この世で5番目に強い男

暗喩

第9話 やることは決まった


ーーーーーー

「これが、その証」

 リンドが無い胸の中からルビーとも似た輝きを見せるネックレスを見せた。

 そのネックレスの裏に刻まれた家紋は、間違いなくシャンデリア家の紋章だった。


 いやぁ〜、驚きましたわ〜。
 まさか、リンドったら王女様だったでございますとは。

「ごめん、ミルド。今まで黙ってて……」

 良いさ、プリンセス。
 もうこれで僕と君のラブストーリーは絶対に無き者になったのは全然気にしてはいないさ。
 ホント、マジで、全然、気にして、ないから。マジで。

 
 そんな感じで放心状態になっている俺に、ブリザークは耳元で「人知れず振られたな……」と、渋く囁きやがった。

「うるせえよ……」

 俺が泣きたくなる気持ちをギリギリで抑えてそう返答すると、グレイスは勇敢な顔でこう続けたのである。

「まあ、何にせよ、この場所に第一王女殿下がいる以上、余計に失敗が許されなくなったな」

 確かに、彼の言う通りだ。
 この場所に、王女がいる以上、絶対に失敗は許されない。
 もしかしたら、反国王派の人間は、元々知っていたのかもしれない。
 だからこそ、この辺境の学園に刺客を送り込み、王家の一大スキャンダルを起こしてやろうとしてるとか。

 だとしたら、早急に手を打つ必要がある。

 だが、そう易々と言える事ばかりでは無い。

 何故ならば、俺が把握している反国王派の人間は数名しかいないからである。
 俺はこの"洞察"の力に反応を起こさない者や外部で控えている者などの可能性を示唆した。 
 
「それならば、まずは反国王派をおびき寄せる必要があるな」


 俺が小さく呟くと、彼らは力強く頷いた。

「でも、今回の件にて、グレイス、ブリザーク、モスの3人は攻撃禁止な」

 そう告げると、ピールはなんか嬉しそうにしていた。

「って事は、私はアンタについて行って良いって事ね!! 心外だけど、有事だから仕方ないわね! 」

 なんて言って喜んでやがった。このお花畑が。

 だが、それは良いとして、そうなると、まず必要なのは敵の全貌なんだよなぁ。
 どうやって調べようかって話なんだが、俺は何となく引っかかっている言葉があった。

『……じゃあ、後はヌベルの森で』

 これは、ミルデンと他クラスの地味なリベラが話していた会話。それも、人目の付かない旧校舎の裏側で。

 なんでそこに俺が居合わせかって?
 それは、そこに畑があったから。
 本当にたまたま知ったわけだ。

 だが、危険を察知したから仕方なく普段は滅多に使わない"潜伏"のスキルを数年ぶりに使ったわけだ。
 バレたくないし、変な争いにも巻き込まれるのもゴメンだ。


 なんにせよ、奴らの本拠地が"ヌベルの森"にある事は間違いないわけで。


 只、盗み聞きしていたってこいつらに思われるのも癪だし、なによりも、王女発覚後も尚、俺が心をときめかせ続けるリンドに盗聴魔なんて思われたくない。

 というわけで……。

「実は、以前から奴らの足取りは追っていたんだ。その結果、どうやら"ヌベルの森"が本拠地であると推測した。奴らの会話から、間違いないであろう」

 俺は誤魔化すように皆へそう告げた。

 ……すると、彼らからは歓喜の声が湧き上がった。

「流石はミルド!! 僕らの頭脳担当は、既に気づいていたのだな!! 」

 彼からは口々に俺を称賛した。


 ちょろ過ぎるだろ。


 という訳で、やる事は決まった。
 まずはヌベルの森へ行き、俺の潜伏スキルで本拠地を確認しに行くという訳だ。

 スキルの影響は、自分を含め2人まで可能という事で、俺の守護役としてピールを連れて行く事になった。

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