ウイニー王国のワガママ姫
ベルンで見る夢 2
=====
街の人に質屋がないか尋ねる。
するとバザーがあるから物を売りたいならそこで売るといいと勧められた。
言われた場所に行くと沢山の露店がひしめき合っていた。
やはりカラフルなテントが張られていて、店から物が溢れるくらい様々な物で溢れていた。
私とメルは一軒の洋服店に入り、買い取ってもらえるか交渉した。
すると割と高値で買い取ってもらうことが出来た。と思う……
コイン自体は沢山のもらう事ができたんだけど、よくよく考えたら換金率が分かっていなかった。
ボラれてなければ良いんだけど…
因みにこの国のコインは、
メタルブルー,メタルイエロー,メタルレッド,レインボー
と、コインまでカラフルだった。
このまま街を出るべきか悩んだものの、ダニエルの著書はウイニーしかなかったので、街をでようにも目指す場所の正確な位置が判らないので流石に無謀なことは出来ない。
もっともダニエル著以外のベルンの本も持ってきたのだけど、割と飛び飛びでダニエルのように事細かに書いてある旅行記は悲しいことに持っていなかった。
ふぅ…と溜息を吐いて、銀行に行くことにした。
この先の事を考えれば、結局ここで行かざるを得ないと判断した。
…銀行で鉢合わせしないように祈るしかない。
「お嬢様、やっぱり何処か、目的地とかあるんですか?」
メルの問いにこっくりと私は頷く。
「ダニエルの事がなければ、暫くここにいる予定だったんだけど、最終的な目的地はあるわ」
半獣族,テディの問題のうち、テディの問題はもしかしたらと思う場所があった。
その場所の一つはここケザス。
物が溢れるこの地なら薬も容易に手に入るだろうと考えていた。
「あの、それは何処です?ここから遠い場所ですか?」
不安そうな顔でメルは私を見つめた。
「そうね、遠いわ。ただ、真っ直ぐそこへ向かうとは限らないし…」
「一体どこなんですか!あんまり遠いとボク困ります!」
それは金銭的な意味かしら?
それともホームシック的な意味かしら?
「この国から南東。魔法大国イスクリス国よ」
以前、フェンスで手に入れた弓が作られた魔法の国。
中央都市まで行けば医療系の魔法を学べるかも知れないと考えていた。
…というのは半分口実で、やっぱり魔法ってときめくじゃない?
ウイニーでは魔法はまだ広まっていないから、この機会に是非学びたいと思っていた。
メルは目を見開いて驚いたけどイスクリスの魔法には彼も興味があったようで、どことなく目が輝いていた。
しかし、ぶんぶんと慌ててメルは頭を振った。
「イスクリスって、同じベルンとはいえまた国外へ行くのと同じじゃないですかー!一体ここからどれくらいかかるんですか?!」
それを言われてしまうと私も実はわからない。
今回は馬も乗れないし、資金も結構カツカツだ。
何せ今まで集めてたコインはザックに上げちゃったし、出発を決めて数日間でなんとか要らないものを売り払って、ヴェルで稼いで袋の3分の1くらいしか稼げなかった。今回はアダマンもない。
メルはもっと少なさそうだ。
「その辺もココで調べないといけないけど、両替して物資調達するのが先よ」
私たちは表通りのピンク色の建物の前で仁王立ちした。
ここがケザスの中央銀行だ。
=====
銀行の中は落ち着いた雰囲気…というより人でひしめき合っていた。
流石に国内外から人が集まる場所と言える。
「今日中に両替出来るのかしら…」
窓口では順番待ちの人で溢れかえっていた。
さらに言えば、皆、割り込んで我先にと言った雰囲気。
これ、無理じゃないかしら……?
