ううん。大学が、と思て……」
「さいで……」
アパートの2階にあるオレの部屋の扉の前に来た時、オレは自分の部屋の中を思い出した。
「美咲…」
「なに?」
「ここで10分待っといてくれ。」
「え?片付けるなら手伝うで?」
美咲…そんな時にだけ天然要素and優しさはいらないんだ。
男子学生の部屋はまさに混沌だ。
部屋の散らかりようはさもありなん、お宝本やお宝映像の類は、身内はおろか他人の、それも女性には見られたくないのが心情というものだ。
あ、因みに常に片付いている男子もいるから、これを読んでいる女性陣は偏見は持たないでくれよな。
「美咲…」
「なに?」
「5分だけ待ってくれ…」
「短かなった……」
「頼む!!」
オレは美咲に懇願なのか脅しなのかわからない勢いで、美咲に迫る。
「う、うん…わ、わかった…」
それに気圧されたのか、美咲もただ首を縦に振るしかなかった。
そして、オレは部屋に入ると、直ぐにテーブル上のお宝を確認し、それを本棚の奥へ突っ込んで漫画や映画のDVDで覆い隠した。
簡単に部屋の散らかりを片付けると、美咲を部屋に招き入れた。
「お、お邪魔します。」
「ど、どうぞ。」
なんだろう、自分の部屋に女の子はおろか友達すら上げたことがない、そのせいかやけにドキドキする
すると美咲がクスリと笑った。
「な、なんやねん、いきなり。」
「あ、ごめんな。自分の部屋やのに、悠ちゃんさっきから落ち着かへんみたいやから可笑しゅうて。」
男の部屋に来たのに、なんで美咲はさっきから落ち着いてるんだ?
ま、まさか男の部屋に来るのに慣れてるとか!?
「悠ちゃん、大丈夫?」
「あ、ああなんでもない、それにしてもお前なんでそんなに余裕やねん。まさか、男の部屋に上がるの初めてやないとか!?」
「ええ!?ち、ちゃうよ!悠ちゃんとこ以外上がったことないし……。昔は、ようお互いの部屋に行き来きしてたし、悠ちゃんの部屋やとなんか落ち着くねん。」
美咲はニコニコしながらそんなことをいってくるが、改めて言われると嬉しいような恥ずかしいようなだ。
「それでやな美咲。確かめたいことってなんや?」
「あ、うん…えーとやね……その……」
美咲がこういうモードになると、なかなか次の言葉は出てこないため、気長に待つのが良い。
「……あのやね…ウチと……悠ちゃんとがやね……その…」
我慢だオレ、ここで怒り出すほどオレは気が短いわけではない。
「えーと…なんていうか……」
オレは待てる男だ……
「だからやね、ウチとの関係がやね…」
オレは……待てる……
「悠ちゃんのことをやね……」
「ああもう!!!」
「ひ、ひゃー…!?」
怒り出したオレの声に美咲は驚きの声を上げる。
「美咲…ハッキリ言えや。言いたいことが全然わからんやん。」
「ご、ごめんなさい……」
美咲の目が涙目になっていることに気付いたオレは、たちまちイライラ感が無くなり、代わりに罪悪感が胸を締め付けた。
「す、すまん美咲。オレ、そんなつもりやなかったんや。」
「う、ううん、ちゃうねん。自分から確かめたい言うてたのに、いざとなったらちゃんと言われへん事が悲しくて……」
「ま、まあ言いにくい事は分かったし、ゆっくり話したら良えで。」
「うん、おおきに悠ちゃん。」
それから美咲はゆっくりとだが、ハッキリと自分の考えを話し出した。
「春休みのこと……悠ちゃんとした約束なんやけどね。」
「許嫁のことか?」
「う、うん。それでやね、ウチは悠ちゃんと、そういう仲になってんのかなって思って…」
「それって、オレと美咲が付き合ってるか言うことか?」
美咲はコクコクと首を縦に振ると、下を向いてしまった。
確かにオレもそれは考えなかったわけではない。
