異世界でひたすらコンティニュー!
第1話
改めて目を覚ますと、俺はどこかの部屋のベッドの上で寝ていた。
今は夜なのか部屋が暗くなっていたので、なにか明かりがないかベッドの周りを探ってみたら、枕元にスマホらしきものがある。
スマホの明かりを頼りに電気のスイッチらしきものを探る。
スイッチを見つけ電気を付けると、自分の部屋とは全く違いかなり質素な部屋になっていた。
「ほんとに俺は異世界に来ているのか?」
まず疑問に浮かんだのがそれだった。理由として自分が思い描いていた異世界とはかけ離れているからだ。
ファンタジーの世界で魔法を使いながらモンスターを倒し、巨乳エルフからロリっ子魔法使いとかにに惚れられて超リア充オーラでイケメン騎士とかを憤死させ、
さらには馬を使い野原を駆けて様々な世界を巡り行く、そして最後には金髪碧眼の王女や姫を貰い祝福されたアフターライフといった超イージーモード。
それが俺の異世界であり、かつての世界では全く叶うことのない理想の夢である。
しかし、この光景を見るとそんなことは無いみたいだ。むしろかつての世界とほぼ同じである。
「あーーー!あのハゲに騙されたのかー!」
やっぱりあいつは神様ではなかったみたいだ。今度また会った時はテッカテカの頭を蹴飛ばしてやる。
イメージトレーニングとして蹴りのシュミレーションをしていると、勉強机にメモが残されていたことに気づいた。
「ん?なんだこれ?」
ペラっとメモをめくり、流し読みをしてみた。
内容は
『お主は明日から異世界で高校1年生として過ごしてもらうことにした。お主が手に持っていたスマホはなんとか持ち込みOKだったから持たせておいたわい。
それと高校生活のための教材やら少しばかりのお金やらもあるからあとは自分で何とかせい。
あと初日の遅刻はアウトだからはよねろ。By、童貞こじらせた股間短小やろうにわざわざアドバイスを送ってあげている最強巨根のモテモテの神様から。』
名前長いし長文で分かりにくいし煽りがウザイのでビリビリの細切れにしてやってからゴミに捨ててやった。
そして明日に期待を持ちつつベッドにIN!からのおやすみ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
遅刻しないように設定したアラームに合わせてなんとか起き上がり、クローゼットにかけてあった制服を着た。
ほんとに制服を来たのは結構久しぶりな気がする。思えば昔の俺も高校デビューした時はワクワクしながら着ていた気がするな。
だが、それはかつての話!ここは異世界!なら過去は捨てておき今を生きなければ!
そして準備を終えて、高校に向かうことにした。
そこでの風景は、まさに異世界そのものだった。人々が空を飛び交っていて道行く人はみんな美人!!
やっぱりあのハゲは神様なのであろうか……これには俺の期待も最高潮!そして約束されし最高の高校生活!!
ちゃんと高校の場所とかは事前に調べておいたし、何かあったらこのスマホがある!
これこそ俺の特権!みんなこのスマホを見て驚くことだろう!その後人気になった俺は女の子からモテモテの存在になるのだ!
なんて簡単なんだ!あの世界と違ってハズレ無しの美女に受験やなにやらに追われることも無い!ハーレムを築くのにここまでいい環境はない!
しかし、意気揚々としてスマホを付けようとしたが電源がつかない。
「あれ?これもしかして?」
スマホ最大の天敵、充電切れである。しかもここは異世界。そんな都合よく充電器なんてあるわけない。
「あ゛あ゛あ゛あ゛!!!充電器もちゃんと準備しろよー!あのハゲーー!」
しばらく野獣の叫び声をあげていたら、「大丈夫ですか?」と女性の声が聞こえる。
思わず振り向くと、そこには金髪碧眼のエルフ娘がいるではないか!しかも胸がでっかい!
おほ〜たまらねぇぜ!
「あぁ…大丈夫さっ!ところで君の名前を聞いていいかい?」
ここはカッコを付けて好感度あげることにしよう。そしてパパパッとやって彼女の攻略完了!幸先のいいスタートだ!
「わ…私は今日から高校生のエリカと申します!その制服は同じ高校のものですよね!もし良かったらよろしくお願いします!」
そしてぺこりとお辞儀をしてくれた。
昔の俺ならここで攻めることを戸惑っていただろう、
しかし、今の俺は残機無限の無敵モード!それなら攻めて攻めるしかない!
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「きゃぁぁぁぁぁ!?」
全力で突撃し、彼女を抱きしめた。
しばらく、無抵抗な彼女のいい香りを浴びながら至高の時間を味わっていると
「警察だ!!!」
「お前はそこで何をしてるんだ!」
異世界ムードぶち壊しの奴が来た。ここに来て警察とか何を考えていやがる!
「この空気読まない警察が!離せコラ!」
「抵抗しても無駄だぞ!」
「3人に勝てるわけないだろ!」
そんな感じで現実は非情であり、3人の警察に囲まれた俺は何もできずに捕まってしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「いやお主は何をしておるんだ?」
警察に捕まりゲームオーバーになって早々このジジイと会ってしまった。
「あんたが残機無限って言ってくれたから突貫しただけだよ。別に無限コンティニューだからいいだろー?」
「ん〜……お主がホントの童貞なのはよく分かったわい。まさかコンティニューをこんな使い方されるなんて思わなかったぞ。」
まさかの同類にまでこんなこと言われる始末。すっげえ腹立つ!
「てかなんで警察いるんだよ!!あそこ異世界じゃねーのかよ!?」
「お主の中の異世界は法律も警察も存在しないのか!?」
なんかジジイが目ん玉ひんむいて驚いてやがる。
それはそうだろう……ファンタジーなのだから法律やら警察やらはいたらおかしくないか?
「それに法律が無かったらお主みたいな貧弱童貞なんかは即射殺かよくて一生村人Aの立場になるだけだぞ!」
こいつ……ジジイの割に言うこと言うじゃねえか……。
「あー……次はちゃんと攻略して見せてやるよ!ちゃんと見てろよハゲ!それとスマホの充電器をよこせ!」
「ん?充電器とはなんぞや?」
ま……マジかこのジジイ……充電器が分かってねぇのかよ!それでいてなんでスマホのことは知っているんだよ!
「このスマホを動かすために必要なものだよ!!」
「おぉっ!お主に渡したものか!それでちょっとどんなものか見せてもらってもいいかの?」
「だーかーらー!!!電源がつかねぇんだよ!」
相変わらずボケをかましているハゲに飛び蹴りしようかと思ったがやめておいた。
そしてこのジジイに説明すること15分後、
「あー……そう言うことか……それなら充電器を渡しておくぞい。」
「理解するのが遅せぇよ……てか早く渡してくれ。」
とりあえずハゲから充電器を手に入れることが出来た。これでスマホが使える!!
「よし!今度こそ成功するから見てろよ見てろよ〜!ハゲー!」
「そのやる気がどこまで続くか見ものだな。」
やる気満々の俺をジジイは白い目で見ていた。また失敗すると思われてるのだろう。
だが今度はスマホが使えるから成功するに決まってるではないか!
「そんじゃ、俺は異世界行くから!そこで寂しく俺の活躍でも見てるがいいや!」
高笑いしながらジジイの世界にお別れを告げた。
さて…あの世界にはどれほど可愛らしい娘が居るのか……あのエルフ娘が居たから期待値は高いぜ!
そんなことを思いつつ、意識を失っていった。
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