甲斐犬黒蜜のお使い

牛耳

第64話

箱根のホテルに着いた黒田の魔女達と地獄と天界の面々はその夜、温泉街中の酒を飲み尽くした。
次の日、二日酔いでヘロヘロの地獄と天界の方々を尻目に迎え酒と言い朝から飲みまくる魔女達。
地獄と天界の夏休み三日間で彼女らの飲んだ酒代は恐ろしい金額になり最終的に地獄と天界の折半に落ち着いたが彼女らは地獄と天界の両方から悪夢の魔女と呼ばれる様になった。

帰りの伊達男さんの創作フレンチは最高だった。
余りの美味しさにお店を出しては?との声が上がるほど。
「本場のパンがあればもっと美味しくなるんだがな・・・それと生産地でしか食べられないフレッシュチーズ」
横浜でキャンピングカーから降ろして貰う前に伊達男さんが言った一言から私は真っ黒い甲斐犬の姿で買い物籠を咥えパリを歩いている。
先ずは19世紀末からある超老舗のPa○lと言うお店。
このお店はフランス全土にあるけれどもその本店へ。
黒い看板に店の名前がシンプルに描かれている。
ここの人気は創業当時から変わらなバゲット、シンプルで料理の邪魔をしない優しい味。
店内に入るとサンドイッチやカフェタイムに出るクリームデュプレが!人化して食べて行こうかしら?でも今日は何軒か回るから我慢しましょう。
誘惑を振り切りバゲットを買って次のお店カ○ザーに。
このお店はクロワッサンが有名。
でもお店に入ると夏限定のレモンケーキがとても美味しそう!。
レモンケーキを睨んで唸っていたら隣で買い物していたマダムが何と自分が買ったレモンケーキを私の前に置いてMangez《たべて》と言ってくれたの!。
お店の中で大丈夫かな?と見回したら店員さんもニコニコしてる。
お辞儀してから、頂きま〜す。
うっ!旨い!。
フワフワのパン生地にレモンの輪切りが乗っているだけだけども噛むとジワ〜っとレモンの味と香りが口に広がる。
私、パンを食べて涙が出たの初めて。
食べ終えて口の周りに付いた甘い粉をペロペロしてニコニコ顔でいたら店員さんがクロワッサンを私の前に置いてくれたの!
あんまりにも美味しそうに食べてくれたから食べなさいだって。
おおっ!流石、フランスの新聞でクロワッサンNo. 1に選ばれただけあるサックサクでとても良い歯応え。
バターの風味がとても美味しい。

食べ終えて周りを見ると人集りが。
お客さんや調理場からも人が出て来てクロワッサンを食べて喜んでいる私を見に来てたみたい。
中にはスマホで撮影してる人も。
口の周りにクロワッサンが付いたままの顔を撮らないで!恥ずかしいから。
店員さんに買い物籠を渡しクロワッサンを買ってお辞儀してから店から飛び出す。
あー恥ずかしかった。
次のお店はバゲットコンクールで優勝した事のあるジュリ○ン。
ここのバゲットは小麦粉の味が良く判るそんな表現をされる。
もう店の近くに来ただけで焼けたパンの香りが胃を刺激する。
急いでバゲットを買って店を出た。
予定より一本多く買ったのはお店を出て直ぐにバゲットに齧り付く為に!。
ハグハグハグ、止まらない!ホントに小麦粉の味が判るわその後に甘みが来る。
ちょっと外側がバリバリするけどまたそれが良い。
あー!もう一口分しか残ってない。
出来立てのバゲットは我慢出来ないわ。
この後はドイツに移動してクワルクチーズを買って帰らなきゃ。
東京で黒蜜おばばや暇な娘や孫の魔女と料理をするキャンピングカーの伊達男が待ってるわ。

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