前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う

つかっちゃ

ティオスの料理

準備を終え、銀の翼が手配していた馬車に乗り込むとすぐに出発した。御者はルイが務めるらしい。




「そうだ、メリッサがティオスの事を評価している様だけどそんなにティオスは凄いのか?」



馬車に乗り込み、発車すると間もなくライヴがメリッサに聞いていた。するとメリッサはふふん♪と言う様に少し興奮気味にライヴに話し始めた。


「そりゃそうよ!なんたってあの婆様が大絶賛していたのよ?実態に見たわけじゃないけどそんな子が凄くない訳無いじゃない?!」
「お、おう、そんな詰め寄ってこなくても分かったから…」
「ティオス君は自己紹介で全ての戦闘術と魔法が使えるって言ったわよね?」
「ああ」
「魔法って確か闇まで使えるんでしょ?」
「…ああ」


内心、あの学園の学園長は孫娘とは言えどれだけ口が軽いんだと呆れつつも答えた。するとそれに驚いたオラルは、自慢の斧を手入れしていた手を止めた。


闇魔法オスクロが使えるのか?もしかして両親のどちらからが魔人なのか?」
「いや、親はどちらも人間だぞ。ついでに言うと先祖にも魔人族は居ないはずだ」
「ワイル、ティオス君の親の話は愚問よ。なんてったって母はあの叡帝だし父は剪神よ?」

『『なっ!??!』』


「……あまり俺の事をぺらぺらと話さないでくれると助かるんだが…」
「あら、私とした事が」


そんな凄い親の子なのかと銀の翼の各々は目を見開いて珍獣を見るかの様にティオスを見ていた。するとそこにシトリーが付け加えた。


「ご主人様は既にご両親より強いですよ♪」
「なっあっ…!ティオスはそんな強いのか?」

ライヴが混乱に混乱をしていた。その後もシトリーにリエスを加え、如何にティオスが凄くて強いのかを銀の翼の面子につらつらと饒舌に語っていた。







******






そして馬車を走らせる事約6時間、夕陽に照らされて赤焼け色の世界に染まる頃には馬車を停止させた。辺りは森だが今日はここで野宿をする事になった。

幾ら馬車に乗っていただけだとは言え疲れるし汗もかく。しかしこういった遠出の際は濡れタオルで体を拭くだけなので正直言って清潔にはならないし何より汗の不快感、疲労感が取れない。
しかし銀の翼のメンバーは慣れているのか何も言わずに体を拭き始めた。


「すまない、全員手を止めてくれ」
「どうしたんだ?」
「取り敢えず全員纏まってくれ」
『??』


リエスとシトリーを除く他の面々は疑問符をうかべつつ纏まるとティオスは右手の人差し指を適当に横に振ると全員の体が少し光り、熱を帯びたかと思うともういいぞと開放した。


「体の調子はどうだ?」
「どうにも……っ!嘘だろう?」
「綺麗に…なったの…」
「…疲れも取れていますね」
「なら良かった」


ティオスが使ったのは火魔法イグニス水魔法アイル風魔法トゥールの三属性複合魔法で、オリジナル魔法だった。名前は特に無いので完全無詠唱でぽんっと使って見せたが超絶技巧魔法である。
濡れないほどの水の水蒸気で全身の汚れを落とし、ついでに高熱蒸気で筋肉の疲労も落としつつ風魔法で爽快感も与えるという、忙しくてお風呂に入れない為に開発した魔法なのだ。

全員の体の手入れは終わった所でどこからかくきゅ〜という可愛らしいお腹の音が聞こえた。


「……お腹、減ったの…」


顔を真っ赤にして猫耳をぺたんと折り少し俯いているのはターニャ。ティオスは少し笑みを浮かべると


「それじゃあ今からご飯にするか。2分程待っててくれ」


ティオスはそう言うと徐ろに森の中に入っていくと暗闇に消えてしまった。
全員、大丈夫なのかと不安になるが遠くで一瞬風の音がしたかと思えば右手にホロロー鳥という灰色の羽毛を持つ鳥を四羽、既に下処理をされた状態のものといくつかの香草を持ってきた。


「こいつが今日の夕飯だな」
「ホロロー鳥!よくそんなすばしっこくて捕まえ難い鳥をこの一瞬で二匹も狩ってこられたな」
「?逃げ出した所を普通に走って捕まえただけだが」
「……んな阿呆な」


