ウイニー王国のワガママ姫
Coffee Break : 真名
新婚旅行で竜の国へ赴き、デール王国の王冠が出来上がったのを見届けると、竜の国の王に頼んでコッソリとレティアーナとフィオディールはラハテスナへと直行した。
王の竜の背中に乗ってあっという間に辿り着くと、ベルン特有のカラッとした暑さに襲われ、早速例の衣装を買う事となった。
相変わらず露出の多い衣装にお互い目のやり場に困ったものだが、それもすぐに慣れ、その足で王宮へと向かうのだった。
やはりと言うか流石というか、2人の訪れは女王に筒抜けだった様で、王宮の門の前では女王の夫で近衛のジャハーが2人を出迎えに来ていた。
謁見の間に通されたフィオディールは初めて見る幼い姿の女王と大きな眠虎にかなり驚いていたが、同一人物だと判るとすぐにニッコリと微笑んで以前の非礼と感謝を女王に述べた。
「あー。良い良い。お主らもう国王に王妃じゃろうが。何故そう畏まりたがるのじゃ。妾の事はライリと普通に呼ぶがいい」
「そういう訳には…」
レティアーナが戸惑ってフィオディールを見ればフィオディールはニコリと微笑んで「では、ライリ様とお呼びします」と応えた。
それでも少々不満そうな女王だったが「まぁ良い」と、何とかそれで納得したのだった。
「しかしお主ら、呆れるくらい仲が良いのぅ…ここへ来た時フィオディールにも真名をと思っておったが…お主……既に真名を持っているとは流石に想定しておらなんだぞ」
「「え?」」
女王の言葉の意味がわからず2人は顔を見合わせてキョトンとする。
「僕にも既に真名があるんですか?前世でラハテスナの王に頂いたとかそういう事でしょうか?」
「違う。何もラハテスナの王族が与えなければならんものでもない。与えたのはお主の妻じゃ」
「えっ!?私!?」
予想外の答えにレティアーナは驚いて声を上げる。
フィオディールも身に覚えがない事に戸惑いつつ隣にいるレティアーナを見つめた。
「口にした名が真名になるには条件がある。一つは付けられる本人が己の魂に願いを込める事、一つは付けられる本人と関連のある名である事、そして最後はその願いを受け入れ名を口にする事が出来る者の存在じゃ」
「はぁ…それはつまり僕が何か願いを込めてレティがその願いを受け入れた状態で名前を口にしたって事ですか?」
「そうなるの」
チョットだけつまらなそうに女王は爪を弄りながらフィオディールに答えた。
「あの…全く身に覚えが無いのですが…」
レティアーナが申し訳なさそうに言えば、フィオディールも同意してウンウンと頷く。
すると女王はさらに呆れた顔で2人を交互に見下ろした。
「ほんに、しょうがないのうお主らは。フィオディールはテディという名を名乗った時に何か少なからず想いを乗せたはずじゃぞ?とても大それた願いをな」
女王がそう言えばフィオディールは少しばかり考えて、ハッとした顔をしてレティアーナを見た後、見る見るうちに真っ赤になってしまった。
「テディ?」
「…多分、レティが持ってたぬいぐるみみたいに、ずっとレティと一緒に居たいと……そんな感じの事を思った気がします」
「えぇっ!?」
そら見たことかと女王は目を細めてふふんと微笑む。
するとフィオディールは徐々に全てを理解して、目をキラキラと輝かせてレティアーナの手を握りしめた。
「そうか…あのぬいぐるみはレティと出会った時に凄く印象に残ったから僕にとってとても縁が深い物になったんですね!そしてレティは僕の想いを受け入れてくれたからそれがいつの間にか真名になったと…!!嬉しいです!!いつからですか!?」
「えっ…あのっ……」
「阿呆が…その願い、大それているというたであろうが……真名の願いは魂に刻み込まれる。つまり生まれ変わってもお主はこの娘に惹かれ続けるということじゃぞ…」
「いい事じゃないですか!僕どんな姿でもレティと添い遂げられるなら本望です!!」
レティアーナの手を握ったままフィオディールが言えば、レティアーナは耳まで赤くして俯いてしまう。
それを溜息交じりに女王は更に「阿呆でなくど阿呆であったわ…」と呟いた。
「よいか?お主の願いであって"アサル"の願いで無い事を肝に命じておけ。他人の魂を直に縛る願いは身を滅ぼしかねん。例えば親兄弟として生まれ変わったらどうなる?同性でもこの娘がお主を好いてくれる保証もない。じゃが一生お主はこの娘から離れられん。どうじゃ?つらいぞぅ〜?なんせずっと片思いでも叶えられる願いじゃからなぁ〜?」
ニヤニヤと女王が言えばフィオディールは愕然と顔色を失う。
「僕は…またレティをいつか不幸にするんですか!?」
頭を抱えれば、戸惑いがちにぽんぽんとレティアーナがフィオディールの肩を撫でた。
「テディ…多分、大丈夫だと思うわ……だって、あの、私が受け入れたから真名になったんですよね?」
レティアーナが女王に言えば、女王は面を食らったような顔をした後「そうじゃ」と、ニヤリとして答えた。
「私が願いを受け入れて真名になったのなら、生まれ変わっても私もまたテディに惹かれるって事なんじゃないかしら?それとも間違った解釈なのかしら?」
「賢い嫁で良かったのうフィオディール。じゃが、受け入れたのがレティアーナでなければ妾が言った通りの結果になっていた事は教えておくぞよ」
「レティ!!ありがとうございます!!僕は幸せ者です!!」
「て、テディッちょっと、落ち着いて!ライリ様の御前なのに!」
フィオディールが感極まってレティアーナに抱きつけば、やはり女王は呆れた顔で2人を見下ろしていた。
