前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う

つかっちゃ

我が子の成長

全員がそれぞれと戦っていると、ティオスが一つ呟いた。


「────そろそろ時間だな」


「ティオスは何を言ってるんだ?」
「さ、さぁ────」


マリクとアーノルドが二人して既に達観した様な視線で眺めていたのだが、ティオスの言葉の意味が分からなかった。しかし分からなかったのも束の間、次の瞬間には言葉を失った。


全員のその圧倒的な力の暴力と言うべき技がティオス一人に向かって行くではないか。


雷を纏った糸が、
水が溢れる戦斧が、
爆炎の拳が、
巨大な氷の槍が、
数百本を超える風を纏った矢が、
光り輝く2つの斬撃が、
焔と光の合わさった魔法弾が、
闇より深い黒の斬撃が、
空間が捻れる魔法が、

一斉にティオスに襲いかかる。そのどれもが掠るだけでも怪我じゃすまない程の威力を持ち、無慈悲に飛んでくる。

国王も騎士団長も流石にそれをみて冷や汗をかき、ティオスが死なない事だけを祈った。


しかしその心配は次の瞬間杞憂に変わった。



ティオスはそれを一切避けようとせずに拳に魔力を薄く均等に巡らせ─────殴り始めた。

その身ごなしは様々な武術の流派が追い求める美しく強く、という物を完璧なまでに体現していた。

乱打の如く続く攻撃を最小の動きで躱し、あるいは殴り飛ばし、と不気味なまでに合理的な動きは最早芸術の域にあった。

その光景には騎士団長に上り詰めるほどの実力者であるアーノルドや様々な場所で強者を見てきた国王ですら唖然とせずには居られなかった。

それが約一分続くと今度は



「───次は僕だね?」



そう言って前に出てきたのはグアン。その手にはアーノルドから授けられた金と白金の剣が握られていた。

自分の息子が出てきた……!?と目が飛び出さんばかりに驚くアーノルドにグアンはしてやったり!とばかりの笑顔を向けると、真剣な表情になって剣を構える。
服はラフな格好だが、その背には紛う事無き騎士の風貌があった。



グアンの用意が出来たと確認したティオス達はまたしても暴風の如き攻撃を向けた。


アーノルドは生唾を飲み込むとグアンを見つめた。


グアンはその愛剣をまるで体の一部であるかのような変幻自在な動きですべての攻撃をいなしていた。身長も180cmあるがその大柄と言っても過言では無い身体を知り尽くしているのか軽く避けたりステップを踏んだりと軽やかに動いていた。
そしてアーノルドはグアンの剣をよく見ていたため気づいた。

「───っ!?光魔法ゲレル……!?」

そう、グアンが光魔法を発動させ剣に纏わせていたのだ。グアンはルーチェと居た時間が長かった為か光魔法の適性が僅かだがあったのだ。それをティオスが引き出し、実用化レベルまで昇華させた。



グアンは全員の攻撃を軽く受け止めると、今度はまた人が変わった。それは。





「───ルーチェだと!?」


国王が今度は目を剥く番だった。

ルーチェはそんな父親の事は無視して全身に莫大な量の魔力を循環させると、呟いた。



光焔の装甲フラム・アルマ



その瞬間、ルーチェの全身が輝いた。その後続けて脚、胴体、腕と順に爆炎に包まれると魔法名の通り光と炎の鎧が現れる。腰のあたりには焔と光の剣が下がっていた。
続いて頭の上にちょこんと乗っているティアラの辺りにも爆炎が宿ると、光と爆炎の混ざりあったティアラに変わり、背中の方には巨大な光の白い翼が現れた。


魔法によって変わったルーチェはまさしく───



「────女神、の、様だ………」



マリクが自分の娘を見て呆然としていた。ルーチェはマリクをちらりと見ると少しだけ目を細めた。



そしてルーチェは真剣な表情に戻ると、腰に挿してある二振りの剣を引き抜いた。


そして襲いかかる力の暴風を右手に構える焔の剣が、いとも容易く切り裂き弾き返した。避ける必要性すら無い、圧倒的なまでの力。
それでもまだまだ続く攻撃は今度は左手の光の剣によって阻まれた。

光の剣をルーチェは目の前に立てるように持ち手を離すと、剣は空中に固定されたかのように留まり、光の防壁となった。


そして攻撃が止むと何事も無かったかのように魔法を解き、元の姿に戻った。



その後も全員がそれぞれの攻撃を受け止め、躱し、反射させ、と怪我の1つも無く模擬戦は終わった。








離れて見ていたアーノルドとマリクは空いた口が閉じなかった。

なにせ自分の子供が規格外としか言い表せない程の力を見せたのだ。


「はは……グアンの奴、騎士団長の俺よりも遥かに強くなってるな……」
「ルーチェよ……お主、何処に向かってるんだ……」


もう二人の親は乾いた笑いしか出てこないのだった。

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