この世で5番目に強い男

暗喩

第8話 自白×自白


ーーーーーー

 部屋に戻ると、この件のみ協力してやる事を俺は4人に告げた。

 すると、相変わらず都合のいい耳を持っている彼らは、口々に「やっとまた5人でやってくれる気になったのか!! 俺は嬉しいぞ!! 」とか、「ば、バカミルド!! これからも私達の為に尽くしなさい!! 」とか、「モス、ミルド兄、好き……」など、的外れな勘違いをしていた。

 むしろ、グレイスに至っては男泣きしている。

「なんか僕、昔に戻れた様で嬉しいよ。やっと、僕達の願いは届いたんだ!! これからも5人で頑張って行こうなぁ〜」

 とか、号泣と言っていいほど泣いていた。
 仮にも国王軍最強の騎士で"英雄"の男が。

 どうせ、コイツはどこに行ってもモテモテなんだろうな。無駄にイケメンだし、正義感強いし、少しお馬鹿だけど優しいし。むしろ、なんか少しムカついた。

 でも、そんな男がたかだか村人でしかない俺の為に泣いてくれていた。
 幼い頃から仲の良かった仲間が俺の為に……。


 ……別になんとも思わなかった。テヘペロ☆


 それよりも、付いてくると言って聞かずに無理やり入ってきたリンドは俺とグレイスの熱い友情に涙をぬぐっていた。

「ウチのミルドにもこんな友達がいて、あたしは嬉しいよ〜」

 いや、母親かよ。
 まあ、"ウチのミルド"なんて言われるのは、少し嬉しい訳だが。好きだわ。ウチの嫁になってくれ。


 なんにせよ、これからも一緒に行動するという勘違いはあとでしっかりと訂正させてもらうとして、俺は粗方想像し得る幼馴染の狙いを言い当ててみせた。
 
 この学園に変な者が紛れ込んでいる事、俺の"洞察"を使ってこの件を最低限で終わらせようとしている事。その先の話は、敢えて言わなかった。

「そ、その通りよ。最初からアンタは全部分かっていたのね……」

 ピールはそんな事を呟きながら珍しく俺に関心の視線を向ける。胸元には、先日行方不明になっていた俺の枕がある。えっ……?

 考えていたらめまいがしてくるので、気を取り直して話を続けた。

「何となく、入学した時から怪しいやつはいたんだよ。まあ、大して強くはないと思うぞ。何故ならば、俺以下だから……」

 それを聞いた4人は、驚愕した。

「まさか、もう既にその敵の目星がついていると……? 」
 
「まあな、お前らも知ってるとは思うが、俺のスキル"洞察"は、嫌でも危機に反応する。そんで、入学からずっと、ミルデン始め5人が俺の脅威であると認めていた」

「という事は、奴らは反国王派の流れをくむ者……」

 俺は、グレイスから出た"反国王派"という言葉に反応した。

「"反国王派"とは……? 」

 そう問いかけると、彼ら4人は分かりやすく動揺した。

「い、いや、何でもないんだ!! ハハハハハ〜!! き、気にしない事だぞ!! 」

「そ、そうよ!! パンはコックに作らせると美味しいって話よね!! 」

「兄さん、ピール姉、ブリザー兄貴。もう弁明は無理……」

 多分、国家機密かなんかで漏らすなとか釘刺されてた情報を、口を滑らせて漏らしちゃったんだろうな。
 ホント、この幼馴染達は戦い以外だとダメダメだなぁ。昔からだけど……。


 どちらにせよ、そこからはもう聞かないのが利口ってもんだ。じゃないと、全貌知ったんだからって口実をコイツらに与えてしまう。そうなったら絶対に『軍に入れ』とかその類の話になるに決まっている。

 だったら、深入りしないが吉。
 これで終わりにして帰ってもらって、俺はまたリンドと平凡だけど暖かい学生生活を送るんだ。


 ……と思ったのだが……。


「ごめんなさい、英雄様方!! もしかして、あたし達の国を狙う不届き者がこの学園にいるのですか?! 」

 り、リンドォーーーー!!!!

 俺は、一瞬で焦り始める。
 まさかの切り込み出すお馬鹿がもう1人いたのである。

 それを聞いたグレイスは、渋々重い口を開け始めた。
 
「まあ、今の言葉を聞いて御察しの通りなのだが……。リンドちゃんにまで告げねばならなくなってしまったのは、僕のミスでしかない」

 うん、明らかにお前のミス。相変わらず嘘が下手。


 それから、グレイスは聞いてもいないのに"事細か"にその組織についての話をしてくださりやがった。

 要は、この学園、並びに各都市に点在する"反国王派"の連中は、圧倒的な"英雄"を前に真っ向から挑んでも勝てないと踏んだらしい。

 それが故、"ヒブリアン国"と結託して、以前より忍び込ませていたスパイを使って民衆に国王が辺境にて虐殺等を行っているという捏造を行い、クーデターを起こそうと画策していると。

 国家レベルの企みな為、その判別は極めて難しく、力のみでは解決しきれない事案としてグレイス達は困っていたという話らしい。


 だから、俺だったのか。
 そこまでは知らんかったが、なんとなく理解した。


 俺はそんな話を聞いて苦笑いしながらも、もうここまで知ってしまったのだから、この一件後にどうやって彼らを帰すのかという事に考えをシフトさせていた。

 ……だが、そんな時。


「許せない……」

 リンドが小さな声でそう呟いた。

「おい、リンド……? 」

 俺が探り探り彼女にそう問いかけると、更に怒りを露わにした。

「許せないし、卑怯だよ!! だって、それって"お父様"を悪者にして、我が"フリード王国"を壊滅させようって話なんでしょ?! 」

 彼女が怒りに身を任せてジタバタと叫ぶと、俺達は全員黙り込んだ。


 ……んっ?
 今、リンドさんったら、王殿下の事を"お父様"とか呼ばれてましたわよね……。


 俺達が開いた口が塞がらない状態になっていると、リンドはハッと我に帰った後で、慌てていた。

 それから一通り焦り終えると、少し照れた表情を浮かべながら、こう言ったのである。

「卒業までずっと隠すつもりだったんだけど、実はあたし、『フリード王国第一王女、シャンデリア=リンドリア』だったの。うふっ 」

 へぇ〜、そ〜なんだぁ〜。


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 ……って、

「「「「「えぇ〜〜〜〜??!! 」」」」」

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