この声が届くまで、いつまでも叫び続けたい

@tsushi

40.この声が届くまで

「俺、今年こそ頑張らないとヤバイかも」


「透、映画論取る?」


「卒業できんのかな~、俺」


「総ちゃん、今単位いくつ?」




去年と同じ会話。
去年と同じ場所。
去年と同じ仲間達。


だけど、去年とは明らかに違うものがあった。






「学生でいられるのも後二年かぁ~」


「それは後二年“も”って意味?それとも二年“しか”って意味?」


「俺にとっては二年“しか”かな」


「透はどう思う?」


「どっちでもない。だって、学生で人生が終わるわけじゃないじゃん」










校門を出ると、鮮やかな桜並木が立ち並ぶ。


それはまるで俺達の新たな出発を祝っているように見えた。
空を囲むゲートを潜り抜け、明日への希望に胸を照らす。






ふと、大きな風が髪をなびいた。
桜が悲鳴をあげ、無数に散らばる花びらに足跡を残す。


見上げた空には彼女の影が映った。












































君は今も、あの日のことを覚えているか?












































そっと胸に手を当てる。








もう、傷は痛まなかった。






<了>

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