前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う

つかっちゃ

規格外なんてものじゃない

「………今回ばかりは俺も負けるかと思ったよ」




胴体に風穴が空き地面に伏しているティオスを見つつ、カナタは汗を浮かべた顔で武器を背中の鞘に直す。

そしてもう用は無いとばかりにくるっと後ろを向き、1本踏み出そうとしたその須臾すゆ、それは起きた。





「──勝手に終わらせるな」





カナタの脳内に突然そんな声が聞こえ、グラウンドの端まで吹き飛ばされていた。観ていた生徒達は何が起きたのかさっぱり分からず、吹き飛ばされたカナタを呆然と眺めるしか出来ない。

静寂に包まれ、誰かがグラウンドの中心を指差して「あっ」と声を出した。

全員が中心を見るとそこには服はボロボロだが肌には傷一つついていないティオスが、右足を地面と平行に振り上げている体勢でカナタの飛んでいった方を見つめていた。



「今回ばかりはスキルに頼らないと負けていたな。カナタ、お前は強い。但し俺の次に、だ」



肩の力を抜いて少し気怠そうにティオスがカナタを見据えて言った。カナタの方は絶望したかの様な表情で、絞り出すかのようにぽつぽつと喋りだす。



「どうして…?確実にあれは倒したと思ったのに…?」
「スキルだな。詳しくは教える義務はない」
「……俺以外にもそんなチートなスキル持ちがこの世界に居たのか…」



カナタは何やらぶつぶつ呟いていた。そしてカナタはもう一度武器を手に取ると剣の状態にした。
するとカナタの周囲に、今度こそ決めるとばかりに先程より膨大な魔力が集まる。


「これで正真正銘最後の戦いだ。もう魔力も限界だ…」
「ならば正面から受け止めてやろう。今度はもう油断はしないから安心しろ」
「その発言、忘れるなよ」



カナタの顔色が目に見えて悪くなる。本当に限界なのだろう。手も震え始めたがそれでも魔力は十分過ぎるほど集まった。

その魔力はカナタの全身に薄く引き伸ばされカナタの全身が薄っすらと光を帯びると、まだまだ余りある魔力はカナタの周りから霧散したようにどんどん薄く引き延ばされた事を確認すると、呟いた。



「──決める。断絶の刻限アレスタ・ライカス






その瞬間、世界の時は止まった。









******








俺はこの世界に転生してからこの方戦いに置いて苦戦した事が一度もない。そもそも戦いにそんなに重きを置いている訳じゃなかったがせっかく異世界に転生したのだし、まあ、遊び程度に強い奴と戦いたかった。負けても良いや、程度で。


そして今、己の全てを使わなければ勝てない相手と向き合っている。

最初は楽しかった。このチートの権現とばかりのスキルを手に、それと渡り合えるほどの強者がまさか同年代にいるなんて思いもしなかった。

しかし、こちらが優勢だろうと思っていたが、押され始めたときにふと思った。思ってしまった。


コイツには負けたくない、と。


そしてティオスを地面に倒れさせた時は、今までの戦いで感じたことのなかった高揚感が全身を掛け巡った。


だが、あろう事が大穴を開けられたはずなのに何事も無かったかのように立ち上がりこちらを見据えている。



───そこはかとなく恐怖を感じた。



ティオスの勝利に対する執着が、その爛々と輝く双眸が、ニヤリと不遜に笑いまだ立ち向かって来る態度が、全てが怖くなった。



それから早く終わりたいという気持ちから、断絶の刻限と言う時を止める魔法を使った。それなのに。




それなのに。







「どうしてお前は動けるんだよ!!!」




止まった世界の中で、ソイツはしっかりと動いていた。その時に感じた。


規格外なんてちゃちなモンじゃない。








──────バケモノだ。







******








そこからの戦いの結末は呆気なかった。生徒達は気づけば気を失っているカナタとその前に立っているティオスが目に写った。

2人の規格外の戦いは、凡そ15分程度だった筈なのに、それが永遠の時間にも思えてしまうほど濃い物だった。その後は試合は執り行わず、観ていた生徒達は異様な雰囲気を出しつつ教室に戻っていった。


Sクラスの人は残りグラウンドを整備し、元通りに直すと解散となった。





その日の戦いは学内で話題となったが不思議と詳しい事は出回らなかった。

見ていた生徒達に聞くと皆こぞって言うのだ。


「ティオスという奴はバケモノだった。それ以上は学内最強決定戦で見て感じろ」



と。




Sクラス代表決定戦があった日から、観戦していたクラスの生徒達はやる気が今まで以上で先生達が質問の嵐に遭い、教師たちの間で一体どうしたんだ?と話題になるのはまた別の話。
















一応これからも毎日投稿を続ける予定ですが書いていて内容が薄っぺらいなぁ〜と今以上に感じ始めたら2日に一回の投稿に変わるかもしれないです…

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