だからわたくしはデレたくないんです!

soltier

新しい使用人

結局わたくし自身が我慢出来ませんでした………だって好きな人なんだからしかないじゃないですか!

かと言ってアレン様の好意を受け止められる程の免疫力もないですし。

一応はアレン様からのスキンシップはある程度禁止のままにしておいて、少しずつ私の方が慣れていけるようにしていますけど………

ん?でもそれだと、まるでわたくしの方が一方的に好きみたいになりませんか!?

「ねぇユニ」

「どうなさいましたか?奥様」

「どうしたらアレン様をわたくしに惚れさせつつわたくしはデレなくてもよくなりますか?」

そんな都合のいいことなんてないでしょうけど、一応ユニに聞いてみます。

「ありますよ。しかも簡単です」

「そ、そうなの!?」

それならもっと早くにユニに聞いておけばよかったですのに。

「ど、どうすればいいんですか?」

「奥様、男性は子供が出来たら無力になるんです。かわいい奥様とのかわいい子供、そうしたらもう奥様に逆らうこともなくなります。子供のためっていえばなんでも………って奥様?」

こ、こ、子供………ということはつまり、アレン様と………わわわわ!

「む、無理です!」

「貴族の娘が嫁ぐんですから、子供作るのは当然のことですよ?こんな話しで赤くなってどうするんですか」

そうなんですけど!そうなんですけど!いざ考えるとこうなってしまうんです!

「だって……恥ずかしいですもん。そういうユニは恥ずかしくないのですか?」

「人間としては普通のことなので特には。まぁ経験があるわけではないのですが」

ユニはメイドだから色々達観しすぎてるだけなんです。きっと。


結局いい案は思いつかないまま日々が続きました。

公爵家は毎日毎日沢山の書類が届いたり、お手紙が来たりします。
わたくしはできる限りのお手紙は呼んでお返事を書いたり、アレン様に相談したりします。

今日もいつも通りにお仕事をしていると………

「奥様〜、そろそろ休まれてはどうですか?せっかくかわいい顔なのに眉間にシワがよってますよ」

「!?」

いきなり声をかけられたのでびっくりしました。

「ど、どちら様でしょうか?」

声をかけてきたのは見ず知らずの人………どうやら執事の格好をしています。もしかして侵入者?公爵家に限ってそんな甘い警備ではないはずなのですが………それだけ手練と言うことでしょうか?

「どちら様って酷いですね〜。ま、僕らは初めましてだけれども」

「な、何がのぞみですか?わたくしを利用するだけ無駄ですからね。アレン様に迷惑かけるくらいなら今すぐ舌を噛んで………」

「あはははは」

男は急に笑いだしました。

「何がおかしいのですか」

「奥様が面白くてつい。いやぁ、アレンの気持ちがよく分かるよ」

アレン様を呼び捨てに?
もしかしてアレン様のお知り合いかなにかなのでしょうか?

「あ〜はいはい、気になりますよね。そんな怪しい者じゃないですよ。俺はカール、昔からアレンに仕えてた召使いさ」

カール………どこかで聞いたような………あっ!

「ご実家から来ると言ってた人ですか?」

「そうそう、アレンが手紙を読むと思ってなかったけど、奥様が読んでたんですね」

この人少し馴れ馴れしいけど、悪い人ではなさそうですね。

「わたくしはここで仕事がありますから」

「アレンに押し付けられてるのなら俺が………」

変な勘違いでアレン様の株が下がるのは嫌なので即座に否定する。

「違います。公爵夫人として当然のことをしてるだけです。わたくしは押し付けられてやる程度の人間ではありません」

「そうですか、それは申し訳ありません」

カールは目を丸くしました。
そんなにわたくしがおかしいのですか?
全く失礼な人

「わかったならもう邪魔はしないでくださいね。アレン様が帰ってきたらまた話しますから」

「はい、失礼します」

はぁ〜、なんか疲れちゃいました。
まぁ悪い人ではなさそうですけど、わたくしには少し苦手なタイプの人ですね


今日の仕事を終える頃に、アレン様が帰ってきました。

「お帰りなさいませ、アレン様」

「ただいま戻りました」

アレン様はこの前みたいに両手を広げて待ち構えていました。

「………う、うぅ。し、使用人達も見てるんですよ?」

「嫌なら別にしなくてもいいですよ」

あぁもう!ずるいですよ!そんなこと言われたら……

「き、今日だけですからね!」

わたくしはゆっくり近づいてそっと抱きつきました。

「ティアラ、今日もお疲れ様、毎日ありがとうございます」

「アレン様こそお疲れ様です」

「いやぁ〜、お二人共お熱いですね〜」

「なっ!?お前は!カール、いつの間に来てたんだ」

「あ〜、お昼頃にいらしたみたいですよ」

わたくしが言うとアレン様はカールの胸ぐらを掴む。
えっ!

「おい、ティアラに何もしてないだろうな」

「こ、怖いこと言わないでくださいよ、何もしてないですって」

「本当ですか?ティアラ」

人ってこんなにも二面生があるのですね。
もしわたくしがここで泣きだせばカールがどうなるかわからないのでここは助けてあげましょう。
カールもアイコンタクトで必死に助けを求めてますし。

「はい、大丈夫でした」

「はぁぁ……カール、俺はいいがティアラをからかったり困らせたら容赦しないからな」

カールに対しては誰よりも態度がおざなりになりますね。
わたくしの知らない一面です。

「は、はい。と言っても俺は今日からアレンの付き人だからそんな気にしなくてもいいですよ、仕事に行ってる間はここで執事としての勉強ですから。奥様と会うこともほとんどないと思います」

カールはご実家から修行のために来たみたいです

「そうか」

そう言うとアレン様はカールから離れてわたくしの手をとりました。

「ふえ?あ!あの!アレン様?」

長らくアレン様から触れられることがなかったのですが

「ティアラはカールがいても平気そうか?嫌なら………」

「わたくしは大丈夫ですよ。もう心配しすぎです。それもわたくしへの愛ゆえなのですか?」

少しからかうように言うとアレン様は照れながらもうなづいてくれました。

って、わたくしも照れるのですが!!

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