異世界でひたすらコンティニュー!
第2話
あの異世界で存在してはならないK察に捕まって色々と面倒だったが、またこの異世界に戻ってこれた。
今の時刻は始まりの夜、つまり異世界に来たばっかりの時だ。
「あー……あのジジイの小言めっちゃうるさかったな〜……てか充電器わからねぇって脳みそ退化してんじゃねーのか?」
自分しかいない部屋の中でジジイを罵倒しつつ、ジジイから貰った充電器でスマホを充電する。
「とりあえず学校がどんな感じなのか見ておかないとな!まだ授業何一つ受けてねーし!」
一応俺は高校生という設定なのだが、まだどんな高校かさえも分かってないのである。
「だが、あのエルフちゃんがいるってことは少なくても学校の女の子には期待は持てそうだ!」
あの通学路で出会ったエルフ娘。
今でも鮮明にその姿を思い出すことが出来るぐらい脳に焼き付いている。
「本当ならぺろぺろと全身を舐めまわしたいんだが……あの警察が邪魔なんだよなぁ!!」
1:1でも勝てるわけないのに、それを複数人で襲いかかるのである。
こんな状態で勝率は無いことは小学生でも分かる。
かといってなにかいい名案がある訳でもないため、どうしようもできない。
なので今は
「ーーよし!今日は寝よう!!」
とにかく遅刻だけは避けないといけないため、早く寝ることにした。
次の日の朝
「ーーよっしゃ!余裕で起きれたぜ! 」
登校時間の2時間前に起きることが出来たので、気分は最高潮であった。
ここから高校まで徒歩で30分で行けるので、遅刻の可能性はもう0%であろう。
しかし、問題は如何にこれからの高校生活を充実させることである。
「とりあえず今日は入学式だから、ちゃんとこれからの高校生活についていけるように頑張らないとな……。」
いくらコンティニューがあるとはいえ、最初からおいてけぼりにされてしまうと逆転は難しいし最悪ゲームオーバーにされかねない。
ゲームオーバーにならないために、絶対に必要なことは無計画で行かないことだ。
無計画で行くことは、凶悪モンスターに武器や装備なしで突っ込むことと同じ意味でありまず敗北は必至だ。
「しかし……どうしようか……?俺は未だにまともな学校生活なんぞ送ったことないぞ!」
中学、高校と学校には在学していたがそのほとんどが登校していなかった。
そんな俺にどうしたらまともな高校生活のアイデアが思いつくのか……。
「ーーやっぱりコンティニューしまくって探すしかないか……。」
 
今の俺が出来ることは失敗してそれを活かすことしか出来ないのだから。
「そうと決まったら早いところ行かないとな!」
やる気満々のまま、高校に向かうことにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「しかし……異世界と言っても街並みはほんとに何も変わらないんだな〜……。」
  普段から目にしていた住宅街と何も変わらないので、もし何も知らなかったらここが異世界だと気づかないだろう。
「んで……ここを左折か。結構道が入り組んでいて地図なければ迷うぜこれ絶対……。」
高校まで徒歩で30分の距離なのだが、これがどうもアリの巣のように無茶苦茶ややこしいのだ。
「俺の高校はとんだド田舎なのかよ……もうちょっとわかりやすいところに作って欲しいもんだ……。」
そんな独り言を呟いていると、何処からかいい香りがする。
「おっと……こんな早くに食べ物屋さんがやっているのか?時間もあるしちょっと見ていくか!」
つい自分の欲望のままにそこに向かう。
すると、何やらケバブみたいなものを売っている屋台があった。
「いらっしゃいませ!こちらのメニューをどうぞ!」
店員からメニューを渡され、一通り眺めてみる。
(えーと……このケバブみたいなのが『ケラト』って言うのか。多分肉だから上手いとはおもうが……。)
初めてのものを食べるとなるとかなり戸惑いがあるが、好奇心というものもあるためここは頼むことにした。
「じゃぁ……『ケラト』をお願いするよ。」
「では料金は300メセトになります!」
メセトはこの異世界でのお金みたいなものだ。
日本円にしていくらの価値なのかは分からないが……この値段設定を見るにほぼ同じであろう。
料金を払ってからそんなに待たずに例の『ケラト』が来た。
「よし!早速頂くとしますか!!」
「おい!まてそこの学生!」
異世界最初の飯を食おうとした時に誰かに呼び止められた。
声のするほうを向いてみると、そこには背の小さい幼女がなにやら怒っていた。
「貴様よく入学式当日というのに、こんな所で買い食い出来たな!恥を知れ!」
なにやら買い食いに対してキレているみたいだが、如何せん迫力が皆無であり反応に困る。
「恥を知れって……学生が何処で飯を食べてようが自由だろー?そもそもあんたみたいな子供がこんなところで彷徨いてどうしたんだ?」
「子供じゃなーい!!私は立派な高校生なんだぞ!!」
その身長で高校生かい。こいつもしかしたら自分のことを高校生だと思い込んでいる小学生の間違いじゃないのか?
「あっはっはっ!冗談はよしてくれ。その身長で高校生なんて誰も信じないぞ!むしろランドセル背負って『私は小学生だぞ!』って言った方がまだ信じられるぞ。」
ニヤニヤしながらその幼女を煽っていると、その子の顔がさらに赤くなっている。
「うぐぐ……口を開けば背がちっちゃいだの子供だの色々バカにしてー!」
だって小さいのは事実だし。バッグよりもランドセルの方が間違いなく似合ってるし。
「なら証拠を見せてみろって。色々と見せてくれないとこっちとしても認めるわけにはいかないんでな?」
「ふふふっ……私を散々バカにしたんだ!……後悔するなよ?」
「なんだなんだ?小学生なのにもう厨二病患ってるのか?」
幼女は俯いて、なにかを探しているようだ。
「これでも喰らえー!!」
ビビビビビビィィィィィィィっっっっ!!
その瞬間、けたたましい音が鳴り響いた。
「てめぇ!何した!!」
俺が幼女に聞こうとした瞬間。
『警察だ!!そこを動くな!!』
また例の警察(しかも前と同じやつ)が来やがった。
「またお前らか!この朝から暇だな!ちゃんと仕事してこいや馬鹿ども!!」
『うるさいぞ!じっとしてろお前!』
「こっちのセリフだ!いつもいつも邪魔しかしてねぇんだから!」
『確保ー!!!』
必死の抵抗も虚しく俺はまた警察に捕まってしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「やぁ。また来たなお主は。」
目覚めたらまたこのジジイと再会していた。
「相変わらずお主は懲りんのぉ……。」
「俺だって捕まりたくて捕まってねえよ!!」
幼女だと思って油断していたらまさかブザーを鳴らされるとは思っていなかった。
てかあの警察がほんとに邪魔である。
「くっそ!とりあえずはやく生き返されてくれ!」
ここで悩んでいても仕方ない。残機は無限!いくらでもやり直せる。
だが次のジジイの言葉に疑問を持った。
「ほいほい……じゃぁいつもと同じあの夜の時間に蘇生しておくわい。」
《いつもと同じ》
そうなると考えられることがあった。
この後、まさか本当にそうだったとは思わなかったが……。
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