ウイニー王国のワガママ姫
復讐と真実 7
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何の手立てもないまま時だけが過ぎて行く。部屋の中になにか書くものがあればと探し回ったが、結局無駄な努力に終わってしまった。
外が完全に暗闇に包まれた頃、ヘレゼンが部屋へやって来て私を外へと連れ出した。
人に見られると困るからか大きな街頭を手渡された。
誘導されるままに彼について行く。この日は月も星も見えない程雲がかっていていつも以上に暗い夜道だった。
私の周りには異常とも思えるほ程厳重に兵士が取り囲むようにして護衛についている。
暗闇の中松明の明かりによって、かろうじて足元の石畳だけが見えていた。
風が強く、波の音が間近で聞こえる。
ヘレゼンが立ち止まり顔を見上げると、彼はニコリと口角を上げて恭しく私の手を取り先程よりも丁寧に私を誘導し始める。
『暗いですから足元にお気を付けを。踏み外さないように注意して下さい』
そう言ってヘレゼンは板張りの坂道を慎重に歩いていく。
続いて一歩踏み出せば、足元がグラリと揺れる感覚に襲われた。
(坂道じゃない。船に乗ろうとしているんだわ)
板の下を覗けば松明の明かりが海面をキラキラと反射しているのが見える。
慎重に一歩一歩進み船上へ降り立つと船上の明かりはどれも消されていてまるで息を潜めているかのように静かだった。
私が乗り込んで直ぐに板が外され、錨があがる音がカラカラと響き渡った。
『我が鯨波騎士団は騎士団を名乗ってはおりますが元々は海兵隊。敵も流石にまだこのウズマファスを完全には攻略出来ておりません。船で我々に勝てる程の戦力は無いとみております。陸路で王都へ向かうよりも安全な旅となる事をお約束致しますよ』
船が陸から徐々に離れていく様子を見守りながらどこか誇らしげにヘレゼンは言う。
戦況は国王が押されているのは誰の目から見ても明らかなのに…
私には何だかその姿が滑稽に見えてしまった。
内側にいるから状況が見えていないのだろうか?それともウイニーの助力さえ得れば形勢を逆転出来ると確信しているんだろうか。
麻痺してしまっている彼の感覚に憐れみすら感じてしまう。
私のその目をヘレゼンは不安と捉え、速度を上げる船の中へと私を誘導する。
船室へと案内され中に入ると「2〜3日中には到着します」とだけ言ってヘレゼンは外へと出て行った。
突貫工事で備え付けられた様な狭くこじんまりとした部屋にはハンモックと僅かばかりの食料と水が用意されていた。壁の板は薄くすぐそばで兵士達の喋り声が聞こえてくる。
一歩外へ出れば沢山の積荷とハンモックがぶら下がっていた。
この部屋も本来は壁などなく同じように兵士が寝転んでいた場所だという事が感じ取れた。
部屋の円窓を覗けば眼下に水面が微かに揺らめいているのが見えた。
ギシギシと板張りの船体が軋む音が部屋の中に響き渡る。
(とにかく今は待つしかないわ。体力を温存してなるべく冷静にならなきゃ)
与えられた食事を無理やり口にして、気分が悪くならないように時折甲板へ出て過ごした。
昼間に外へ出てみればこの船が以前乗ったテディ達の船よりも大きな船だという事が判った。
出港から2日半が経過した頃、静かだった海に突然大きな音と振動が後方から船を襲った。
海面に大きな飛沫が上がる音が聞こえ、船体が大きく揺れ動く。
必死になってハンモックにしがみつきながら何が起こったのかと部屋の外の様子を伺う。
窓の外には静かな海の景色、しかし板張りの壁の隙間から慌ただしく兵士達が走り回っているのが目に入った。
再び今度はすぐ横でバキバキという大きな音が響き渡ると、更に船体に大きな衝撃が伝わってきた。
「キャーー!!」
廊下に投げ出されるかと思う位の衝撃を受けて私は扉に叩きつけられる。
