前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う

つかっちゃ

気に入られた騎士団長

「改めて挨拶をしよう。私は現騎士団長であるアーノルド・グラディだ。それで、今回の騒動を止めたというのは?」
「言葉の通りです。首謀者だった宰相はきっちり倒しました」
「馬鹿な。アイツはとんでもない力を隠し持っていた。その証拠に───」



そういってアーノルドは徐ろに鎧を脱ぎ捨てると下に来ていた黒いインナーを捲くり見せてきたのは、血で滲んだ包帯でぐるぐる巻にされている腹だった。

かなりの出血なのか滲んだ血は赤ではなくかなり黒っぽくなってきていて、正直ティオスでも大丈夫なのか心配になった。



「正直言って今立っているのも気力だけだ。奴に攻撃を受けた場所は……毒を塗っていたのか腐り始めている」
「なるほど。確かにアイツの戦うときの姿は腐肉を纏っていて見ていて不快だった記憶があります。その傷を負っている人はあと何人居ますか?」
「私の他にはあと三名がこの傷のせいで寝たきりの状態だ」
「それでは案内してください。全員まとめて治します」
「無理だ。どんな薬もどんな魔法も効かなかった。上級とされる超回復エクス・サナーレですら少し治せたが根本的にはどうにもならなかったんだぞ」
「安心してください。俺はあの宰相を屠った男ですよ?」




そう言ってティオスは宰相の持っていたステッキをアイテムボックスから取り出しアーノルドに渡した。




「っ!?本当に、本当に君は倒したのか!?」
「だからそう言っているじゃないですか。というか杖を見ただけでその反応をするとは少し意外ですね」
「そりゃあ、そのステッキは宰相の亡き妻が宰相の為だけに作ってもらった特注品だ。一度ヤツの部下がそのステッキを勝手に触って殺された程大切にしていたのだ。それを持っているということは────そういう事なんだな?」
「間違いなく倒しました」
「そうか…………」



アーノルドはそれを聞いて気が緩んだのか突然フッと倒れ込みそうになった。案内をしてもらわなければならないと思いティオスはアーノルドだけに先に魔法を掛けた。



「今ここで倒れてもらっては困ります。
浄化ピュリフィケーション”“細胞蘇生ツェレ・リグロース”“超回復エクス・サナーレ”」



光魔法ゲレル生命魔法アミナスの2つの属性の魔法を連続で3つ発動させた。

魔法の連続発動というのは使用魔力がどんどん連鎖して増えていってかなり才能だよりになる。たとえば本来なら魔力を10しか使わない魔法を別々に5つ発動させたいときには50だけでは済まず、10×10×10×10×10と、合計10000必要になるのだ。
世間一般的には3つ発動できるのは天才だと言われるほど高難易度である。



因みに元賢者のガーネットは連続で10個まで発動できてティオスの場合は理滅の効果により自然界の魔力がほぼ循環率100%で使えるので周囲の魔力が枯渇するまでは幾らでも連続発動できるのだが。




気を失う寸前にその3つの魔法で復活したアーノルドはその光景を見ていて目を見開いた。



「本当に────いや、流石はあの宰相を倒した男だな」
「それじゃあ案内して下さい」
「分かった────それと、敬語は要らない。この国を救った英雄なんだから」
「────分かった。なら敬語は無しで行こうか」





アーノルドの後ろを歩いているティオスは先程の魔法の手応えを振り返っていた。

はっきり言ってあの進行度と腐食度でなぜアーノルドが生きていられるのか疑問でならなかった。普通の人ならその痛さに発狂し、ショック死してもおかしくは無い状態だったのにそんな素振りを見せず凛としてティオスを出迎えていた。


そんな苦しみをまさに言葉通り気合で押し込め騎士団長としての役割を全うしていた。国王を想い、国を心から想っていなければここまで耐えられるはずが無い。




───流石は騎士団長だな───





アーノルドという騎士の鑑を見て、ティオスは気に入っていた。熱い気持ちを持つ奴は良いやつだろうと悪いやつだろうとティオスは気に入ってしまうのだ。




名実ともに世界最強になる男に気に入られたとは露知らず、案内するアーノルドはアーノルドの方でティオスの事は気に入っていた。




まだグアンと同い年だというのに自分の筋というものを通している様に感じたのだ。初めて会うはずなのに、騎士団長である自分と似通った何かを持っていると本能が感じ取り、彼となら何でも出来るとそう思ってしまった。








そんな互いの事を気に入った二人が、共に剣を交えるのはそう遠く無い話なのだがそれはまたの機会に。


















なんか互いに認め合うこの雰囲気が好きなのです。いずれグアンやアサド達とも“男の友情”“男の信頼”みたいな話も書こうと思ってます!


それまでには少しは語彙力だったり文の構成が良くなってるといいなぁ))

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