エリートの男は未練を果たしに異世界に行く

双葉カイト

第3章 一か八か

 


 ここの宿屋にも通いつめてる時に思ったことがある。それは


「いい加減マイホームが欲しいな。」


 そう、これである。理由は簡単この宿屋に飽きたのとそろそろ自分たちだけのスペースが欲しいのだ。


 なので、ここはマイストに聞いてみることにした。


「なぁ、ここら辺でいい立地のところはないのか?」


「今の財力ですと…ここでは難しいかと思われます。理由としては内政関係の者達が多く競走率も高いものですから…」


「やはり…この国でマイホームはきついか…」


 改めて自身の立場である『中下級冒険者』の重みを理解した。


 外征関係に携わってる人をこの世界の人達は『冒険者』と呼んでいる。『冒険者』にもランクがあり、一定の戦績を収めたものを『上級冒険者』と呼ばれ、それ以外の有象無象の者達を『中下級冒険者』と呼ばれている。


 そしてここラトーナ帝国は、治安がよいことと商業が発達してることから土地代や生活費などがどの国よりも高いのである。


 しかし、その逆に給与などはどの帝国よりも格差が大きい言った事情があるのだ。だからここでの中下級冒険者の95パーセント以上はここでマイホームなどは持てず宿屋に通っている。


 そして極め付きにここの帝国にいるほとんどの中下級冒険者はガンダーウルフを倒したことすらないのだ。流石に上級冒険者となればもっと強いモンスターを倒してるだろうが、下級冒険者なんぞに目もくれないし、それに関しての情報もくれない。


「はい…それに傭兵団に関してもここでは結成はしない方が良いと…」


「あぁ…わかってる。だが他の国に行くとしてもそこに何かしらの形のコネか情報が欲しい…何もないまま突っ込むのは裸で突撃するようなものだ…」


 そう…まずは移動するにも何も武器や情報などを持たずに行くのは自殺行為なのだ。だからこそより世界の歴史や風習や気候などの情報に長けてる人が欲しい。


 マイストも知ってることは知っているが、得手なのはやはり金銭面。本来このことに関しては門外漢でも仕方ない。


「仕方ない…一か八か賭けてみるしかないな。」


 やはりこの情報に長けてるとしたらこの職種が比較的安牌。行ってみるしかない。


「しかし…どこに行くのでしょうか?」


「意外だと思うかもしれんが、ギルドだ。」


「ギルド…何故です?」


「それは着いてから説明する。」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 疑問を抱えたままのマイストを連れていつものギルドに着いた。


「さて着いた。そう言えば何故ここに行く理由を話してなかったな。」


「ええっ…もしかしてここには様々な人が集まってるから来たのかと思ったのですが…?」


 普通の人ならマイストのような考えを持つだろう。しかしこれはズレている。確かに人は多い分は情報も多いだろう。だが欲しい情報を持っているかどうかはまた別である。


「もし俺たちが低級の情報が欲しいならそれで正解だ。しかし俺たちはそうじゃない。」


「うーん…分からないですね。」


「そうか、なら説明するぞ。」


 まずここの王国の事情を簡潔かつ箇条書きで表すと、


 1,王国自体は裕福であり治安も良い


 2,治安が良いため商業などの内政が発達して、金のほとんどが上層部に集まる。


 3,商業などが発達してるため他国との情報も自然と上層部に集まる。


 4,しかし、上下の格差も激しいためなかなか上層部の持っている情報は手に入れにくいし下層部の持ってる情報は高が知れている。


「つまりはこうゆうことだ。でも冒険者にも希望は無いわけじゃないぜ。」


「どうゆうことですか?」


「どんな物事にも例外はある。ギルドなんてその最たる例だ。」


 何故か?ここでギルドの特徴を説明すると、


 1,様々な国からの仕事が集まっている。


 2,どんな下層部でも一応入ることは出来て、なおかつ質問や交渉も出来る。


 ここで重要なのは次の3番目である。


 3,ギルドの従業員は他国の情報を持ってる可能性が1番高い。


「しかし、どうして持ってるなんてことが予想できるのですか?」


「マイスト、仮に仕事を探す時とか他国の人と会う時に相手のことを調べずに行く馬鹿がいると思うか?」


「それってつまり!」


「そう…奴らは"情報を知っていて当然"という最低条件がある。それに見てみろ、張り出されてるクエスト。明らかに中下級冒険者向けじゃないやつとか他国遠征を前提にしたものまでありやがる。」


 クエストをよく見ると星1や2のものが多いが、中には星5や8などの高難易度向けのものもあるし他国への派遣クエストもある。


「コネはねぇかもしれないが情報は絶対に持ってる。それを根こそぎ奪うのさ。」


「は…はい…しかしどうやって取りにいくのですか?」


「そこは分からねぇ…カードを持ってるのは向こうだからな…だから一か八かなんだ。」


 そういい俺は立ち上がり、ギルドの受付嬢に交渉を持ちかける。




 これからが本番だ。成功するかも分からないが失敗を考えては先には進めない。

















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