私はメルに助けを求めるように視線を送る。
メルはこっくりと頷いて「任せて下さい!」と言わんばかりに人垣の中を進んで行く。
「すみません!通してください!りょ、両替を、」
如何せん人が多すぎる所為で、メルは右や左に流される。
私ははらはらしながらメルを目で追いかける。
不意に、ドン!と後ろから押され、私も人垣の中に入れられてしまった。
「きゃあ!」
「お、お嬢様!」
私は必死で外に出ようとするが、体が小さい所為なのか人混みの流れに逆らうことが出来ず、あれよあれよと流されてしまう。
必死でもがいて出ようとすると、近くの男性から「おい!こんな所で暴れんな!迷惑だろ!」と怒鳴りつけられる。
私は驚いて「ごめんなさいっ」と謝るものの、どうしていいかわからず動けなくなってしまった。
メルはもう何処に居るのか判らない。
視界が涙でぼやけてくる。
そしてギュウギュウと四方から押され、だんだんと意識が遠くなってきていた。
(息が…出来ない……骨が潰されそう)
「た、すけ……」
脚の力が抜ける。
肩の骨と、肋骨が軋むような感覚が襲う。
「おい!誰か倒れそうだ!押すな!」
と近くで注意する声が聞こえたが、苦しくて顔を上げることができない。
ガクッと意識を手放そうとした瞬間、ガシッと誰かに両腕を掴まれた。
「あーごめんよーごめんよー通してくれっかなぁ?連れが倒れそうなんだ」
頭上から聞き飽きた声が聞こえる。
ふと、周りの圧力が無くなったのを感じた。
皆が左右に少し避けてくれた様だ。
「歩け……ないよな?よし、任せろ!」
と言うや否や、膝下に太い腕の感触がした。
見上げると、やはり1番会いたくなかった人物の顔が目に入った。
「ここは待合室とかないから外に出るぞ?」
私はがっしり抱えられたまま外に出る。
(この人見た目通り骨太いんだなぁ)
ボーッとした意識で考えた。
外に出ると日陰になっているところに私を下ろし、膝をおって心配そうに顔を覗き込むダニエルの顔が目の前にあった。
「大丈夫か?メルはどうした?」
「あ…りがとう、だいじょうぶ。中で、メルとはぐれちゃって…」
ゴホゴホと咳き込むと、ダニエルはぽんぽんと私の頭を叩いて、
「ちょっとここで待ってろ。見つけてくっから。逃げるなよ?」
と、ニヤリと笑いながら再び銀行の中に入って行った。
街の人に質屋がないか尋ねる。
するとバザーがあるから物を売りたいならそこで売るといいと勧められた。
言われた場所に行くと沢山の露店がひしめき合っていた。
やはりカラフルなテントが張られていて、店から物が溢れるくらい様々な物で溢れていた。
私とメルは一軒の洋服店に入り、買い取ってもらえるか交渉した。
すると割と高値で買い取ってもらうことが出来た。と思う……
コイン自体は沢山のもらう事ができたんだけど、よくよく考えたら換金率が分かっていなかった。
ボラれてなければ良いんだけど…
因みにこの国のコインは、
メタルブルー,メタルイエロー,メタルレッド,レインボー
と、コインまでカラフルだった。
このまま街を出るべきか悩んだものの、ダニエルの著書はウイニーしかなかったので、街をでようにも目指す場所の正確な位置が判らないので流石に無謀なことは出来ない。
もっともダニエル著以外のベルンの本も持ってきたのだけど、割と飛び飛びでダニエルのように事細かに書いてある旅行記は悲しいことに持っていなかった。
ふぅ…と溜息を吐いて、銀行に行くことにした。
この先の事を考えれば、結局ここで行かざるを得ないと判断した。
…銀行で鉢合わせしないように祈るしかない。
「お嬢様、やっぱり何処か、目的地とかあるんですか?」
メルの問いにこっくりと私は頷く。
「ダニエルの事がなければ、暫くここにいる予定だったんだけど、最終的な目的地はあるわ」
半獣族,テディの問題のうち、テディの問題はもしかしたらと思う場所があった。
その場所の一つはここケザス。
物が溢れるこの地なら薬も容易に手に入るだろうと考えていた。
「あの、それは何処です?ここから遠い場所ですか?」
不安そうな顔でメルは私を見つめた。
「そうね、遠いわ。ただ、真っ直ぐそこへ向かうとは限らないし…」
「一体どこなんですか!あんまり遠いとボク困ります!」
それは金銭的な意味かしら?
それともホームシック的な意味かしら?
