前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う

つかっちゃ

番外編 クリスマス4

「───おらっ」
「ッ冷たっ!」



その戦争はそれが最初の引き金となった。
アサドがシズに後ろから雪玉を首筋に向かって投げたのだ。


「やったな〜?てい」


そうしてシズが投げた雪玉はアサドでは無くリエスの顔面に当たった。


「あっ、ご、ごめんね?」
「…………………」
「えと、え〜っとぉ…」
「…………喧嘩両成敗」


リエスは両手に雪玉を作って握ると、シズとアサドの二人に向かってかなりの速度で投げた。
当たれば結構痛そうな速度が出ていたので二人とも反射的に避けた。否、避けたのはシズだけでアサドはそれを殴ってはね飛ばした。


しかし、それがまずかった。


シズが避けた後ろにはアイナがニルと話をしていてその雪玉がアイナの顔に当たった。
アサドが殴り飛ばした雪玉は更に加速してカインの顔面にクリーンヒットした。

アイナはぴきっと頭に血管を浮かべ、カインは無言で顔についた雪を払い除け、二人ともかなりの力で握った雪玉を手に持った。


「リエスさん?因果応報ってご存知?」
「ほう、アサド、それは宣戦布告だな?」


二人とも全力でフルスイングした。

アイナが投げた雪玉はまっすぐリエスに飛んでいくと───


「───甘いわね」


リエスが雪玉に力魔法マハトを掛け、更に加速させた状態で反射させた。そしてそれは横にいたニルの胸にゴッと音を鳴らして当たった。


カインの豪腕で全力で投げた雪玉は、アイナの投げたものと比べ物にならない程の豪速球でアサドはそれを右足を引いて半身になる事で避け、その直線上にいたワイルの顔面に当たり、その巨体を揺らした。




「………リエス、私でも怒ることは……ある」
「…………覚悟」



二人ともかなりのパワータイプの人間なのでその二人が握った雪玉はもはや雪玉の硬さではなくなっていた。

ニルが戦闘時に性格が変わってしまう癖、最近はそれを完全に掌握しているが実はあれがスキル“凶化シェイタン”で、現在それが発動している状態なので吸血鬼の体のスペックを全て引き出した状態で投げたのでその速度は先程のカインの素の状態の全力よりも更に早い。


「私の前にはどんな攻撃も通じないわ」


その恐ろしい速度の雪玉はリエスの前でピタリと止まると、リエスはそれを握った。すると、石よりも硬くなっていた筈の雪玉はいとも容易くボロっと崩れると、リエスは挑発するように笑った。


「──こんなものなのね」



ワイルが全力で投げた雪玉はニルの投げた速度に匹敵するほど早かった。なにせ普段使っている弓の弦は一般人は絶対に引けず、同じくらい筋肉がついているカインですらかなり力を込めないと動きもしないほど固いのだ。
それをやすやすと引っ張って弓を打てるワイルの腕力が弱いはずがない。しかもそれを握る力も尋常ではなくその雪玉は石よりも硬い。
それを飛ばされてきたカインはたまらず背中の斧を引き抜き真っ二つにした。


「ッ危ねえな」



「痛っ!」
「いってぇ!」




そしてその割れた2つの雪玉はそれぞれグアンとカナタに当たったのだった。








******








そして現在。


「楽しそうだなお前ら」

一人乱戦しているのを外側から見ていたティオスはそう呟いた。


先程まで白い世界が広がっていたはずなのだがいつの間にか茶色の土が見え、辺りの雪が無くなりつつあるがそれでもまだまだ続く乱戦があった。

そして時々。



「空き有りッッ!!!」



誰かが当たれば腕くらいならもげるのでは?と思えるほどの速度、硬さを誇る雪玉をティオスに投げてくるのだ。
流石のティオスもバケモノじみた強さを誇るクラスメイトの攻撃を喰らって無傷でいられる自身はないので結界リーモを張って一人安全圏に居るのだった。


ただ投げてくるだけなら良いのだが時々、否、かなりの頻度で魔法を纏わせた雪玉も乱れ撃ちしてくるのだ。

雪玉を透明度の高い氷で覆った物や闇や光、雷、風を纏った色とりどりの雪玉。

その全てが殺傷能力が確実にある威力でティオスも無視できない力があった。






「───なんでこうなった?」

そしていつからか10人vsティオスになっていた。


ティオスは結界に加え力魔法で攻撃を止めていたが、時々それを破るほどの威力の雪玉が飛んできた。というかそこまでして雪玉に拘るクラスメイトが怖く見えてきたティオスは自分の周りを結界10枚重ね掛け、更に力魔法で強化して守っていたのだが10人のバケモノの攻撃をずっと止めていられる訳も無く。



誰かの投げた雪玉が全ての妨害を振り切りティオスに掠めた。

クラスメイトはそれを喜んだが。




「お前ら………ちょっと浮かれすぎ、だな」



ブチッと何かが切れる音がした。









その日の夜には10人の死屍累々とした戦場跡が出来上がっているのだった。
















次回はクリスマス編の〆になるので短くなりそうです。

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