死なない奴等の愚行
第173話 ケルベロス世界の果てで助けを叫ぶ
天使との戦いを終え、数分後。
今度は巨大なカマキリのモンスターが現れた。白い翼はなく、天使ではない。そこで、俺とサーペントが戦う事に。
天使でなければサーペントの力もあるし、なんとかなるだろうと思っていた。だが、そこは世界の果てに生息するモンスター。
「おいおいおいおいっ! 速過ぎんだろ!?」
(ケルベロスさん! 動きを止めないでください! あんな攻撃受けたら、甲冑ごと真っ二つですよ!)
「分かってる! このっ! ああっ、剣使えねえ!」
(相手が硬すぎるんですよ! 剣のせいにしないでください!)
巨大カマキリのモンスター。俊敏な動きで、俺の周りを移動しながら鎌を振るって来る。どの攻撃も一撃でもまともにくらってしまえば、サーペントごと両断されるだろう。なんとか、こちらも攻撃をするが体が硬過ぎる。剣がまったく通用しない。
ついでに、複数の足を高速で動かす姿が非常に気持ち悪かった。まあ、そんな事は最初だけで、モンスターの強さを前に気にする余裕はなくなっている。
「デュラ爺さん! ユイカ! 無理! これ無理! こっちの攻撃が全然効かない!」
「気合いじゃ」
「根性だ」
「少しも役に立たないアドバイス!」
精神論でどうにかなるなら、とっくにどうにかしている。それに俺が欲しいのはアドバイスではなく、助けて欲しいと言っているんだ。だが、この二人には通じなかったらしい。
今度は、自力ではどうしようもならない。そう、はっきり言葉にして助力を求める。
「俺じゃこいつを倒せないから助けてくれ! ヤバい時には助けるって言ってたろ?」
「まだ、いけるじゃろ」
「限界を見せてみろ!」
「助ける気ないな!?」
この二人は本当に俺が、こいつを倒せると思っているのだろうか。海であれば、サーペントの力で他に攻撃手段があるが、今は剣しか…………いや、もう一つあった。
俺はサーペントの甲冑で隠れている、腕に装着された腕輪の魔道具に魔力を流す。そして収納されていたガンを一つ出して、モンスターへと向けた。
「これならどうだ!」
トリガーを引き、ガンから魔力の弾が放たれる。人の体であれば容易に穴を開ける威力だ。これなら……と期待していたが、その期待は儚く散った。
魔力の弾はモンスターの胴体へと当たった。そして、大きく仰け反らせる事ができたものの、すぐに体勢を立て直す。弾が当たったモンスターの胴体は無傷。少しへこんでいるようにも見えるが……ダメージはまるで無いように見える。更に……。
「キシャァァァァァァァァァァァァァァッ!」
滅茶苦茶、怒っているように見えた。怒りを表すかのように、自慢の両腕の二つの鎌を高々と掲げ、奇声を上げる。まいった……ガンも通用しないとなると、もう本当に打つ手がない。
サーペントは、こいつを倒す手段何か思いつかないか?
(…………ありません)
そうか。それじゃあ完全に打つ手無しだな。だったら……。
「助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
デュラ爺さんとユイカに助けを求めた。本当に無理だと。これ以上はどうしようもできないと。そう強く二人に訴えるが、俺の言葉に応じてくれたのは、俺とモンスターの戦いを見ていたもう一人の人物だった。
「お任せください、ケルベロスさん!」
「え?」
声がしたのはモンスター……の背後。
そこには、いつの間にそこに居たのか、シャラが立っていた。幸い彼女はハーフモンスターの体質で、気配を隠すのが上手い。そのおかげか、モンスターは気付いていなかったようだ。
だが、声を出してしまった事で、モンスターは背後を振り返ろうとする。
彼女とモンスターの距離は近い。鎌が届く位置に居て、危険な状況だった。
こちらに注意を引き付けようと俺はガンを向けるが、すぐにその必要はなくなった。
モンスターの巨体が宙を舞ったのだ。
今度は巨大なカマキリのモンスターが現れた。白い翼はなく、天使ではない。そこで、俺とサーペントが戦う事に。
天使でなければサーペントの力もあるし、なんとかなるだろうと思っていた。だが、そこは世界の果てに生息するモンスター。
「おいおいおいおいっ! 速過ぎんだろ!?」
(ケルベロスさん! 動きを止めないでください! あんな攻撃受けたら、甲冑ごと真っ二つですよ!)