背中と頭に痛みを感じ呻き声を漏らした。それでもなんとか身体を起こして見れば部屋後方の壁を突き抜けて、すぐ隣に何か大きなものが突き刺さっているのが見えた。
何の手立てもないまま時だけが過ぎて行く。部屋の中になにか書くものがあればと探し回ったが、結局無駄な努力に終わってしまった。
外が完全に暗闇に包まれた頃、ヘレゼンが部屋へやって来て私を外へと連れ出した。
人に見られると困るからか大きな街頭を手渡された。
誘導されるままに彼について行く。この日は月も星も見えない程雲がかっていていつも以上に暗い夜道だった。
私の周りには異常とも思えるほ程厳重に兵士が取り囲むようにして護衛についている。
暗闇の中松明の明かりによって、かろうじて足元の石畳だけが見えていた。
風が強く、波の音が間近で聞こえる。
ヘレゼンが立ち止まり顔を見上げると、彼はニコリと口角を上げて恭しく私の手を取り先程よりも丁寧に私を誘導し始める。
『暗いですから足元にお気を付けを。踏み外さないように注意して下さい』
そう言ってヘレゼンは板張りの坂道を慎重に歩いていく。
続いて一歩踏み出せば、足元がグラリと揺れる感覚に襲われた。
(坂道じゃない。船に乗ろうとしているんだわ)
板の下を覗けば松明の明かりが海面をキラキラと反射しているのが見える。
慎重に一歩一歩進み船上へ降り立つと船上の明かりはどれも消されていてまるで息を潜めているかのように静かだった。
私が乗り込んで直ぐに板が外され、錨があがる音がカラカラと響き渡った。
『我が鯨波騎士団は騎士団を名乗ってはおりますが元々は海兵隊。敵も流石にまだこのウズマファスを完全には攻略出来ておりません。船で我々に勝てる程の戦力は無いとみております。陸路で王都へ向かうよりも安全な旅となる事をお約束致しますよ』
船が陸から徐々に離れていく様子を見守りながらどこか誇らしげにヘレゼンは言う。
戦況は国王が押されているのは誰の目から見ても明らかなのに…
私には何だかその姿が滑稽に見えてしまった。
内側にいるから状況が見えていないのだろうか?それともウイニーの助力さえ得れば形勢を逆転出来ると確信しているんだろうか。
麻痺してしまっている彼の感覚に憐れみすら感じてしまう。
私のその目をヘレゼンは不安と捉え、速度を上げる船の中へと私を誘導する。
船室へと案内され中に入ると「2〜3日中には到着します」とだけ言ってヘレゼンは外へと出て行った。
突貫工事で備え付けられた様な狭くこじんまりとした部屋にはハンモックと僅かばかりの食料と水が用意されていた。壁の板は薄くすぐそばで兵士達の喋り声が聞こえてくる。
一歩外へ出れば沢山の積荷とハンモックがぶら下がっていた。
この部屋も本来は壁などなく同じように兵士が寝転んでいた場所だという事が感じ取れた。
部屋の円窓を覗けば眼下に水面が微かに揺らめいているのが見えた。
ギシギシと板張りの船体が軋む音が部屋の中に響き渡る。
(とにかく今は待つしかないわ。体力を温存してなるべく冷静にならなきゃ)
与えられた食事を無理やり口にして、気分が悪くならないように時折甲板へ出て過ごした。
昼間に外へ出てみればこの船が以前乗ったテディ達の船よりも大きな船だという事が判った。
出港から2日半が経過した頃、静かだった海に突然大きな音と振動が後方から船を襲った。
海面に大きな飛沫が上がる音が聞こえ、船体が大きく揺れ動く。
必死になってハンモックにしがみつきながら何が起こったのかと部屋の外の様子を伺う。
窓の外には静かな海の景色、しかし板張りの壁の隙間から慌ただしく兵士達が走り回っているのが目に入った。
再び今度はすぐ横でバキバキという大きな音が響き渡ると、更に船体に大きな衝撃が伝わってきた。
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