ただ、美咲とそう言う関係になる事が、本当に正しい事なのかどうか、オレ自身が迷っている。
客観的に見ても、美咲は可愛いし、なによりもオレのことを慕ってくれている。
だけどオレにとって……
「美咲、すまん。」
「え?」
「オレは正直言って、許嫁のことも美咲との仲も、全然受け入れられてへんねん。」
オレは頭をテーブルに擦り付ける程、頭を下げて、美咲に詫びた。
「悠ちゃん、ウチのこと嫌いなん?」
「そうやない!」
顔を上げて美咲を見ると、美咲は目に涙を溜めて、今にも泣きそうになっていた。
しかし、それでもオレは自分の心に正直に応えることが、誠意だと思った。
「オレは美咲のこと好きやで。」
「ほんなら…」
「でも、好き言うんは、恋人とかの好きやのうて、妹のような存在に近いって言うのが正直なところや。」
オレは美咲の潤んだ目を見ながら言葉を続けた。
「だから、少し考える時間をくれ。」
「時間?」
「オレは、オレが美咲のこと女として、見れるよう努力する。でも、もし見ることが出来ひんかったら…」
「出来ひんかったら?」
「許嫁も解消して欲しい。もちろん、その間に美咲に好きな奴が出来たら、オレのことも見限ってくれてかまわん。」
「考える時間はいつまでなん?」
「大学3年に上がる前まで。」
美咲はしばらく黙り込んで俯いている。
やっぱりキツかったかなと、オレはやや後悔しそうになっていたが、でもここで情に流されたら、オレはきっと後で後悔すると思った。
「 悠ちゃんがウチを好いてくれるように、努力するんやね?」
「そうや。」
「ウチのこと好いてくれたら良えんやね?」
「??そうや。」
なんだろうこの違和感。
なんだか前にも同じようなことがあったような…
「ほんならウチ、悠ちゃんが振りむいてくれるよう頑張る!」
「うん。え?」
「だって悠ちゃん、ウチのこと嫌いやないなら、女性として好いてもらえるようにウチも努力するし!」
「み、美咲さん?」
関係をあきらめるどころか、俄然やる気になっている美咲の目にはもう涙は無く、何かハッキリとした意思を感じ取らせた。
そして、美咲はハッキリとオレの目を見て言った。
「悠ちゃん、ウチ……悠ちゃんのこと好きやねん。」
その言葉は、いつもの引っ込み思案な美咲のものでなかった。
美咲がなんだか可愛くて見えてくる。
おいおい、今さっきのオレの言葉は嘘か?
オレは自分の言葉に、傾きかけた心を立て直す。
「と、とりあえず、喉が乾いたな、お茶でも入れるわ。」
「え?あ、うん…」
背中越しでも、美咲がションボリするのがわかる。
オレは逃げるようにキッチンに行くと、お湯を沸かし始めた。
「なんか手伝おか?」
美咲が気を遣ってくるが、オレは取りあえず気持ちを落ち着かせるために、キッチンに残る事にした。
「ええよ。漫画でも読んでゆっくりしとき。」
わかった、とだけ美咲が言うと、茶葉を急須に入れようとした。
「きゃ!」
「どないしたみさき!?」
小さな悲鳴を聞いて、すぐに部屋に戻ると美咲が真っ赤な顔をしてこっちを見ていた。
そしてオレは思い出した。
漫画の裏側にはお宝をしまっていたことを…
「ゆ、ゆ、悠ちゃん、こ、これ、コレ!」
もう何も言う事はない、オレは黙って、ゆっくりと焦らずお宝を拾うと、机の引き出しに押し込んだ。
そして、美咲の方を見る。
美咲は相変わらず赤い顔をして、視線はチラチラとこちらを見ている。
「美咲……オレも男やからな…」
「悠ちゃんのスケベ!!」
パチンと軽い音が部屋に響き、それと同時にヤカンからカタカタと湯が沸いた合図がなった。
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