「この国から南東。魔法大国イスクリス国よ」
以前、フェンスで手に入れた弓が作られた魔法の国。
中央都市まで行けば医療系の魔法を学べるかも知れないと考えていた。
…というのは半分口実で、やっぱり魔法ってときめくじゃない?
ウイニーでは魔法はまだ広まっていないから、この機会に是非学びたいと思っていた。
メルは目を見開いて驚いたけどイスクリスの魔法には彼も興味があったようで、どことなく目が輝いていた。
しかし、ぶんぶんと慌ててメルは頭を振った。
「イスクリスって、同じベルンとはいえまた国外へ行くのと同じじゃないですかー!一体ここからどれくらいかかるんですか?!」
それを言われてしまうと私も実はわからない。
今回は馬も乗れないし、資金も結構カツカツだ。
何せ今まで集めてたコインはザックに上げちゃったし、出発を決めて数日間でなんとか要らないものを売り払って、ヴェルで稼いで袋の3分の1くらいしか稼げなかった。今回はアダマンもない。
メルはもっと少なさそうだ。
「その辺もココで調べないといけないけど、両替して物資調達するのが先よ」
私たちは表通りのピンク色の建物の前で仁王立ちした。
ここがケザスの中央銀行だ。
=====
銀行の中は落ち着いた雰囲気…というより人でひしめき合っていた。
流石に国内外から人が集まる場所と言える。
「今日中に両替出来るのかしら…」
窓口では順番待ちの人で溢れかえっていた。
さらに言えば、皆、割り込んで我先にと言った雰囲気。
これ、無理じゃないかしら……?
私はメルに助けを求めるように視線を送る。
メルはこっくりと頷いて「任せて下さい!」と言わんばかりに人垣の中を進んで行く。
「すみません!通してください!りょ、両替を、」
如何せん人が多すぎる所為で、メルは右や左に流される。
私ははらはらしながらメルを目で追いかける。
不意に、ドン!と後ろから押され、私も人垣の中に入れられてしまった。
「きゃあ!」
「お、お嬢様!」
私は必死で外に出ようとするが、体が小さい所為なのか人混みの流れに逆らうことが出来ず、あれよあれよと流されてしまう。
必死でもがいて出ようとすると、近くの男性から「おい!こんな所で暴れんな!迷惑だろ!」と怒鳴りつけられる。
私は驚いて「ごめんなさいっ」と謝るものの、どうしていいかわからず動けなくなってしまった。
メルはもう何処に居るのか判らない。
視界が涙でぼやけてくる。
そしてギュウギュウと四方から押され、だんだんと意識が遠くなってきていた。
(息が…出来ない……骨が潰されそう)
「た、すけ……」
脚の力が抜ける。
肩の骨と、肋骨が軋むような感覚が襲う。
「おい!誰か倒れそうだ!押すな!」
と近くで注意する声が聞こえたが、苦しくて顔を上げることができない。
ガクッと意識を手放そうとした瞬間、ガシッと誰かに両腕を掴まれた。
「あーごめんよーごめんよー通してくれっかなぁ?連れが倒れそうなんだ」
頭上から聞き飽きた声が聞こえる。
ふと、周りの圧力が無くなったのを感じた。
皆が左右に少し避けてくれた様だ。
「歩け……ないよな?よし、任せろ!」
と言うや否や、膝下に太い腕の感触がした。
見上げると、やはり1番会いたくなかった人物の顔が目に入った。
「ここは待合室とかないから外に出るぞ?」
私はがっしり抱えられたまま外に出る。
(この人見た目通り骨太いんだなぁ)
ボーッとした意識で考えた。
外に出ると日陰になっているところに私を下ろし、膝をおって心配そうに顔を覗き込むダニエルの顔が目の前にあった。
「大丈夫か?メルはどうした?」
「あ…りがとう、だいじょうぶ。中で、メルとはぐれちゃって…」
ゴホゴホと咳き込むと、ダニエルはぽんぽんと私の頭を叩いて、
「ちょっとここで待ってろ。見つけてくっから。逃げるなよ?」
と、ニヤリと笑いながら再び銀行の中に入って行った。
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