前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う

つかっちゃ

厄介な敵

「ハッ!」



マルは短い掛け声に似合わず鋭い斬撃を的確に狙ってくる。どちらの斬撃も軽く音速を超えており、そんな暴風のような切り合いはかれこれ10分続いていた。

しかしマルの腕を見れば、ティオスから言わせてみれば少し使い慣れてる程度としか言えないのだがさっきから互角に渡り合えていることに疑問を抱いていた。



「……?そんなお粗末な鎌使いでなぜ俺と渡り合えている?」



ティオスは一気に腕に力を入れマルを弾くと、マルの方もやっと疑問をいだきましたかとばかりに一旦鎌を持ち直し口を開いた。


「“指揮者”、というスキルのお陰ですよ」
「指揮者…?」


その響きはどう考えても戦闘向きのスキルでは無い。一般的に見ても珍しいモノ揃いのスキルの中ではハズレに近い物に感じられるが───。

それが顔に出ていたのか、マルはその効果を丁寧にも教えてくれた。


「戦闘向きのスキルじゃない、そう思いますよね?確かにその通り、本来は音楽家などが持つべきスキルでオーケストラなどを率いたときに役立つスキル──なのですが私はそれを攻撃に使えるように考え方を変えたのです」
「考え方だと?」
「ええ。指揮者とはその名の通り皆を率いて纏め上げる者です。しかし、ただ率いるだけではありません。その途中で零れ落ちてしまう者が居ない様にこちらが合わせる事も時には必要なのです。そう。合わせる事が大切なのです──────」
「───つまりはお前はそのスキルを相手の戦闘力に合わせて対応できるというわけか」
「その通りです」
「だがそんな事を俺に教えてもいいのか?」
「ええもちろん。私は戦いに置いてはただ相手に合わせているだけで良いのです。いくら貴方の力が優れていようがこちらは対応できるのですよ」



ニヤニヤと不気味な笑顔を浮かべているマルを見て、これは厄介なスキルだなと思い、同時にそれならば対処方法なんてまだあると思い至った。


「その油断が命取りにならない事を祈りたいが生憎と俺にはまだまだ手がある。合わせられないほどの勢いでやってやるまでさ」


ティオスはその瞬間、何も声に出さずに転移魔法を使った。そしてマルの背後を取ると剣を振り翳し────マルに止められた。


「魔法名を口に出さずに発動できるのも魔神の特権ですね。しかし私は邪神に同時進行で感知してもらっているのでまったくもって問題ありません」
「本当に厄介なスキルだな」
「貴方は私には絶対に勝てません。大人しく取り込まれてもらいます。今なら投降すれば痛みを感じないように一瞬で取り込んであげますよ」
「断る。夏休み中なんだ。やらなければならない物が沢山残ってるんだ。ふざけたことを言うなら即座に殺すぞ」


実はティオスはちょっとずつだがキレ始めていた。夏休みの息抜きに冒険者になって簡単な依頼を済ませられればいいな〜程度に思っていたのにさっきからなんだかよく分からん奴のせいで王国が波乱に包まれるわ、気疲れする融合をしてまでかれこれ数十分になるわでなぜ俺がこんな目に、と。


はっきり言ってティオスはマルを一撃で屠れる力があるのだが面倒くさいから使いたくないと思っているせいで余計に手間がかかっているのだった。


だから。



「その面倒くさい能力なんか関係ない。あと3分で終わらせてやる」
「出来ますかねぇ?」



ティオスは指を三本立てて宣言した。マルはそれを聞いて全身にもう一度力を入れ直した。ティオスが本気だと感じこちらも本気で行かないと本気で殺られる───そう感じる気迫があった。






ふたりはそうしてもう一度対峙し直すと、改めて力を貯め始めるのだった。




















なんかちょっとずつシリアスになりそうだったのでネタっぽくしました()
次回で決着がつく予定です。

「前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く