この世で5番目に強い男

暗喩

第12話 神々の庇護


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 とりあえず、ピールの発動した"神々の庇護"がひと段落すると、俺は辺りを確認した。


 正直に言って、予想外の出来事が多かった。

 まず最初に驚いたのは、先程までアレだけ余裕の表情を見せていたローブの男3人は、すっかりと魔力を吸い取られて虫の息になっているという事だ。

 英雄との決別前では、この様な能力は一度も見たことが無かった。
 俺の知っている頃は、単純に《一定期間周囲の魔法攻撃を封印する能力》というスキルであったのだが、そこに《魔力を吸い取る》なんて力までつけられちゃ、敵が何人いても溜まったもんじゃない。

 生命力の根源は魔力。魔力が尽きた時は、死を意味するのである。


 加えてこのスキルの利点は、味方が発動した魔法に関しては、一切影響を受けないという点だ。
 おかげさまで、先程俺の最高に格好悪い技名である【+デスロール+】は効力を続けている。


 マジで、チートすぎでしょ。


 しかも、背後のテント内から確認できていた魔法陣も綺麗さっぱり消え去り、連絡用の水晶は粉々割れていたのだ。


 要は、詰み。
 どうだろうか、ウチの幼馴染は。
 現実ではあり得ないくらい強かろう。


 こんなんが後3人もいるんだぜ。無理ゲーでしょ。


 こんな奴らの近くにいたら堅実な道を歩みたくなる気持ちも分かるでしょ。


 まあ、本当は魔法陣の行き先も知りたかったところではあるんだけど……。

 どちらにせよ、もうこんな惨劇を起こしてしまった以上、このまま放置したら俺も逃れられない訳で。

 というよりも、多分このままこいつらを適当に監獄に入れたとしても、王国側に潜んでいる仲間かなんかからのリークで結局命を狙われる。

  
 だったら最終的にこの件は根本から終わらせなければならないんだ。


 という事で、俺は今からやらねばならぬ事を実行したのである。


 まずは、さっきまで散々調子に乗ってたローブの3人には短刀で死なない程度の致命傷を与えて寝てもらった。

「ありえない!! 」とか言っていたけど、ごめんなさいね、あり得ない力を持った幼馴染に楯突いたのが運の尽きってもんだ。


 その後で、ビビりすぎて失禁している情けない姿のブクブク太ったベルバラジとか言うクソ大臣と、ファラー元老院なんて大それた名のついた干物ジジイの目の前にやって来た。

「や、やめてくれ! 金なら出す! だから、殺さないでくれ! 」

 なんて喚いていた。
 体格の良いメタボのオッサンとおじいさんは年甲斐もなく泣いてた。

 同じく、普段は秀才ぶっていたミルデン達も俺の魔法で縛られながら泣いてた。
 これはこれで、なんかちょっとエロいな。

 で、そんな見る影もない大臣と元老院に短刀を構えたのであった。

「ひぃーーーー!!!! 」

 嗚咽を漏らして泣いている。

 だが、俺はとりあえず剣を鞘に戻す。

 同時に、2人はホッと胸を撫で下ろした様子でいた。


 そんな2人に対して、俺はこう告げる。

「大丈夫だよ。決して殺したりはしないから」

 そう口にすると、ピールはやたらと怒っている。

「何言ってるの、バカミルド!! こいつらは、国を貶めようとした悪党なのよ!! いくら村人に戻ったからって、悪人を見過ごすなんて、流石に堕ちすぎだわ!! 」

 と、俺に抱きつきながら脇の下の辺りをクンカクンカしながら叫んでる。
 流石にそれは慣れてても恥ずかしいわっ!! 


 いやいや、今ここで殺してしまったら、それこそ各地に潜む"反国王派"が全力で国家への宣戦布告としてテロ行為などを行う可能性がある。

 それに、そう簡単にこの貴重なカードを廃棄なんてするもんか。
 俺は、最終的には村人に戻りたい訳で。
 その為には、こいつらは"必要"なのですよ。

 という事で、ガヤガヤとうるさい痴女ピールは完全に無視して、2人にはこう提案をする。

「ここにいる全員、俺の命令に従うと言うのならば、命は取らないでやろう」

 俺がそう告げると、ベルバラジ、ファラーは俺に向かって土下座をしながら、「仰せのままに!! どんな使命でも!! 」と、一命をとりとめた事に喜びを感じていた。


 ……まあ、これから彼らには俺のマリオネットとして地獄を見るくらい働いてもらうんだけどね。
  

 という訳で、これからこいつらには根掘り葉掘り"反国王派"について話してもらうんだけど。

 絶対に裏切らせない様に、反旗を翻した瞬間に死ぬ "契約"の魔法による呪いをかけた後で。

 俺の平穏な日々を奪い取った罪は重すぎるもん。
 というよりも、俺はこの手札を使って一刻も早くこの件を終わらせるんだ。
  

 もう後戻り出来ないなら、早いところこの大き過ぎるミッションを果たさないとね。


 そして、王女様って知っちゃったけど今だに超好きで仕方がないリンドとの青春を謳歌するんだ!!
  卒業したらお別れなんだけどね……。

 それを決意すると、この謎が多い悪党どもへの尋問を始めるのであった。

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