前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う

つかっちゃ

内通者

その日の夕方に着くのを予定していたのだが思いの外近かった為昼過ぎには依頼元の村に着いていた。

村の周りはずっと森で様々な鳥の鳴き声や風によって鳴る葉擦れ音が耳に心地よかった。村に入ると警備の人らしき男性がこちらに近づいてきた。


「……この村に何のようだ」
「俺達はギルドの依頼を受けた冒険者だ」

そう言ってワイルが持っていた依頼書を見せると男性は一つ頷くと「こっちだ」と案内してくれた。






馬車や引かせていた馬は近くの厩に入れてくるとその男性が連れてきたのは村の中でも一際大きな家だった。


「村長の家だ。失礼の無い様に頼む。今は村の女子供が次々と攫われて気が少し立っているからな」

そう言いつつその男性はコンコンとノックすると奥の方から「入れ」と男性の声が聞こえた。言われた通り中に入ると、全てが渋い茶色で塗られた調度品が広々と置かれており、所々にアンティークが飾られている小洒落た家だった。そういった物に目を奪われていると奥の方から声が近づいてきた。


「貴方達が依頼を受けてくれる冒険者達か」


そう言って姿を表したのは背の曲がった老人だった。白髪に白い髭、顔に刻まれた深い皺が年齢を感じさせるがその視線は鋭い。こんな風貌だが只者じゃないことがティオスやシトリーにはすぐに分かった。


「は、はい。俺達は銀の翼とこっちの三人は冒険者仲間です」
「そうか。儂はフィードルと言うのじゃ」


そう言ってライヴが代表として握手をした。フィードルがこちらへと言って紹介したのは客間の様で弧を描く様に設置してある大きなソファに座らせてきた。
フィードル自身はその対面になる場所に座り、こちらを見た。


「それじゃあ早速だが依頼をした経緯を話そう」




最初の異変は、ある家族が自分の子供が朝起きたら部屋から消えていた事から始まるらしい。
フィードルはそんな犯人を探そうと手掛かりを探していたらその日を境に子供がどんどん居なくなり始めた。
村の住人はこれはまずいとまだ連れ去られていない子供達を一纏めにして大人たちが代わる代わる見張りをして24時間体制で保護し続けた。
そんな生活を初めて3日間、一人も子供が減らなくなり少しの安心、そして連れ去られた子供達の行方を探っていた矢先、今度は村の女性たちも消え始めた。
これ以上は本当に不味いと感じた村長は今回のギルドに依頼を出すに至った、そういう訳だった。



「──と言うわけだ。すぐにギルドや町の警備隊達の派遣をすればもう少し抑えることが出来たかも知れなかったが決断が遅れた儂の責任だ」


そう言ってフィードルは頭を下げた。深く、深く。


「頼む。どうか、どうか連れ去られた者達を救って欲しい。報酬は幾らでも渡す!だから、どうか頼む……」

「そんなに頭を下げないでください!俺達が責任を持って連れ去られた者達を見つけ出して見せましょう!」
「そうよ。悪いのは貴方じゃなく連れ去った奴らよ。必ず見つけ出すわ。どれだけ時間がかかるか分からないけどね」


ライヴとメリッサがぐっと拳を握りつつフィードルに宣言する。フィードルはまた深く頭を下げ、しきりに「ありがとう」と言っていた。
村民だとは言えそこまで他人の為に頭を下げられるフィードルの姿勢にティオスも気合を入れた。









******








それから一旦村の外に出て、誰もいないことを確認したティオスは言った。


「俺が思うに確実に内通者がこの村に居るだろうな」
「ほう、どうしてそう思うのですか?」


ルイは眼鏡をクイッとしながらティオスに質問した。


「まず子供だけが連れ去られている時点で確実に奴隷にする気だろうという事は誰でも分かる。奴隷は子供は勿論だが人攫いをしている奴は大概女も狙ってくる事は分かるな?」
「はい」
「それはここの村民も分かっていた筈だ。子供が攫われ、男衆が女の方にも気を配らない訳がないだろう?そんな気を配っていたにも関わらずどんどん消えていくなんて余程腕の良い攫い人か内通者の2択になる」


ティオスはそう説明しつつ右手をピースのようにする。そして中指を左手で摘み、折り曲げつつ結論を出す。


「しかし見た所この村にそんな腕の良い攫い人を雇ってまで攫わせるメリットがあるとは到底思えない。攫い人は何よりも金に執着するからな。割に合わなかったり安過ぎる仕事は基本請け負わない奴が殆どだ。よって内通者が何かしらの条件を貰っていてそれで金を貰ってるんだろうな」


皆はなる程なと納得しているとティオスはその残った人差し指も左手で摘んだ。


「──まあ、もう内通者はほぼ分かってるんだがな」
『はっ!?』
「村の外に出る途中にこちらを見て建物の影からにやにやと笑っている男が一人居てな、少ししか見えなかったが来ていた服からなかなか裕福な生活をしているようだ。村長以外は似たりよったりの生活をしている人々の中、ソイツだけは村長と同等以上の暮らしをバレないようにしていたようだ」
「よく気づいたな」


オラルが感心しているとティオスはにやりと怪しい笑みを浮かべると


「序でにソイツからは微弱だが殺気を感じたしまだ確定だと思ってないからバレないように盗聴用魔法道具をソイツに投げて貼り付けてやったから今からそいつの音声を流すとしようか」



そしてスピーカーとなる魔法道具を起動させてティオスが目をつけた男の音声を流し始めた。





「───ビンゴ」

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