前世で世界最強だった俺は、また世界最強になろうと思う

つかっちゃ

エリザベート戦術学園

「忘れ物は無いか?」
「ああ。一通りの物は全て持った」
「ふふふ、他の子たちとはしっかり仲良くするのよ?」
「………善処しよう」
「ははっ、素直になれば良いものを────っと、馬車の時間が迫ってきてるな」

マティスは時計を見て「そろそろ時間だな」と呟いている。
マリスは微笑みながらこちらを見ているのだが、何だかその視線が少しこそばゆい。

「──それじゃあ、行ってくるよ」
「「いってらっしゃい」」





最初は、正直言ってあの二人のことはそんなに気に掛けていなかった。
自分の強ささえ追い求めれられれば良いと思っていた。

しかし、あの甘々な二人に何不自由ない生活をさせてもらえて、お節介を焼かれて────いつからだっただろうか。

──────こんなにも愛おしく感じるようになったのは。



学園は寮制で、これから6年間は長期休暇以外だと家には帰れない。
精々達者でいてくれる事を想いつつ、馬車に乗り込むのだった。



馬車の窓から吹き込んでくる風が、射し込んでくる日の光が、とても優しく感じた。







******







「うっわ………人おおっ………」

この一言に尽きる。
え?なんなの?学園ってこんなに人が来るもんなの??

ぼくはじめてだからわかんない。


まあこんなもんなのだろうと心なかで一人で会話のキャッチボールをしつつ校門をくぐる。

アイボリーとベージュを貴重とした校舎は見る人々にさっぱりとした雰囲気を与えるが、しっかりと見るとその建築に施されている装飾の細かさが目につく。かなり腕の立つ建築技術達が手掛けたのだろう。



そんな風に外観に目を奪われていると突然後から肩をぽんぽんと叩かれ反射的にそちらを見ると、一人の女子が立っていた。


ブロンドの髪が風に揺れていて、この雲一つない空の下、鮮やかな翡翠色の双眼が映えている。クールそうな顔立ちが尚更美貌を引き立てている。

その美貌は勿論だが何より目が向いてしまうのはその長い耳だ。


「こんにちは」
「ああ、こんにちは」
「私、リエスって言うの。貴方は?」
「ティオスだ。リエスは妖人あやびとか?」
「ええ。私は長耳ちょうじ族。自慢の耳よ。どう?」


少し目を伏せ、自慢気に耳を見せてくる。実に魅惑的だ。


「とてもリエスに似合ってる」
「ふふ、ありがと。それじゃあ引き止めた理由を話すわね。私、見ての通り一人で来ててとても退屈なの。見た感じティオスも一人で来てるようだから一緒に入学式に向かわないか声をかけたの」
「なるほど、確かに俺は一人で退屈だ。リエスの誘いに乗ろう」
「ありがと」


そういうと彼女はふわっとした美しい微笑を浮かべた。
その美貌に辺りの入学生達が、いや、男子達がこちらに視線を寄越したり立ち止まって見惚れていたりしている。

が、そんな事はどうでもいいとばかりにリエスは「それじゃ行きましょうか」とその長いブロンドの髪の毛を揺らしつつ歩き始めたのでティオスも「ああ」と返事をすると入学式会場に向かった。






入学式会場である大講堂に向かって、入り口の場所で先輩らしき受付の生徒達が配っている席番号を受け取るとリエスと二人でその指定席に座った。

大講堂は15人ごとに座れるようになっている席が、横に4列、縦には12列、2階席が縦が8列となっていて最大1200人まで座る事が出来る。

人学年につき凡そ350人いて、教師達は約150人程度居る学園なので全校生徒+全教師達がまとめて入る事が出来る広さを持っている。

舞台を元に扇形のような放射線状に広がるその空間は、前世で天下武冠会に何度も出場していたこの俺を以てしてもそれなりに圧巻された。



「今は──っと、あら?入学式始まるまであと40分位時間があるわね」
「その間は特にすることも無いしここで静かに待っとくか?」
「私はそれでいいわ」
「決まりだな」


 
そう言い、席に座り直したその時。
ティオスの横の席に金髪のいかにも騎士っぽい雰囲気を醸し出している爽やかそうな男子と、凄く気品が高そうな雰囲気のある、しかしお高く止まってるわけではなく柔和な感じを持つ女子のペアが座ってきた。
リエスもそのペアが気になるのか視線だけを向けている。


あちら側もこちら側に気が付き二人とも柔らかい微笑みを向けると話しかけてきた。


「はじめまして。私はルーチェと申します」
「はじめまして。私はグアンと申します」

二人とも言葉遣いが丁寧で少し固いイメージが湧くが、不思議と二人に似合っている。因みに女子の方がルーチェで男子の方はグアンと言うらしい。

「はじめまして。俺はティオスと言う」
「私はリエスと言うわ。よろしく」

お互い、軽く自己紹介を済ませると、ルーチェ&グアンペアはティオスの隣の席に着いた。







これが、このエリザベート学園に波乱を呼ぶメンバーの一員になるだなんて、誰も思わないのだった。








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