甲斐犬黒蜜のお使い

牛耳

第88話

黒蜜おばばが言うには、玉ちゃんやモンスターズは形式的には私の使い魔になるそう。
契約魔法は莫大な黒い魔力を持つ私にとっては簡単に出来るそうだ。
それに私でなければチョさんみたいな妖怪を使い魔にしても制御出来ないだろうと・・・玉ちゃんを従えてる時点で普通では無いらしい。
清明さんチョさんを退治してと頼まれたのだがどうも可愛いチョさん達を気に入ってしまい何とか出来ないかと考えたみたい。
私を呼んだのはチョさんとレッサーパンダ達を保護して貰いたいのが清明さんの本音では無いかと・・・。
清明さんクラスの陰陽師がまだ妖怪に成り立てのチョさんを退治するのはお札一枚で出来る簡単な事なのに蜜に何とかしてと言って来るのはおかしい。
温泉に浸かりホコホコしてるチョさんやレッサーパンダ達を見ながら『こんなに可愛いチョさんを退治するなんて私も無理だわ』そう思った私は黒蜜おばばにコクンと頷きながら。
「黒蜜おばば、チョさんを私の使い魔にするわ。マンションのウォークイングクローゼットが空いてるからあそこに住まわせれば良いかしら?」

「アクション!」
ヒッ○コックおじさんがクレーンに乗って上空からメガホンで叫ぶ。

千本鳥居からワラワラとレッサーパンダが躍り出て来る。
チョさんが身体の大きなサングラスをかけている怖そうな白人男性の目の前に行き上目づかいで可愛い笑顔を見せる。
白人男性は顔を赤くしてプルプルしている。
これは危ない兆候かと思っていたらサングラスを外して♡になったお目々して「オー!プリティー!レッサーパンダ!」と叫ぶとスマホでチョさんを撮り始めた。
地面に這い蹲り色々な角度からチョさんを撮っている。
「ハアハア!カゲキナポーズオネガイシマース!」
チョさんコロンと転がりオマタを広げたセクシーポーズを披露。
「アメージング!」
と叫んでヨダレを垂らしながらビックンビックンして廃人同様になっている白人男性。
周りを見ると他の人もレッサーパンダの可愛いさにやられてフラフラ状態に。

「ファッハッハ!京都中の人々をレッサーパンダの可愛さで駄目人間にしてやる〜!」
千本鳥居から白い陰陽師の衣装を纏った清明さんが現れる。
しかしそれを阻む三人の魔女っ子が片手に持った伏見稲荷近くの地元の人しか知らない様な穴場的な店の三角稲荷をムシャムシャ食べながら現れた。
「ムグムグ、悪の陰陽師、セイーメイ!お前の好きにはさせないわよ!ムグムグ、ゴックン・・・蜜〜地獄人参茶頂戴〜」
私は悪の組織の女幹部の設定を忘れてボンテージ姿でオシボリと地獄人参茶のペットボトルを持って黒蜜おばばの元に駆け寄ってしまった。
黒蜜おばばの手と顔をオシボリで拭いて飲み終えたペットボトルを持ってカメラにペコペコしながら走り去る姿までカメラに撮られてたけど編集で何とかなるわね?

悪の陰陽師セイーメイが術を仕掛ける。
「うーぬ、魔女っ子め!我が術を喰らえーい!はっあっ!」
バラバラに散らばって愛想を振りまいていたレッサーパンダ達が一列に並んで"はないちもんめ"をやり始めた。
するとレッサーパンダに釣られて魔女っ子三人もてを繋いで相手方として参加。
「か~ってうれしいはないちもんめ」
「まけ~てくやしいはないちもんめ」
「タンス長持ち あの子が欲しい あの子じゃわからん 相談しましょ そうしましょ。」
「蜜子ちゃんが欲しい」
「ジャンケンポン」
レッサーパンダ達が勝ち黒蜜おばばがレッサーパンダ側に。
結局最後に餡子さん一人になりベソをかいて泣きながら「まけ〜て悔しい雷魔法!」とレッサーパンダ側に攻撃を仕掛けその場は大混乱に。

黒蜜おばばと餡子さんの雷魔法の応酬が続き気がつくと雷にやられてプスプス煙を上げて倒れてるチョさんの姿が!
きっと他のレッサーパンダを庇って雷魔法に打たれたのね・・・。
私はチョさんに駆け寄り状態を確認する。
妖怪になって普通のレッサーパンダとは比べ物にならい程強くなっているチョさんだけど魔女っ子の雷魔法は強すぎて瀕死の状態。
一か八かの勝負、使い魔の契約魔法をかけて私の魔力をチョさんに与えて見よう。
抱き抱えたチョさんの頭に右手の掌を当てて腕輪から黒い魔力を放射し契約魔法を掛ける。

「お前の名前は私の真名、"黒曜の蜜"から一文字取り”黒”を授けようそしてチョの真名は”黒欲のチョ”」構ってもらいたい欲望から妖怪になったチョさんにピッタリの真名だと思う。
右手の腕輪から大量の黒い魔力がチョさんに流れ込むとチョさんの身体が黒く輝く。
パチリと目を開けてフワリと浮かぶチョさん。
「あっ!もうこんな時間かい?錦市場に行ってちびっ子レッサーパンダに食べさせるおばん菜を買いにかなぁあかん。蜜ちゃんも皆んなも食べていきなはい」
微妙なエセ京都弁のおばちゃんが出来上がった。

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