ウイニー王国のワガママ姫
帆柱の屋烏 4
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その後、ノートウォルドの以前ダニエルに連れて行かれた屋敷に移り、レイとテディ、リオやレムナフさんは今後について話し合った。
私は客室に通されたのをいい事に、待ってましたとばかりに〈つるつる美白くん〉を使用した。
これを作ってからだいぶ時間が経ってしまったのと、船底に押し込められていた所為もあって、一本使っただけだというのに文字通りつるつるで真っ白な肌を取り戻すことができた。
これなら3日も入らずに済みそうだ。
お風呂から上がったタイミングでコンコンと部屋の扉が叩かれる。
扉を開けるとお兄様がそこに立っていた。
肌が白くなった私を見てお兄様がまた驚いた様に目を見開く。
しかし、すぐに気を取り直して優しい笑みを私に向けた。
「驚いたよ。母上に瓜二つだ」
「お母様に?本当に?」
「ああ。父上もきっと驚くぞ。嫁にやりたくないって言い出すかもなぁ」
ぐりぐりとお兄様は苦笑しながら私の頭を撫でて言う。
お母様にそっくりだなんて言われると思っていなかった。
生まれてすぐに亡くなった母の存在は私にとっていまいちピンと来ないのだけど、肖像画でしか見たことのない母の存在に対してなんだか申し訳ないような気恥ずかしいような複雑な想いが胸に沸き起こった。
「なにはともあれ、おかえりレティ。お前がいないウイニーは火が消えたように寂しかったよ」
「嫌だわお兄様、平和だったの間違いでしょう?」
クスクスと笑って背伸びをしてお兄様の頬にキスを落としてハグをする。
「ただいまお兄様。お元気そうで何よりです。お家の方は変わりありませんか?」
「みんな元気だよ。父上はお前がいなくなってからずっと寂しそうにしてたが、孫ができた途端夢中になって元気がよすぎるくらいだ」
「そう、孫が……孫?!」
驚いて凝視する私にお兄様は頬を染めてぽりぽりとこめかみを掻いて見せる。
そう、そうよね…2年も経ってるんだもの。子供の1人や2人居てもおかしくないわいね…
お兄様が…お父様……
私は叔母…?
なんとも複雑な気分で顔を顰めていると、お兄様は苦笑して、
「帰ったら息子2人を紹介するよ」
と、サラッとまた衝撃的な"2人"という単語に目を瞠る。
「あ…ええと、お祝いも無しにごめんなさい。おめでとうお兄様」
少々唖然としながらお兄様になんとかお祝いの言葉を述べる。
泣きそうかも。とお兄様に聞こえるか聞こえないかの声で最後にぽつりと呟いた。
「ありがとう。まぁ、うちの話は落ち着いてからだな。客人がお帰りになられるからお前を呼びに来たんだ……友達、なんだろ?」
と、お兄様は少し何処か複雑そうな顔で私に言った。
「そう、やっぱり帰っちゃうんだ…」
テディの言う答えはまだ見つかってないけど、もう少し一緒に居たいとやっぱり思う。
一緒に居たら居たで落ち着かないんだろうけど、別れはやっぱり寂しいわ。
私が答えを出した時、どちらに転んでも今までの関係ではいられないのかしら…
不安な気持ちを胸にしまいこんで、私は再び町外れへと向かうのだった。
その後、ノートウォルドの以前ダニエルに連れて行かれた屋敷に移り、レイとテディ、リオやレムナフさんは今後について話し合った。
私は客室に通されたのをいい事に、待ってましたとばかりに〈つるつる美白くん〉を使用した。
これを作ってからだいぶ時間が経ってしまったのと、船底に押し込められていた所為もあって、一本使っただけだというのに文字通りつるつるで真っ白な肌を取り戻すことができた。
これなら3日も入らずに済みそうだ。
お風呂から上がったタイミングでコンコンと部屋の扉が叩かれる。
扉を開けるとお兄様がそこに立っていた。
肌が白くなった私を見てお兄様がまた驚いた様に目を見開く。
しかし、すぐに気を取り直して優しい笑みを私に向けた。
「驚いたよ。母上に瓜二つだ」
「お母様に?本当に?」
「ああ。父上もきっと驚くぞ。嫁にやりたくないって言い出すかもなぁ」
ぐりぐりとお兄様は苦笑しながら私の頭を撫でて言う。
お母様にそっくりだなんて言われると思っていなかった。
生まれてすぐに亡くなった母の存在は私にとっていまいちピンと来ないのだけど、肖像画でしか見たことのない母の存在に対してなんだか申し訳ないような気恥ずかしいような複雑な想いが胸に沸き起こった。
「なにはともあれ、おかえりレティ。お前がいないウイニーは火が消えたように寂しかったよ」
「嫌だわお兄様、平和だったの間違いでしょう?」
クスクスと笑って背伸びをしてお兄様の頬にキスを落としてハグをする。
「ただいまお兄様。お元気そうで何よりです。お家の方は変わりありませんか?」
「みんな元気だよ。父上はお前がいなくなってからずっと寂しそうにしてたが、孫ができた途端夢中になって元気がよすぎるくらいだ」
「そう、孫が……孫?!」
驚いて凝視する私にお兄様は頬を染めてぽりぽりとこめかみを掻いて見せる。
そう、そうよね…2年も経ってるんだもの。子供の1人や2人居てもおかしくないわいね…
お兄様が…お父様……
私は叔母…?
なんとも複雑な気分で顔を顰めていると、お兄様は苦笑して、
「帰ったら息子2人を紹介するよ」
と、サラッとまた衝撃的な"2人"という単語に目を瞠る。
「あ…ええと、お祝いも無しにごめんなさい。おめでとうお兄様」
少々唖然としながらお兄様になんとかお祝いの言葉を述べる。
泣きそうかも。とお兄様に聞こえるか聞こえないかの声で最後にぽつりと呟いた。
「ありがとう。まぁ、うちの話は落ち着いてからだな。客人がお帰りになられるからお前を呼びに来たんだ……友達、なんだろ?」
と、お兄様は少し何処か複雑そうな顔で私に言った。
「そう、やっぱり帰っちゃうんだ…」
テディの言う答えはまだ見つかってないけど、もう少し一緒に居たいとやっぱり思う。
一緒に居たら居たで落ち着かないんだろうけど、別れはやっぱり寂しいわ。
私が答えを出した時、どちらに転んでも今までの関係ではいられないのかしら…
不安な気持ちを胸にしまいこんで、私は再び町外れへと向かうのだった。
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