この世で5番目に強い男
プロローグ
ーーーーーー
「だから、言っているじゃないですか!! 彼も前線に加われば、この絶望的な戦況は良好へ導かれると……」
若干17歳にしてフリード王国史上最強と名高い、聖騎士グレイスは王宮の大広間でそう嘆願する。
それに対して、周囲の貴族や兵士達の視線は彼らへと向けられた。
しかし、グレイスの眼差しは王であるシャンデリア=ツァバイから離れる事が無かった。
「そうだよ!! 俺もそう思うぜ!! アイツは、自分の力を分かっていないんだ!!  」
「悔しいけど、そこは認めるわよ! あんな弱気で臆病な奴とは思うけど……。実力はあたし達と同じだけあるわ! 」
「5人が揃わないと、盛り上がらない……です……」
グレイスに続いて、格闘家のブリザーク、魔術師のピール、魔攻師のモスの3人も王に熱視線を送る。
「「「「幼馴染を、連れて行ってください」」」」
新生ながらどんなベテランにも勝るオーラを放つその4人は、雰囲気と反して一斉に頭を下げた。
ーーだが、そんな彼らの叫びは虚しく、王は小さく首を振ると、こう返答をする。
「すまぬな、我が国軍の宝達よ。今、ガリオス帝国は我が軍の重要な衛星都市であるバトムを占領した。そこが堕ちれば、国は滅ぶ。もう時間が無いのじゃよ。わざわざ辺境にあるヒアノー学園まで迎えに行っては時間が足りん。諦めてくれ……」
豪華絢爛な椅子に腰掛け、高位から見下ろすにはそぐわない物憂げな表情を浮かべたツァバイは、失望にも似た言葉を投げかけた。
「ならば、僕の空間転移で……」
グレイスがそう叫ぼうとするのを遮って、王はこう結論を出した。
「すまないが、お主が認める男と言うのならば、それは素晴らしい才能を有した者に違いないであろう。だが、彼はそうなる為の"可能性"を自ら断ったのではないか。ワシは今ここに居る全土の兵士達を信頼したいのじゃ。それに……」
「それに……? 」
「お主らが本気を出せば、この戦線は簡単に覆る。それだけの力を持った4人なんじゃ。どうか、王であるワシの顔には泥を塗らないで貰いたい」
現国王を象徴する様に圧倒的な威圧感で少し声を上げたツァバイの前に、4人は言葉を失い、同時に俯いた。
「わ、分かりました……。この戦争は、我々だけで終わらせてみせます……」
グレイスは唇を噛み締めながらそう呟くと、そそくさと大広間を去って行った。
「幼馴染5人で、僕達だろ……? なんで、1人だけ別の道を歩んじゃったんだよ……」
彼は長い廊下へ出るとそう嘆いた。
ブリザーク、ピール、モスの3人も同じ意見だった様で、悔しげに頷いた。
「ああ、約束しちまったもんな」
「それがなきゃ、アイツなんてそんなに擁護しないわよ! 」
「"ミルド兄"いないとモスも辛い……」
「僕らにとって、"ミルド"は家族で仲間だ。だから約束したんだ。『いつか5人で戦争の無い平和な世界を作る』ってな……」
グレイスは残念そうに小さく震えると、諦めた様に足を進めた。
それからすぐに戦争は終結した。
結果は、フリード王国の勝利。
4人の幼馴染は陥落寸前のバトムから敵軍を退けると、そのままガリオス帝国を攻め込み降伏させた。
そして、"ミルド"を除いた彼らは、フリード王国を救った"英雄"となったのであった。
「だから、言っているじゃないですか!! 彼も前線に加われば、この絶望的な戦況は良好へ導かれると……」
若干17歳にしてフリード王国史上最強と名高い、聖騎士グレイスは王宮の大広間でそう嘆願する。
それに対して、周囲の貴族や兵士達の視線は彼らへと向けられた。
しかし、グレイスの眼差しは王であるシャンデリア=ツァバイから離れる事が無かった。
「そうだよ!! 俺もそう思うぜ!! アイツは、自分の力を分かっていないんだ!!  」
「悔しいけど、そこは認めるわよ! あんな弱気で臆病な奴とは思うけど……。実力はあたし達と同じだけあるわ! 」
「5人が揃わないと、盛り上がらない……です……」
グレイスに続いて、格闘家のブリザーク、魔術師のピール、魔攻師のモスの3人も王に熱視線を送る。
「「「「幼馴染を、連れて行ってください」」」」
新生ながらどんなベテランにも勝るオーラを放つその4人は、雰囲気と反して一斉に頭を下げた。
ーーだが、そんな彼らの叫びは虚しく、王は小さく首を振ると、こう返答をする。
「すまぬな、我が国軍の宝達よ。今、ガリオス帝国は我が軍の重要な衛星都市であるバトムを占領した。そこが堕ちれば、国は滅ぶ。もう時間が無いのじゃよ。わざわざ辺境にあるヒアノー学園まで迎えに行っては時間が足りん。諦めてくれ……」
豪華絢爛な椅子に腰掛け、高位から見下ろすにはそぐわない物憂げな表情を浮かべたツァバイは、失望にも似た言葉を投げかけた。
「ならば、僕の空間転移で……」
グレイスがそう叫ぼうとするのを遮って、王はこう結論を出した。
「すまないが、お主が認める男と言うのならば、それは素晴らしい才能を有した者に違いないであろう。だが、彼はそうなる為の"可能性"を自ら断ったのではないか。ワシは今ここに居る全土の兵士達を信頼したいのじゃ。それに……」
「それに……? 」
「お主らが本気を出せば、この戦線は簡単に覆る。それだけの力を持った4人なんじゃ。どうか、王であるワシの顔には泥を塗らないで貰いたい」
現国王を象徴する様に圧倒的な威圧感で少し声を上げたツァバイの前に、4人は言葉を失い、同時に俯いた。
「わ、分かりました……。この戦争は、我々だけで終わらせてみせます……」
グレイスは唇を噛み締めながらそう呟くと、そそくさと大広間を去って行った。
「幼馴染5人で、僕達だろ……? なんで、1人だけ別の道を歩んじゃったんだよ……」
彼は長い廊下へ出るとそう嘆いた。
ブリザーク、ピール、モスの3人も同じ意見だった様で、悔しげに頷いた。
「ああ、約束しちまったもんな」
「それがなきゃ、アイツなんてそんなに擁護しないわよ! 」
「"ミルド兄"いないとモスも辛い……」
「僕らにとって、"ミルド"は家族で仲間だ。だから約束したんだ。『いつか5人で戦争の無い平和な世界を作る』ってな……」
グレイスは残念そうに小さく震えると、諦めた様に足を進めた。
それからすぐに戦争は終結した。
結果は、フリード王国の勝利。
4人の幼馴染は陥落寸前のバトムから敵軍を退けると、そのままガリオス帝国を攻め込み降伏させた。
そして、"ミルド"を除いた彼らは、フリード王国を救った"英雄"となったのであった。
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