前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う

つかっちゃ

番外編 クリスマス3

「────寒ッッッッ!!!」


カナタが口に出すと同時にくしゃみをした。


辺りは完全な雪景色で王都の5cm程度の積もり方では無く4m以上軽く雪が積もっている豪雪地帯の景色が広がっていた。


そう、ティオスが人の多さに耐えきれず自分たちの顔が知れ渡っていない程遠い街を選んで転移したのだがそこは-60℃の極寒の街だった。
流石に寒すぎるのでティオスが指を弾きつつ魔法を使用した。


周囲気温調整アフテリング
「──寒く無くなったわね」
「丁度いい温度ですね」


外気温を魔法を掛けた本人が快適だと感じる温度に勝手に変えてくれる魔法で11人全員に掛けると、ティオスは全員に確認を取るともう一度転移をした。










******









「───綺麗な場所だな」



転移した先で最初にティオスが呟いた。
その街も今日がフェスティンらしく、建物や辺りの木々がライトアップされていた。────よく見るとその光は王都の様な小さな魔法具で出来た飾りではなく。


「───へぇ、ここは凄いのね。この街を飾り付けている光全てが妖精だなんて」


リエスは長耳族で森の精霊であるエルフに近しい存在なのであたりの光がただの光ではなくしっかりと妖精に見えているようで目を見開いていた。


「これ全部!?凄い場所だね」
「………私、も……こんなに妖精を見るのは…初めて」


辺りは針葉樹の森が広がり、その中にひっそりと存在する街、沢山の妖精達によるライトアップ。
街の大通りである道の先に、降る雪で少し霞んでみえるが巨大な樹氷が所狭しとある凍った湖。


たまたま転移してきた場所だったがかなりいい場所に来たようだった。




「あ、こっちも屋台とか聖歌隊の方々が居るようですね」


ルーチェが指差す方向には、王都の様なずらりと並んだ屋台では無くぽつぽつとある屋台や、小さく聖歌隊の賛美歌が聞こえていた。

歩く人々もこの豪雪の中出歩く者は少なく、逆にその人の少なさがこの場所の自然の景観を崩さず美しく映えさせていた。



今度こそSクラスのフェスティンが楽しめそうだと、ティオスは街に向かって歩き始めた。









******









「すみませ〜ん、この串焼き11人分くださ〜い」


シズが屋台に向かうとぱっと品目を見てぱっと選んできた。


「はいよ、金貨1枚と銀貨8枚ね」


金貨を2枚渡すと銀貨2枚のお釣りが帰って来て、全員分の串焼きをパンパンに入れた紙袋を両手で持ってきてひとり一人に配った。ルーチェやニルは買ってきた料金を支払おうとしていたがシズが笑いながら手を振っていらないと拒否していた。

それを横目にティオスが早速その串焼きを口に入れた。一つ一つが大きめの鳥の肉で香草で燻してあるのか、肉汁が噛んだ瞬間溢れてくるが不思議と油っこくなくさっぱりとした味で、ついでに言えばびっくりするくらい柔らかかった。


料理をたまに作っていた身として、リエスや両親には絶賛されていたがこれには負けるだろう。


「これウメェな!」
「凄いね、こんなに美味しいのは中々味わえないよ」
「お城の料理と同じくらい美味しいですね」
「ティオスの料理より美味しいんじゃないかしら?これ」


一般人よりは舌が肥えているはずのルーチェやグアンですら舌鼓を打っていた。



後からルーチェが気になって聞いていた話によると昔は遠い国の城でシェフ長を努めていたらしく、定年になったあとには静かな場所でのんびり料理したいとここに来たらしい。この串焼きはこれまでの人生での経験を活かして旨みを引き出しているそうだった。










******








その後は色んな店や屋台をまわり、聖歌隊の歌を聞き、雪で遊んだ。



特にこの年になって雪遊びかと普通なら笑われそうだったが、ここは殆ど人が居ないのでそう言う者も居らず全員が全力で遊んだ。まるで普段の鬱憤を晴らすかのように。







──────そして、戦争が始まった。


















思いの外長くなりそうです(汗)

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