前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う

つかっちゃ

マルの過去

少しグロい表現が使われています。読む方は注意してお読みください。





















─────私は、ある時から、“運命”が見えるようになってしまった。





マルは一時期、領地を治めていた事がある。


妻が居て、まだ5歳にもならない息子と娘が居て。



領地を運営していくのはとても大変で、寝る間も惜しんで仕事をすることは良くあった。しかし、そんなときでも家族での団欒があったからこそやり甲斐もあったし、日々が輝いて見えていた。




しかし、そんな日々は、領民によって崩れ去った。




マルの領地は、領主が有能で、誰にでも優しいと人々の間で話題になるほど豊かな街作りが出来ていた。治安も、マルが直接派遣した冒険者や騎士達によって守られ、その住心地の良さから他の領地からの移住をする人が絶えなかった。


だがそれを良く思わない貴族達が、とある噂を流し始めた。






“実は領民を増やしているのはそこから奴隷として他国に売り払おうとしているからだ”






しかもその貴族達の質の悪い事に、マルの家の家紋を模った馬車で、そこの領民にわざと見えるように奴隷を他国へと売り払っていた。


領民達はそれを見て領主宅に一気に押しかけた。



仕事中だったマル、食事の準備をしていた妻、リビングで遊んでいる子供は突然領主が押しかけてきた事に驚いた。

マルは玄関を出ると丁寧な態度でどうしたのだと問うた。

しかしその態度が白々しく見えた領民達は口々に罵詈雑言をあびせた。俺達を売るつもりなのだろう?、優しく見せかけただけのクズ野郎だのと罵り、遂には怒り狂った領民が家の中に押し入ってきた。

マルはそんな事知らないと言うが殴り飛ばされ、その時に脳震盪になり家の中にどんどん入っていく領民達を最後に気を失ってしまった。











そして、気がつけば日が暮れており、視界に入ってきた家は無残にもボロボロにされており、自分自身も全身のあちこちが痛かった。腕や肋骨は骨が折れ突き出ていたが、それよりも妻子の安否確認がしたかった。



全身の痛みに耐え、這いつくばるようにして家の中に入りそこで目にしたものは。







腕や脚が切り落とされ、顔面の穴という穴が抉られ、裸で息絶えている妻の姿と近くには原型すら留めていないミンチのような肉塊が2つ。

その付近には生々しく反射する血だらけのナイフや剣、棍棒などが適当に転がされていた。




「あ…………あ……………あぁ………」






マルはその場で泣き崩れる事しか出来なかった。なぜ、なぜ、なぜ、脳の中では答えの見つからない疑問しか浮かばなかった。










その場でどれ程の時間が経っていたのだろうか。妻や子供だったモノは既に腐れ始め蛆が湧いており、自分自身も折れたり突き出たりしている場所が腐敗し始めていた。




しかし、その時の感情は“無”では無かった。





領民の為に日々働き、より良い生活を送れるように様々な場所で頭を下げた。最初の頃なんか相手の靴を舐める勢いで何でもやった。それで領民が幸せに暮らせるなら、と。



少なくとも自分は恩を売ったつもりだった。




しかし領民から帰ってきたのはこの仕打ち。





このドス黒い“復讐”の感情はどうすれば良いのか。自分の中に渦巻く闇が、確実に何かを生み出していた。









その時だろうか。自分に“運命”が見え始めたのは。





まるで一本の糸のように最初から最後まで繋がっていて、それから逃れる事が出来無い。


嗚呼、ならばこれも運命だったというのか。


始めから、自分に、甘い現実を魅せて、一気に突き落とすのも、運命、だったのか。








ふざけるな。







そんな目に見えない力に、なぜ苦しめられなければ為らない。








そんな運命に始めから決められ、最後まで操り人形の様に生きるくらいなら────



──────その運命とやらを、ブチ壊してやる










そこで、自分と何かが繋がった。
圧倒的な力の暴力。これは生き物の領域ではない。



まさしく神の領域の力。




この力さえあれば運命など恐るるに足り無い。






まずは手始めにこの日々を壊した人間、貴族を殺そうか。











そうして、一人の復讐に燃える男が、立上がり、運命を逆流して行くのだった。

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