甲斐犬黒蜜のお使い

牛耳

第30話

お茶を飲んで四人で寛いでいたら黒蜜おばばと紫苑さん白龍さんがラウンジに入って来た。
席に座って黒蜜おばばが買い物籠から数枚の紙を取り出しテーブルに並べる。
「月の”静かの海”にこの魔方陣を設置して場所は買い物籠が知ってるから指示に従って蜜」
私は買い物籠に指示された場所に魔方陣を置いてくれば良い見たい。
「紫苑叔父さん。予言書に”甲斐犬黒蜜のお使い”と書いてあったなら人の姿では駄目だと思うの。それと言葉をまともに喋れる様に出来無いかしら?」
私の地獄の腕輪と首のチョーカーに付いている古銭を観察した紫苑さん。
「腕輪の魔力をコントロール出来れば言葉も姿もなんとか出来そうね」
紫のチャイナドレスをゴソゴソ探り中国の古銭を一枚取り出し自分の髪を一本抜く。
紫苑さんの取り出した中国の古銭は秦の時代の物凄く古い穴の開いた銅銭で魔法を掛ける触媒に最適だそう。
黒蜜おばばの付けてくれた古銭の上に重ねる様に秦の古銭を紫苑さんの髪でチョーカーの金具に縛り重なった古銭に右の人差し指で触れ。
「魔導の導きをここに」
重なった古銭がカタカタと音を立てる。
「蜜、言葉を話して見て」
「柱の裏から駄犬が覗いてる。カメラで紫苑さんを撮っててキモイから焼きを入れても良いい?」
私は、柱を指差しながら言葉を発した。
鬼の形相で柱裏にいる巌さんを睨むくれないさん。
「蜜ちゃんあの駄犬に焼きを入れても良いわよ。曽孫の嫁として躾けしてあげて」
頷いて駄犬に近づく私に紫苑さんが。
「蜜ちゃん。首の古銭に触れて変化しろと念じて」
駄犬に近づきながら古銭に触れ”変化”と念じると真っ黒な甲斐犬の姿に。
甲斐犬の姿に戻った私は、牙をニョキっと伸ばしカメラを持った駄犬に襲い掛かった。

ボロ雑巾の様になった駄犬を口か離し皆の前に戻った私に紫苑さん。
「地獄の腕輪の付いている右の前脚を地面にトントンとしながら”変化”と念じてみて」
右の前脚をトントンしながら念じると人の姿になる。
「甲斐犬の姿の蜜も可愛いい・・・」
人郎さんがポツリと呟く。
「人郎さんも蜜の古銭に触れながら念じると変化出来るわよ。人の姿になるには腕輪に触れて変化と念じてみて人郎さんが飲んでいる”特人化促進薬”蜜の腕輪の魔力を使って出来ているから同じことが出来ると思うわ」
私の首輪の古銭に触れた人郎さんが日本狼の姿に変わる。
狼の姿の人郎さんに右手を差し出すと右の前脚で腕輪に触り人に戻た。
「上手く行った見たいね。良かったわ。○の月を買いに仙台に行くのだからついでに牛タン弁当を人数分買って一度帰って来てくれない?」
ガマ口財布が入った買い物籠を差し出しながらニッコリ笑う黒蜜おばば。
当初の予定では午後に○の月を仙台で買ってそのまま月に行く予定だったけれども思っていたより早く魔方陣が完成したので昼食に牛タン弁当を食べようかと考えたみたい。
良いわね牛タン弁当。

「分かりました。牛タン弁当と○の月を買いに仙台に行って来ま〜す」
私は買い物籠を手に持ち私はズタボロの駄犬に蹴りを入れてから柱の裏の暗闇に紛れ込んだ。

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