前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う

つかっちゃ

冒険者登録

職員に連れられてやってきたのは何やら古臭い本棚が大量に置いてある書庫のような場所だった。



「ここは旧冒険者ギルドイリニ支部だった場所の一部ですが今はこうして冒険者志望の方のテストをする場所になっているのですよ。テストと言ってもここでは魔力の量を測定するだけなのですけどね」



そう言いながら職員は本棚をごそごそと漁っていて、ティオス達は部屋を物珍しそうに見ていた。「あったあった」と職員が取って来たのは薄い虹色をした水晶だった。



「これは魔力を測る魔法道具でして。依頼には魔力の量が必要なものも極稀にありまして、その人の魔力量を図っておくのもギルドの仕事なんです」
「それじゃあ早速いいかしら?」
「ああ、構わんぞ」
「はい。どうぞ」

 


最初に測りたいと名乗りを上げたのはリエス。職員はどうぞ手に置いてくださいと渡す。そしてリエスは魔力を少しずつ込めて行くと────




ビシッと罅が入ってリエスの手の上でいくつかの破片になった。ギルド職員は目を見開き、掠れた声で


「──測定不可能……ですか………」
「あら?まだ半分も出していないのだけれど」
「なっ!?」


職員はこれは…と考え「し、少々お待ち下さい」と足早にこの部屋を出て行った。一体どうしたというのだろうか。









******









「待たせて申し訳無い。私はギルドの全権を預かっているマイトと言う者だ。分かりやすく言うとこのギルドのマスターだ」


そう言って部屋に入ってきたのは先程の職員ではなく、白髪混じりのグレーの髪の毛をオールバックにキメているハンサムな50歳代だろうと思われる男性が入ってきた。

何より目を引くのはその体だった。

顔は髪の毛は年を感じさせるがその肉体はボディービルダー顔負けの筋肉量だった。灰色のスーツに赤の細い縦ラインの入った白いシャツを着ているのだが、その筋肉によってパッツパツで今にも服を止めているボタンが弾け飛びそうだった。





ティオス達もマイトに一通り自己紹介を済ませると、また部屋を移すことになった。今度はギルドマスターの部屋らしく、入ってみると思いの外シンプルにアイボリーの壁や天井に本棚、小さな花瓶の置かれた作業用デスクが置いてあった。


部屋の中央には応接場所としてシックな本皮らしきソファと乳白色の大理石の机が置かれていた。マイトはここに掛けてくれと三人を座らせた。そしてここからが本題とばかりに真剣な視線を三人に巡らせる。



「それじゃあここに突然呼んだ理由だが。リエス君」


マイトはそう言ってリエスを見る。



「あの測定用に魔力抵抗を限界まで高めたグランツ鉱石の高純度水晶をいとも簡単に砕いてしまうほどの規格外な魔力。貴方は一体?」



グランツ鉱石とは簡単に言えば魔法道具の魔法陣制御の為に使われる魔力抵抗の高い鉱石だ。


リエス達3人はあの水晶を割った事の重大さがよく分からずこいつ何言ってんだ?という感じになっている。


「私はただのエリザベート戦術学園のSクラスの3年生よ」
「っ!?今の学園のSクラスの生徒達はそんなに強い者が多いのか!?」
「いや、俺達Sクラス3年だけだろうな。リエスは魔術に秀でているな」
「といっても貴方の足元にも及ばないけれど」
「当たり前です。ご主人様に叶う訳がないでしょう?」
「なっ!?リエス君よりもティオス君の方が魔法に秀でているのか?この規格外な魔力量の彼女よりも?」


マイトは嘘だろう?という顔をしているがリエスは至極当然の事のように



「いえ?魔力量も魔法もティオスには全く勝てる気がしないわ」




と言い張った。マイトは驚きっぱなしで立ち上がって聞いていたのだが、気が抜けたようにどすんと音を立てて座るとはぁ〜っと溜息をついた。そしてぼそぼそと何やら言い始めた。



「あの魔法道具はあのマリス様でも罅が少し入って驚いていたのに……世界はまだまだ知らない事だらけだな…」



と、何故か燃え尽きた感じの雰囲気を出してきた。一体何なんだこのギルドマスター。そしてもう一度溜息を着くと


「分かった。冒険者ランクは今回は特別だ。最初からBランクで良い。私が見る限りシトリー君も規格外の様だし、何よりティオス君は強いだけでなくそういう戦闘経験も豊富そうだ。本当ならばAランクからでも良いのだがBからAには信頼度が必要なのだ」
「それは重々承知だ。Bからでもありがたい」
「そうね。ちまちまとランク上げ出来る時間はあまり無いものね」
「そうか。理解してくれて感謝する。明日冒険者証を発行するからもう一度明日来てほしい」
「了解した」



そんな訳で冒険者登録が終わった。

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