ライヴが唖然としていた。それもそのとおりだろう。ホロロー鳥は柔らかい身で有名だが同時に逃げ足の速さでも有名なのだ。その逃げ足は最高80kmにも及ぶ。
しかしティオスはそのくらいの速度は足を魔力で少し補強するだけで走って出せる速度だった。


唖然とするライヴは捨て置きティオスは異空間倉庫、通称アイテムボックスから一通りの調理器具や油、調味料を出すと料理を始めた。



窯等は魔法で即席のものを作り上げ、それぞれの肉を半分に分け8人分にするとそこに途中で見つけてきた香草と元々持ってきていた香辛料、黒胡椒や塩等を振りかけるとよく洗った大きな葉で包んで釜の中に入れて蒸し焼きにする。


5分もすると辺りに肉と香辛料の香ばしい香りが広がっていた。その焼いている間にもティオスは残った香草と少量の肉でスープを作っていた。スープもスープで持ってきていたスパイスなどでコンソメスープが出来上がっていた。


「よし、出来たぞ」

そう言いつつティオスは蒸し焼きにしていたホロロー鳥の肉を取り出すとひとりひとりに木の皿に乗せて渡した。スープも器に入れて取り分けると持ってきていた少し硬いパンと共に渡した。ルイはそれを貰うと苦笑いをした。


「なんというか…ボク達の方が先輩の筈なのにティオス君の方が先輩に見えますね」
「全くだな。普通こういう野宿のときは硬いパンと乾燥野菜と干し肉を湯でほぐしただけのスープなのにな」

「全員貰ったな?それじゃあ食べようか。自然の恵みに感謝を」
『感謝を』


そう言って全員もう待てないとばかりに肉に齧り付いた。リエスやシトリー、ターニャ、メリッサは渡されたナイフとフォークで上品に、ワイルやライヴはフォークで突き刺して齧る。全員、その肉を噛み締めた瞬間目を見開いた。

「一度ティオスの料理を食べたけれどやっぱり美味しいわね」
「流石はご主人様。料理人としてもやっていけますね!」
「こんな美味しい料理、お店でもなかなか出逢えないわ」
「ここまで柔らかい肉は初めてなの」
「っっ!!うっまああ!!!」
「これは……美味ですね……!!」
「むうう、旨い…!」

「はは、そんなに喜んで貰えるとは作った甲斐があるってもんだ」



その後すぐに全員食べ終わり、腹も満たせたのでその日はすぐに就寝するのだった。










******









次の日。早くに目が覚めたティオスは全員が眠っているので起こさないようにそっとその場を後にすると森に入っていった。

この辺りの森はかなり自然が豊かで様々なフルーツも実っていた。ベリー系の実やミントの葉、柑橘系の果実。その他諸々の食べられる果実を採りアイテムボックスに仕舞うと今度は狩りに出た。

朝食に合いそうなものは無いかと探し回っているとなんとヘルバラビットを見つけた。ヘルバラビットはエサとなる草がかなり限られた場所にしか無く、ヘルバラビット自身もかなり臆病な性格で捕まえるのが非常に困難なのだ。なので高級食材なのである。

昨日あれだけ喜ばれたのである。料理に力が入らない訳がない。ティオスがこれまでで最も細心の注意を払い気配を消して忍び寄ると雷魔法フォルゲンで倒す。それを数回繰り返し6匹狩れた所で皆のもとに帰った。
幸い、まだ誰も起きていないのでささっと料理を始めると丁度出来上がる頃に全員が起き始めた。


「もう少しで出来上がるから近くの川で顔でも洗ってくるといい」

そう言って全員が朝の身嗜みを整え終わると朝食も出来上がり、全員に配膳した。


「昨日の夜もあれだけ作ってもらったのに今朝もこれかよ…」
「もうもとの野宿に戻れなくなったらどうしようかしら」
「……これって高級食材じゃ無かったか?」



今朝の朝食はヘルバラビットの燻製肉がメインで、それに甘くないベリーでソースを作りそれをかけてある料理だった。他には柑橘系の果物を使った飲み物に様々なフルーツを使ったスイーツまで用意されていてまさに至れり尽くせりだった。


朝からこんなにも美味しい料理を食べられて全員の士気が上がった頃、出発した。このペースなら今日の夕方には着くだろう村での依頼を想いつつ馬車に揺られるのだった。













ティオスの料理、食べてみたいです。

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