「分かってる! このっ! ああっ、剣使えねえ!」
(相手が硬すぎるんですよ! 剣のせいにしないでください!)
巨大カマキリのモンスター。俊敏な動きで、俺の周りを移動しながら鎌を振るって来る。どの攻撃も一撃でもまともにくらってしまえば、サーペントごと両断されるだろう。なんとか、こちらも攻撃をするが体が硬過ぎる。剣がまったく通用しない。
ついでに、複数の足を高速で動かす姿が非常に気持ち悪かった。まあ、そんな事は最初だけで、モンスターの強さを前に気にする余裕はなくなっている。
「デュラ爺さん! ユイカ! 無理! これ無理! こっちの攻撃が全然効かない!」
「気合いじゃ」
「根性だ」
「少しも役に立たないアドバイス!」
精神論でどうにかなるなら、とっくにどうにかしている。それに俺が欲しいのはアドバイスではなく、助けて欲しいと言っているんだ。だが、この二人には通じなかったらしい。
今度は、自力ではどうしようもならない。そう、はっきり言葉にして助力を求める。
「俺じゃこいつを倒せないから助けてくれ! ヤバい時には助けるって言ってたろ?」
「まだ、いけるじゃろ」
「限界を見せてみろ!」
「助ける気ないな!?」
この二人は本当に俺が、こいつを倒せると思っているのだろうか。海であれば、サーペントの力で他に攻撃手段があるが、今は剣しか…………いや、もう一つあった。
俺はサーペントの甲冑で隠れている、腕に装着された腕輪の魔道具に魔力を流す。そして収納されていたガンを一つ出して、モンスターへと向けた。
「これならどうだ!」
トリガーを引き、ガンから魔力の弾が放たれる。人の体であれば容易に穴を開ける威力だ。これなら……と期待していたが、その期待は儚く散った。
魔力の弾はモンスターの胴体へと当たった。そして、大きく仰け反らせる事ができたものの、すぐに体勢を立て直す。弾が当たったモンスターの胴体は無傷。少しへこんでいるようにも見えるが……ダメージはまるで無いように見える。更に……。
「キシャァァァァァァァァァァァァァァッ!」
滅茶苦茶、怒っているように見えた。怒りを表すかのように、自慢の両腕の二つの鎌を高々と掲げ、奇声を上げる。まいった……ガンも通用しないとなると、もう本当に打つ手がない。
サーペントは、こいつを倒す手段何か思いつかないか?
(…………ありません)
そうか。それじゃあ完全に打つ手無しだな。だったら……。
「助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
デュラ爺さんとユイカに助けを求めた。本当に無理だと。これ以上はどうしようもできないと。そう強く二人に訴えるが、俺の言葉に応じてくれたのは、俺とモンスターの戦いを見ていたもう一人の人物だった。
「お任せください、ケルベロスさん!」
「え?」
声がしたのはモンスター……の背後。
そこには、いつの間にそこに居たのか、シャラが立っていた。幸い彼女はハーフモンスターの体質で、気配を隠すのが上手い。そのおかげか、モンスターは気付いていなかったようだ。
だが、声を出してしまった事で、モンスターは背後を振り返ろうとする。
彼女とモンスターの距離は近い。鎌が届く位置に居て、危険な状況だった。
こちらに注意を引き付けようと俺はガンを向けるが、すぐにその必要はなくなった。
モンスターの巨体が宙を舞ったのだ。
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