前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う

つかっちゃ

一方ハーレイ王城では

ハーレイ王国の現国王であるマリク・ハーレイは幼い頃から政治に興味があり、王としての素質をどんどん高めていった。



その優れた能力と本人の弛まぬ努力が実を結んだかのように18歳で国王になるという世界初の最年少国王として名を馳せた。


しかし当時の世界は戦争やそれによって生まれた悲惨な光景、奴隷や貧困、圧倒的な食物不足などによる国の破綻などが当たり前の時代だった。歴史的に見てもここまで世界が荒れたのは前代未聞で民衆の間では 
“あと数年中には世界が滅ぶんじゃないか?” 
と疑われるほどだった。

しかしそんな中、マリクは一人立ち上がり民衆を鼓舞し続けた。


「民の皆は一箇所に集まって農業を始めろ。一丸となるんだ」
「戦争、奴隷、貧困はこの私が無くしてみせる」
「今はとにかく民は復興に当たれ」
「何も心配すること無い」


そんな夢物語が紡がれるわけが無いだろうと民衆は鼻で笑い飛ばした。




しかしあろう事かその数ヶ月後、手始めとばかりに隣国と別の国の戦争に一人介入し、その知識だけで国の上層部の者達を静め、和解させた。
それに続くように戦争はどんどん沈静化していき、その後三年後には世界の殆どの国は戦争が終結していた。


その頃のマリクは平均睡眠時間2時間という過酷な生活習慣の中、様々な国を渡り歩き国同士の国交を復興させ、民衆のライフラインを回復させつつあった。しかしそんな過酷な生活に身体がついていける訳もなく。


マリクはとうとう倒れてしまった。


ハーレイ王国民はそのマリクの努力を誰よりも知っていた。そんな傑物が倒れてしまった事に何処よりも動揺していた。また乱戦の時代に逆戻りしてしまうのではないかと。




しかし、マリクが倒れるまでに積み上げたモノはそう簡単に瓦解するものでは無かった。


殆どの国がほぼ自立してどんどん経済成長が出来るまでに復興していたのだ。その国の重鎮達はマリクが倒れた知らせを聞き、今度はハーレイ王国の運営の補助に回ってくれたのだ。その甲斐あってマリクが倒れたが国は凄まじい速度で経済成長を遂げた。



つい数年前まで乱世の世だったと言うのに今では国と国が手を取り合って一つの国のために尽くしてくれる様になっている。

そんな偉業を成し遂げたマリクは




『政治の儁秀しゅんしゅう




と言われ、その名の通り生ける伝説となった。



  






******








「嗚呼、私の愛しきリーチェ」
「父様、只今です!」



そんな政治の儁秀と言われ生ける伝説と呼ばれた男は娘の前ではそんな様子が全て抜けきって力も抜けきってだらし無い一父親であった。


「あらあら、貴方、そんなだらし無い姿、部下に見られでもしたら幻滅されてしまいますよ」


まるで花が開くようにふわふわと笑みを浮かべているのは王妃であるカミーラ。こうして見ると、リーチェの美貌はここから来たのかと納得するほど二人は似ていた。ただし、そこに大人の魅力が更に足されたカミーラは一際美しかった。

妻に優しく諭されたマリクは構うものかと言うようにリーチェを愛でに愛でた。








******








「────それで、私は魔法を教えてもらって今ではかなりの腕になったのですよ!!」
「そうかそうか、流石は私達のルーチェだ!」


現在は城のベランダで三人はランチを食べていた。ルーチェは両腕に力こぶを作るようなポーズをしていて何とも可愛らしい。近くに三人メイドが控えていたがルーチェのその様子を見て目を細めていた。


「そのティオス様がなんと私に特別な魔法の適性があるって教えてくれたのです!」
「ルーチェの特別な魔法ですか?」
「はい、母様!私の自慢の魔法のです!ランチの後に魔法師団の訓練場に来てください!」
「ふふふ、分かりました、一緒に行きましょうか」
「くっ……昼からは会議があって行けない……ぬぬぬ」
「父様にはまた別の日に見せます!」
「むむ、ならば我慢するしかないな」


そう言ってほのぼのとしたランチタイムは終わった。








******







「それでは行きます!」




現在、ルーチェは魔法師団の訓練場を借りていた。魔法師団はカミーラ王妃を連れてきたルーチェがほんの少しの間借りたいと言うので貸していて、全員がルーチェを見守っていた。

ルーチェは幼い頃から二属性を操るという天性の才能を持っていて魔法師団でもその力には舌を巻いていた。
そんなルーチェが学園に通ってから初めて見せる今の実力が気にならない訳が無い。






「────爆炎の燿リヒト・フラーゴル



まるで小鳥のさえずりのような美しい声から聞こえてきた聞いたことのない魔法の名前。全員が固唾をのんで見守っていると、その変化に唖然とした。



着ていた淡い淡黄蘗のドレスが少し光り始めたかと思えば、そこに真紅と黄金の混ざりあったような炎を纏い、少しずつ象られていく背中の巨大な羽。

頭につけていた金のティアラは白金の輝きを発し、光の装飾に変わる。

何も持っていなかったはずの右手には光と炎の神々しい剣が握られており、スッと軽く前に突き出し、それをただ降ろすように剣を振り下げる。




その瞬間、空から光の柱が降ってきた───────そう感じさせるほどの夥しい光と炎の剣が地面を抉りつつ突き刺さっていく。





ルーチェが学園で使ったときは巨大な剣に収束して一撃必殺にしていたが今回は魅せる魔法にしたかったので持っている剣のサイズの物を空から降らせたのだ。





そして魔法を解くと、後ろで見守っていた魔法師団とカミーラに弾けんばかりの笑顔を見せて笑った。





「どう?凄いでしょう?」







そんな笑顔に、誰一人として、声が発せなかった。

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