甲斐犬黒蜜のお使い

牛耳

第76話

「蜜〜〜ネットで見たけど。僕ってNEETじゃあ無いよね?仕事してるし?」
巨大人狼怪人になって古くなった団地を壊しまくり空から箒に乗って現れた魔女っ子戦隊の攻撃魔法で手乗りサイズの人狼になった人郎さんがショボンとしながら私に聞いて来た。
「大丈夫よ人郎さん。ちゃんと不動産会社の社長さんしてるし今日だって怪人やって皆んなの役に立っているでしょ?会社や一族の会議で座っているだけで良いからって言われても会社潰れないでしょ?たまに土地の取引でタチの悪いのが出てきた時に人郎さんを相手の事務所に行かせると『こんな純真無垢な子供みないな息子を人質に差し出して来て平気なくれないさんや一族の方々が怖いので手を引きます』ってこの前も外国のマフィアが大口の土地取引を回してくれたじゃあ無いの」
「えー?あいつらの事務所に行ったら遊んでやるって言うからさ言われた通りに火の中に飛び込んだり足に重りを付けて東京湾に潜ったりしただけだよ?最後にセスナに無料で乗せてくれて千メートル上空から海にダイブして泳いで戻ってマフィアの事務所に戻って次の遊びは何って聴いたら泣きながら『もう二度と遊んでやる何て言いません!帰って下さい』って言われただけだよ?」
「それは人郎さんだからよ・・・他の人だったら死んじゃうわよ?」
「そんな物かなぁ?そう言えば台北の徐老師の所に行くと毎回僕用のお茶に毒を入れてくれて出されたお茶を飲んだ後に「今回のは隠し味に地獄朝顔の汁ですか?何時も気を使って頂きありがとうございます」と言うと徐福老師が「何故こいつは何とも無いんだ・・・毒は奥が深い」と肩を落としてるけど普通の人はあんなに弱いので効くの?ピリッとして美味しいのに?」
私の横に居る紅さんと私は額に手を当てて溜息をついて顔を見合わせる。
首輪の加護や地獄の使者の能力で死なない私を別にしてここまで不死身なのは世界で人郎さんだけだろう。
いくら自分の旦那さんでも私で無ければ身が持たないと思うわ。
あと精神的にも・・・。

近くの椅子に座っている黒蜜おばばやバーバ・ヤーガも「「リアルで人狼怪人はヤバイわね」」と言っている。
もし、人郎さんが悪い人だったら世界は大変な事になっていたかも知れない。
「人郎さんはNEETと思われているくらいが丁度いいわよ。とっても強いんですもの」
ボンテージ衣装を着てベルトに鞭を挟んだ私は魔法で小さくなって可愛い人郎さんを撫ぜながら私達は似合いの夫婦なのかしら?とフト考えた・・・。

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