ウイニー王国のワガママ姫
ワガママ姫の逆襲 1
その後は3人を残して、
「邪魔な妹は退散します。1人で帰りますから、どうぞごゆっくり」
とだけ言って、さっさと帰宅しベッドに潜り込んだ。
家に着いたのは午前2時を過ぎていた所為か目が覚めたのは昼近くだった。
身支度を整え、軽いブランチを食べた後、自室に戻り机に向う。
レイ宛てに手紙をしたためる。印璽で封をした後、手元にあるガラス製のベルを鳴らす。
すると直ぐに召使いのメルが飛んでくる。
「お呼びでしょうか?お嬢様」
澄んだ緑色の瞳に、私よりもさらに濃い金色の髪、顔にはそばかすがあるものの、
整った顔をしていて、街に出れば女の子からも声をかけられる美少年。
彼は私専用の小間使いで、私が幼い頃に街で拾った孤児だ。
正確な年齢はわからないけど、私と同じ位か少し下といった所だ。
彼は、おそるおそる上目遣いで此方を見ている。
「これを殿下に直接届けて欲しいの」
そう言って手紙をメルに渡す。
するとメルは、ブンブンと首が取れるんじゃないかって位頭を横に振る。
「む、無理ですよ。自分なんかが城に出入りできるわけないじゃないですか。ましてや皇太子様に直接なんて…」
無理無理ムリです。と手紙をつき返そうとして来るので、
両手でギュッとメルの手を抑える。
「大丈夫よ。私の使いだって言えば通して貰えるから。あ、門兵にはコッチの手紙を見せて。中身を改められるとマズイから。もう一通はバレないように、ちゃんと直に殿下に渡してね」
そう言いながら、もう一通手紙を渡す。
一つは本物、もう一つはダミーよ。
と念を押す。
「でも、ボク礼儀とか作法とか全然…」
「大丈夫だって。殿下より貴方の方が礼儀正しいくらいだから。私が教えてきた事がしっかりできれば大丈夫。門前払い食らったら戻って来ていいから。ね?」
メルは神妙な面持ちでこくりと頷いた。
「ありがと。返事はちゃんともらって来てね?」
「判りました。あの、御用はそれだけで…?」
他の召使いなら手紙を受け取った時点で外に出て行ってしまうだろう。
でも、メルは違う。
手紙を王城に届けるだけなら、王城でも面識のある執事の方が都合がいい。
小間使いのメルに頼むという事は、彼にしか出来ない何かがあると彼自身気づいているのだ。
お兄様と違って、察しがいいから助かるわ。正直、召使いにしておくのが勿体無い。
「うん。城下街で情報収集してきて欲しいの。殿下とかお兄様とかに関する噂が何か流れてないか探って来てくれる?ついでに娼館の方に寄ってきていいから」
これお土産代ね。とコインを何枚か渡す。
メルは元々娼館生まれで、私と会うまでは娼館で暮らしていた。
故に、今だに娼館に知り合いが多いのだ。
情報収集にもうってつけなので、この手のお使いはメル以外に頼めない。
「こんなに沢山…お土産代にしては多すぎます!」
相変わらず謙虚というか欲がないというか…
思わず苦笑が漏れる。
「いいからいいから。余ったお金はメルの報酬よ。またお使い頼むことになるはずだから、その分も含めて」
と、軽くウインクして見せる。
娼館の人にもメルにも、いくら返そうと思っても返しきれない恩が私にはある。
それを思えば全然少ない報酬だった。
「すみません…ありがとうございます」
申し訳なさそうに頭を下げてくるので、
なんだかこっちが申し訳ない気分になってくる。
「さ、遅くならないうちに行って来て!夕飯前までに戻って来てくれればいいから」
では行って参ります。とメルは部屋を出て行った。
後は報告が来るまで、今後の対策をできうる限り思案する。
「邪魔な妹は退散します。1人で帰りますから、どうぞごゆっくり」
とだけ言って、さっさと帰宅しベッドに潜り込んだ。
家に着いたのは午前2時を過ぎていた所為か目が覚めたのは昼近くだった。
身支度を整え、軽いブランチを食べた後、自室に戻り机に向う。
レイ宛てに手紙をしたためる。印璽で封をした後、手元にあるガラス製のベルを鳴らす。
すると直ぐに召使いのメルが飛んでくる。
「お呼びでしょうか?お嬢様」
澄んだ緑色の瞳に、私よりもさらに濃い金色の髪、顔にはそばかすがあるものの、
整った顔をしていて、街に出れば女の子からも声をかけられる美少年。
彼は私専用の小間使いで、私が幼い頃に街で拾った孤児だ。
正確な年齢はわからないけど、私と同じ位か少し下といった所だ。
彼は、おそるおそる上目遣いで此方を見ている。
「これを殿下に直接届けて欲しいの」
そう言って手紙をメルに渡す。
するとメルは、ブンブンと首が取れるんじゃないかって位頭を横に振る。
「む、無理ですよ。自分なんかが城に出入りできるわけないじゃないですか。ましてや皇太子様に直接なんて…」
無理無理ムリです。と手紙をつき返そうとして来るので、
両手でギュッとメルの手を抑える。
「大丈夫よ。私の使いだって言えば通して貰えるから。あ、門兵にはコッチの手紙を見せて。中身を改められるとマズイから。もう一通はバレないように、ちゃんと直に殿下に渡してね」
そう言いながら、もう一通手紙を渡す。
一つは本物、もう一つはダミーよ。
と念を押す。
「でも、ボク礼儀とか作法とか全然…」
「大丈夫だって。殿下より貴方の方が礼儀正しいくらいだから。私が教えてきた事がしっかりできれば大丈夫。門前払い食らったら戻って来ていいから。ね?」
メルは神妙な面持ちでこくりと頷いた。
「ありがと。返事はちゃんともらって来てね?」
「判りました。あの、御用はそれだけで…?」
他の召使いなら手紙を受け取った時点で外に出て行ってしまうだろう。
でも、メルは違う。
手紙を王城に届けるだけなら、王城でも面識のある執事の方が都合がいい。
小間使いのメルに頼むという事は、彼にしか出来ない何かがあると彼自身気づいているのだ。
お兄様と違って、察しがいいから助かるわ。正直、召使いにしておくのが勿体無い。
「うん。城下街で情報収集してきて欲しいの。殿下とかお兄様とかに関する噂が何か流れてないか探って来てくれる?ついでに娼館の方に寄ってきていいから」
これお土産代ね。とコインを何枚か渡す。
メルは元々娼館生まれで、私と会うまでは娼館で暮らしていた。
故に、今だに娼館に知り合いが多いのだ。
情報収集にもうってつけなので、この手のお使いはメル以外に頼めない。
「こんなに沢山…お土産代にしては多すぎます!」
相変わらず謙虚というか欲がないというか…
思わず苦笑が漏れる。
「いいからいいから。余ったお金はメルの報酬よ。またお使い頼むことになるはずだから、その分も含めて」
と、軽くウインクして見せる。
娼館の人にもメルにも、いくら返そうと思っても返しきれない恩が私にはある。
それを思えば全然少ない報酬だった。
「すみません…ありがとうございます」
申し訳なさそうに頭を下げてくるので、
なんだかこっちが申し訳ない気分になってくる。
「さ、遅くならないうちに行って来て!夕飯前までに戻って来てくれればいいから」
では行って参ります。とメルは部屋を出て行った。
後は報告が来るまで、今後の対策をできうる限り思案する。
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