そして2人に聞こえない位小さな声で「禁断の愛になる可能性は否定できぬがな」と女王はポツリと呟いた。
王の竜の背中に乗ってあっという間に辿り着くと、ベルン特有のカラッとした暑さに襲われ、早速例の衣装を買う事となった。
相変わらず露出の多い衣装にお互い目のやり場に困ったものだが、それもすぐに慣れ、その足で王宮へと向かうのだった。
やはりと言うか流石というか、2人の訪れは女王に筒抜けだった様で、王宮の門の前では女王の夫で近衛のジャハーが2人を出迎えに来ていた。
謁見の間に通されたフィオディールは初めて見る幼い姿の女王と大きな眠虎にかなり驚いていたが、同一人物だと判るとすぐにニッコリと微笑んで以前の非礼と感謝を女王に述べた。
「あー。良い良い。お主らもう国王に王妃じゃろうが。何故そう畏まりたがるのじゃ。妾の事はライリと普通に呼ぶがいい」
「そういう訳には…」
レティアーナが戸惑ってフィオディールを見ればフィオディールはニコリと微笑んで「では、ライリ様とお呼びします」と応えた。
それでも少々不満そうな女王だったが「まぁ良い」と、何とかそれで納得したのだった。
「しかしお主ら、呆れるくらい仲が良いのぅ…ここへ来た時フィオディールにも真名をと思っておったが…お主……既に真名を持っているとは流石に想定しておらなんだぞ」
「「え?」」
女王の言葉の意味がわからず2人は顔を見合わせてキョトンとする。
「僕にも既に真名があるんですか?前世でラハテスナの王に頂いたとかそういう事でしょうか?」
「違う。何もラハテスナの王族が与えなければならんものでもない。与えたのはお主の妻じゃ」
「えっ!?私!?」
予想外の答えにレティアーナは驚いて声を上げる。
フィオディールも身に覚えがない事に戸惑いつつ隣にいるレティアーナを見つめた。
「口にした名が真名になるには条件がある。一つは付けられる本人が己の魂に願いを込める事、一つは付けられる本人と関連のある名である事、そして最後はその願いを受け入れ名を口にする事が出来る者の存在じゃ」
「はぁ…それはつまり僕が何か願いを込めてレティがその願いを受け入れた状態で名前を口にしたって事ですか?」
「そうなるの」
チョットだけつまらなそうに女王は爪を弄りながらフィオディールに答えた。
「あの…全く身に覚えが無いのですが…」
レティアーナが申し訳なさそうに言えば、フィオディールも同意してウンウンと頷く。
すると女王はさらに呆れた顔で2人を交互に見下ろした。
「ほんに、しょうがないのうお主らは。フィオディールはテディという名を名乗った時に何か少なからず想いを乗せたはずじゃぞ?とても大それた願いをな」
女王がそう言えばフィオディールは少しばかり考えて、ハッとした顔をしてレティアーナを見た後、見る見るうちに真っ赤になってしまった。
「テディ?」
「…多分、レティが持ってたぬいぐるみみたいに、ずっとレティと一緒に居たいと……そんな感じの事を思った気がします」
「えぇっ!?」
そら見たことかと女王は目を細めてふふんと微笑む。
するとフィオディールは徐々に全てを理解して、目をキラキラと輝かせてレティアーナの手を握りしめた。
「そうか…あのぬいぐるみはレティと出会った時に凄く印象に残ったから僕にとってとても縁が深い物になったんですね!そしてレティは僕の想いを受け入れてくれたからそれがいつの間にか真名になったと…!!嬉しいです!!いつからですか!?」
「えっ…あのっ……」
「阿呆が…その願い、大それているというたであろうが……真名の願いは魂に刻み込まれる。つまり生まれ変わってもお主はこの娘に惹かれ続けるということじゃぞ…」
「いい事じゃないですか!僕どんな姿でもレティと添い遂げられるなら本望です!!」
レティアーナの手を握ったままフィオディールが言えば、レティアーナは耳まで赤くして俯いてしまう。
それを溜息交じりに女王は更に「阿呆でなくど阿呆であったわ…」と呟いた。
「よいか?お主の願いであって"アサル"の願いで無い事を肝に命じておけ。他人の魂を直に縛る願いは身を滅ぼしかねん。例えば親兄弟として生まれ変わったらどうなる?同性でもこの娘がお主を好いてくれる保証もない。じゃが一生お主はこの娘から離れられん。どうじゃ?つらいぞぅ〜?なんせずっと片思いでも叶えられる願いじゃからなぁ〜?」
ニヤニヤと女王が言えばフィオディールは愕然と顔色を失う。
「僕は…またレティをいつか不幸にするんですか!?」
頭を抱えれば、戸惑いがちにぽんぽんとレティアーナがフィオディールの肩を撫でた。
「テディ…多分、大丈夫だと思うわ……だって、あの、私が受け入れたから真名になったんですよね?」
レティアーナが女王に言えば、女王は面を食らったような顔をした後「そうじゃ」と、ニヤリとして答えた。
「私が願いを受け入れて真名になったのなら、生まれ変わっても私もまたテディに惹かれるって事なんじゃないかしら?それとも間違った解釈なのかしら?」
「賢い嫁で良かったのうフィオディール。じゃが、受け入れたのがレティアーナでなければ妾が言った通りの結果になっていた事は教えておくぞよ」
「レティ!!ありがとうございます!!僕は幸せ者です!!」
「て、テディッちょっと、落ち着いて!ライリ様の御前なのに!」
フィオディールが感極まってレティアーナに抱きつけば、やはり女王は呆れた顔で2人を見下ろしていた。
そして2人に聞こえない位小さな声で「禁断の愛になる可能性は否定できぬがな」と女王はポツリと呟いた。
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