ウイニー王国のワガママ姫
レディとプリンセスの狭間で 3
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ザックを客間へ案内すると、使用人達が驚いた顔で慌て出した。
すぐ様お父様やお兄様に報告されたが、特に咎められることはなかった。
ただ、住み込みで雇われた家庭教師だけは冷ややかな視線を彼に送っていた。
通常の使者と同じように晩餐の席を用意しザックをもてなすと、彼女のその態度は如実に現れてザックが客間へ戻った途端私は彼女に呼び出された。
「レディ・レティアーナ。貴方は私が今まで教えてきた生徒の中で、一番優秀な生徒ですのに、このような基本的な事をお教えしなければならないとは、残念でなりません。」
彼女にあてがわれた、彼女の自室で、彼女によるご高説が始まった。
「基本的な事。とは、一体どのような事でしょうか?ワタクシ、テーブルマナーで間違っていた所が御座いましたか?」
しれっと、さも不思議だという顔で言ってやる。
「いいえ、テーブルマナーは完璧でしたわ。食事中の会話も文句ありません。問題はあのケモノが貴方と同じ晩餐の席で食事をしたという事です」
ビシっと銀縁のメガネを片手で釣り上げる。
私は彼女のケモノと言う単語にピクリと反応したが、ここはまだ我慢しておく事にした。
「ケモノ…ですか?ワタクシ、ペットは飼っておりませんが?」
彼女は更に深く嘆息をして「いいですか?」と話を続ける。
「ケモノと言うのはあの半獣族の事です。あの様に穢らわしい蛮族を屋敷にあげてはなりません!公爵家の品位に関わる問題なのですよ?」
「穢らわしい蛮族……」
「そうです!あのケモノは根本的に我々とは違い、竜の祝福を受けていない野蛮な生き物です。所謂モンスターと変わりありません。関わっていいことなど何もないのですよ?」
お解りですね?と家庭教師は言う。
竜の祝福とは、竜の国から各民族が外に移民し国を作った所に由来する。
元々この地に住むと言われている彼らは、その祝福を受けていないんだと言いたいらしい。
「…彼はリン・プ・リエンに住むワタクシの友人の使者です。丁重にもてなすのがマナーだとワタクシは思いますが?」
静かに、なるべく冷静に彼女に反論する。
今まで全く反抗的な態度を取らなかった私に対し、彼女は大きく目を瞠った。
「んまぁ!そのような!蛮族を雇っている他国の者と、交友を深めようなどとあってはならないことです!その者とは早々に縁をお切りなさいませ。これは単に公爵家の為ですよ!」
プチっと私の中で何かが切れる音がした。
散々今まで我慢してきたのだから、随分耐えてた方だと思う。
私はスーーっと息を吸い込むと、まくしたてるように大声で彼女を罵倒した。
「なんで会ったこともないあんたに私の友達を悪く言われなきゃいけないのよ!私が誰と交友を持とうが私の勝手でしょ?!ケモノケモノって、彼らの土地を奪ったのは私達だわ!蛮族って言うなら、私達の方が蛮族よ!竜の祝福?そんなもの無くったって、彼らはちゃんと話せるし、同じように感情を持ってるわ!他者を認められないなら、それこそ王族の品位に関わるわ!狭量な人間に一体何が教えられるっていうの?!貴方はクビよ!!」
ぱくぱくと、目の前の現実を受け入れられない家庭教師が、口を開けて呆然となった。
私はニッコリ彼女に微笑みドレスの裾を掴むと、粛々と丁寧にお辞儀をした。
「今までお世話になりました。ワタクシもいい経験になりましたわ。それでは御機嫌よう」
何も言えない彼女を尻目に、私は部屋を後にした。
翌朝早々に家庭教師は家を出て行った。
ことの成り行きを知らないお父様は大慌てで彼女を止めようとしたが、激怒した彼女を止める術は何もなかった。
ザックを客間へ案内すると、使用人達が驚いた顔で慌て出した。
すぐ様お父様やお兄様に報告されたが、特に咎められることはなかった。
ただ、住み込みで雇われた家庭教師だけは冷ややかな視線を彼に送っていた。
通常の使者と同じように晩餐の席を用意しザックをもてなすと、彼女のその態度は如実に現れてザックが客間へ戻った途端私は彼女に呼び出された。
「レディ・レティアーナ。貴方は私が今まで教えてきた生徒の中で、一番優秀な生徒ですのに、このような基本的な事をお教えしなければならないとは、残念でなりません。」
彼女にあてがわれた、彼女の自室で、彼女によるご高説が始まった。
「基本的な事。とは、一体どのような事でしょうか?ワタクシ、テーブルマナーで間違っていた所が御座いましたか?」
しれっと、さも不思議だという顔で言ってやる。
「いいえ、テーブルマナーは完璧でしたわ。食事中の会話も文句ありません。問題はあのケモノが貴方と同じ晩餐の席で食事をしたという事です」
ビシっと銀縁のメガネを片手で釣り上げる。
私は彼女のケモノと言う単語にピクリと反応したが、ここはまだ我慢しておく事にした。
「ケモノ…ですか?ワタクシ、ペットは飼っておりませんが?」
彼女は更に深く嘆息をして「いいですか?」と話を続ける。
「ケモノと言うのはあの半獣族の事です。あの様に穢らわしい蛮族を屋敷にあげてはなりません!公爵家の品位に関わる問題なのですよ?」
「穢らわしい蛮族……」
「そうです!あのケモノは根本的に我々とは違い、竜の祝福を受けていない野蛮な生き物です。所謂モンスターと変わりありません。関わっていいことなど何もないのですよ?」
お解りですね?と家庭教師は言う。
竜の祝福とは、竜の国から各民族が外に移民し国を作った所に由来する。
元々この地に住むと言われている彼らは、その祝福を受けていないんだと言いたいらしい。
「…彼はリン・プ・リエンに住むワタクシの友人の使者です。丁重にもてなすのがマナーだとワタクシは思いますが?」
静かに、なるべく冷静に彼女に反論する。
今まで全く反抗的な態度を取らなかった私に対し、彼女は大きく目を瞠った。
「んまぁ!そのような!蛮族を雇っている他国の者と、交友を深めようなどとあってはならないことです!その者とは早々に縁をお切りなさいませ。これは単に公爵家の為ですよ!」
プチっと私の中で何かが切れる音がした。
散々今まで我慢してきたのだから、随分耐えてた方だと思う。
私はスーーっと息を吸い込むと、まくしたてるように大声で彼女を罵倒した。
「なんで会ったこともないあんたに私の友達を悪く言われなきゃいけないのよ!私が誰と交友を持とうが私の勝手でしょ?!ケモノケモノって、彼らの土地を奪ったのは私達だわ!蛮族って言うなら、私達の方が蛮族よ!竜の祝福?そんなもの無くったって、彼らはちゃんと話せるし、同じように感情を持ってるわ!他者を認められないなら、それこそ王族の品位に関わるわ!狭量な人間に一体何が教えられるっていうの?!貴方はクビよ!!」
ぱくぱくと、目の前の現実を受け入れられない家庭教師が、口を開けて呆然となった。
私はニッコリ彼女に微笑みドレスの裾を掴むと、粛々と丁寧にお辞儀をした。
「今までお世話になりました。ワタクシもいい経験になりましたわ。それでは御機嫌よう」
何も言えない彼女を尻目に、私は部屋を後にした。
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