エリートの男は未練を果たしに異世界に行く

双葉カイト

第4章 始まりの夜

 




 俺はそこで立っていたギルドに受付嬢に話しかけた。


「おい、ちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?」


「は、はい!何でしょうか?」


 受付嬢はキョトンとした表情で俺を見る。


「突然ですまんが俺は……他の帝国に行ってみたいのだが、その為に色々と情報が欲しいんだ。もし良かったらそちらで教えてくれないか?」


 突然のことで受付嬢は困惑している。


「え……えーと……ちょっとリーダーに伝えますので少々お待ちください!」


「あぁ。ありがとうな。」


 ここまでは順調だ。問題はここから……もし向こうが交渉のまもなく拒否したらこちらとしては何も手の打ちようがない。


 しばらくして、先程の受付嬢が戻ってきた。


「あ……あのー…新井様?リーダーがあなたのことを呼んでいましたので案内させてもらいますね……。」


「ほう…些か予想外だがまぁいい….。」


 そうして受付嬢に案内されて、事務室らしき所まで着いた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ここです…では私はこれにて……。」


 案内を終えたあと、受付嬢は何処かへ去ってしまった。


「ほ…本当に大丈夫なのでしょうか……。」


 マイストが不安そうにしている。無理もない、やってることはギルドに喧嘩を売りに行くのと大差ないからだ。


 若しかしたら、すぐに捕まる可能性も無くはない……だがもう何を言っても引き返せないが。


 丁度その時、リーダーらしき人物が現れた。


「あら、初めましてね。私はここのギルドリーダーのエレンと申します。先程受付嬢から話を聞いたのですが、貴方達中下級にわざわざこちらが情報を渡すなどと馬鹿げたことを考えていてらっしゃって?」


「ああっ……そっちは色々情報を持っていると思ったからな。もちろんタダでもらえるなんて思っちゃいねぇよ。」


「それでは勝負しませんか?もし勝てたらなんでも情報を与えますが……負けたら分かっていますよね?」


 その女は見下すように俺を見つめている。


 だが断られたわけではないようだ。そこだけは本当に安心した。


 もし断られたらこちらはどうしようもないからだ。


 勝負事は上等。絶対に一泡吹かせてやる!


「ああ!ルールはどんなやつだ?」


「ルールは簡単ですよ、合計52×4枚の1から13の数字のカードと2枚の特殊カードの中から私とあなたが13枚の手札を持ち、要らないものを捨てつつ如何に早く相手よりも強い役を立てられれば勝ちよ。


 しかし、山札もとい余ったカードが全てなくなってしまったときは引き分けになるわ。


 役の種類は主に『三数同』『四数同」『階数列』があるわ。もちろん例外もあるけど。


『三数同』と『四数同』は同じ数を3枚か4枚揃えれば完成よ。点数は『三数同』で15点『四数同』で30点よ。


『階数列』は1、2、3みたいに数が続くようにして、かつその数が3枚以上の時に完成出来るわ。つまり1、2や6、7のように2枚以下の場合は完成と見なさないし……1、2、3、4みたいに4枚以上でも繋がればその役として完成よ。


 点数は3枚の時は20点、以降枚数に応じて10点ずつ加算されるわ。


 そして、ありえないと思うけどもし『同じ種類』で『1から13までを階数列』で完成出来たら、相手の役に関係なく勝ちになりボーナス点2000点を与えるわ。


 そしてゲームに使うのはこの『カード』よ。」


 そして目の前に5種類のカードを差し出された。


 それぞれ、『剣』 『弓』 『馬』 『槍』 『龍』が描かれている。そして『龍』を除くカードに数字が書かれている。


「カードにはレートがあります。まず特殊カードの『龍』ですが、このカードは2枚しかありませんので役は出来ません。しかし、もし2枚揃えられたらその時点で『天龍』になり、点数を5倍にできる最強カード……逆転も可能な魅惑のカード。ですがそれを狙って負ける人もいるのでご注意を。


 次に『剣』などの数字カード。これはもし『三数同』などで同じ種類が揃った場合にレートに準じた倍率が加えられるもの。レート倍率は『剣』と『槍』で3倍、『馬』で5倍、『弓』で4倍です。」


 まるで麻雀みたいだな。だがややこしさは麻雀よりこっちの方が上だが……。


「あと最後に重要なルールを教えますね。もし上がりたいときは『エン』と言ってください。しかし、早く上がったとしても勝てるわけではありませんが……。」


「どうゆう事だ?上がったら勝ちではないのか!?」


「ふふふっ…呆気に取られてますね。そこのところを説明致しますと、上がった時の点数計算は上がった人だけではなく相手も同時に計算するのですよ。」


 同時に計算する……つまり上がることを考えて早い手を打っても返り討ちにされるということか……。


「例えば、あなたが早上がりで只の『三数同』1つで上がったとしましょう。この場合15点あなたは私から奪えますが、その時私の持っている手が『剣』の『四数同』が完成していた時、30×3で90点あなたから奪うことが出来るのですよ。つまりあなたは90-15で75点失ったということです。」


 なるほどな……引き分けになる前に如何に強い役を作れるかが鍵になるのか。


「ここまでの説明でわかりましたか?私としてはすぐに始めてしまいたいのですが。」


「ああっ…始めようか。必ずあんたから情報を聞き出してやるぜ!」


「ふふふっ…威勢だけはよろしいようで。」


 そして……この夜勝負が始まる。破滅をかけた戦いが。お互いに1歩も引けないものを賭けて!





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