死なない奴等の愚行
第168話 選抜メンバーを発表
昼頃、オッサンの号令で再び団員が集まる。
そして、国に入る時とは異なる門の前へとやって来た。この先が世界の果てという事だが、いったいどのようになっているのだろうか。扉を開けてすぐのところで、強大なモンスターが跋扈しているとは思えないが……。
「それじゃあ、頼むぞ」
「ああ、任せろ」
オッサンとユマエが何やら話をしている。一国の主に対して軽口を叩いていた。
門の前に到着した時、ユマエと彼女の数十人の兵が待ち構えていた。兵は誰もが緊張した面持ちで、扉の方を気にしているようだった。その様子から扉の先がどれだけ危険なのかを感じる事ができる。
「それじゃあ開けるからの。ちなみに誰が行くんじゃ?」
「ん? この場に居るの全員だけど?」
「いやいや、忘れたのか。向こうに行けるのは一度に十人までと言っておいたじゃろ」
「え? そうだっけか? そんな事、初めて聞いたぞ」
「何を言っとる。初めて来た時や、最後に来た時も…………あれ? 言っておらんかった?」
「どうだっけ?」
オッサンとユマエさんが二人揃ってサラに尋ねた。彼女なら何でも分かっているという信頼感の強さの表れ……と言えば聞こえは良いが、頼り切りになってしまっているのが実情だ。それとユマエさんもどうしてサラに訊くのだろうか。
「確かに……これまでそのような説明を私は聞いた事がない。だけど、こっちも他の仕事があってこれまで十人以上世界の果てに行かせた事がなかった」
「そうか……それで話していなかったのじゃな」
「マジか……確かに実際に世界の果てに行ってたのって少人数だった気が……」
そんな遣り取りを聞いていた団員達も「そういえば……」と思い出して声を上げる。
「確かこれまで、ここから世界の果てに行った事はなかったな……」
「俺も。別の場所からだったか……」
「こっから世界の果てに行けるって、話だけしか聞いてなかったわね」
どうやら実際にここから世界の果てに向かった団員は少ないらしい。
手の空いている団員全員で行ければ心強かったが、多くても十人しか行けないとなると一気に仕事の難度が上がるだろう。ここはオッサンを始めとする、イモータルの中でも実力者で世界の果てへと向かうべきだろう
俺は勿論、サーペントやシャラといった新人は世界の果て行きは、今回は見送って……。
「それじゃあ、俺、ユイカ、カーシャ、マヤ、タロス、デュラ、博士、ケルベロス、サーペント、シャラで行くか」
「待て!」
その人選はおかしいと俺は異議を申し立てた。そんな俺を怪訝そうな面持ちで見る。
「ん? どうしたケルベロス?」
「どうしたじゃない! どうして新人の俺達が行かないと行けないんですか! 人数を絞らないといけないんだから、強い人に行かせた方がいいのに!」
「いや、お前らは世界の果てに行った事すらないだろうから、連れて行ってやろうと思ってな……」
「そういった気遣いはもうちょっと別のところで見せて欲しいよ! ほら、二人も何か言ってやれ! サーペントは俺が代弁してやるっ!」
俺だけがオッサンに抗議したところで意味はないと判断して、サーペントとシャラに文句の一つでも言ってやれと促した。
二人とも世界の果てに行く十人に選ばれた事に大なり小なり言いたい事があるはずだ。あるはず……あるはずと思っていたのだが……。
「私は……ケルベロスさんと一緒であれば、どんな場所でも行きます」
(別に世界の果てに行きたくないという訳ではないんですが……。まあ、どこまでお役に立てるか分からないですけど)
「…………」
明確に、行く事に反対なのは俺だけだった。
こうなってしまえば、俺一人断固として行かないと拒否する訳にも行かない。
こうして俺を含めた十人で世界の果てへと向かう事になったのだった。
そして、国に入る時とは異なる門の前へとやって来た。この先が世界の果てという事だが、いったいどのようになっているのだろうか。扉を開けてすぐのところで、強大なモンスターが跋扈しているとは思えないが……。
「それじゃあ、頼むぞ」
「ああ、任せろ」
オッサンとユマエが何やら話をしている。一国の主に対して軽口を叩いていた。
門の前に到着した時、ユマエと彼女の数十人の兵が待ち構えていた。兵は誰もが緊張した面持ちで、扉の方を気にしているようだった。その様子から扉の先がどれだけ危険なのかを感じる事ができる。
「それじゃあ開けるからの。ちなみに誰が行くんじゃ?」
「ん? この場に居るの全員だけど?」
「いやいや、忘れたのか。向こうに行けるのは一度に十人までと言っておいたじゃろ」
「え? そうだっけか? そんな事、初めて聞いたぞ」
「何を言っとる。初めて来た時や、最後に来た時も…………あれ? 言っておらんかった?」
「どうだっけ?」
オッサンとユマエさんが二人揃ってサラに尋ねた。彼女なら何でも分かっているという信頼感の強さの表れ……と言えば聞こえは良いが、頼り切りになってしまっているのが実情だ。それとユマエさんもどうしてサラに訊くのだろうか。
「確かに……これまでそのような説明を私は聞いた事がない。だけど、こっちも他の仕事があってこれまで十人以上世界の果てに行かせた事がなかった」
「そうか……それで話していなかったのじゃな」
「マジか……確かに実際に世界の果てに行ってたのって少人数だった気が……」
そんな遣り取りを聞いていた団員達も「そういえば……」と思い出して声を上げる。
「確かこれまで、ここから世界の果てに行った事はなかったな……」
「俺も。別の場所からだったか……」
「こっから世界の果てに行けるって、話だけしか聞いてなかったわね」
どうやら実際にここから世界の果てに向かった団員は少ないらしい。
手の空いている団員全員で行ければ心強かったが、多くても十人しか行けないとなると一気に仕事の難度が上がるだろう。ここはオッサンを始めとする、イモータルの中でも実力者で世界の果てへと向かうべきだろう
俺は勿論、サーペントやシャラといった新人は世界の果て行きは、今回は見送って……。
「それじゃあ、俺、ユイカ、カーシャ、マヤ、タロス、デュラ、博士、ケルベロス、サーペント、シャラで行くか」
「待て!」
その人選はおかしいと俺は異議を申し立てた。そんな俺を怪訝そうな面持ちで見る。
「ん? どうしたケルベロス?」
「どうしたじゃない! どうして新人の俺達が行かないと行けないんですか! 人数を絞らないといけないんだから、強い人に行かせた方がいいのに!」
「いや、お前らは世界の果てに行った事すらないだろうから、連れて行ってやろうと思ってな……」
「そういった気遣いはもうちょっと別のところで見せて欲しいよ! ほら、二人も何か言ってやれ! サーペントは俺が代弁してやるっ!」
俺だけがオッサンに抗議したところで意味はないと判断して、サーペントとシャラに文句の一つでも言ってやれと促した。
二人とも世界の果てに行く十人に選ばれた事に大なり小なり言いたい事があるはずだ。あるはず……あるはずと思っていたのだが……。
「私は……ケルベロスさんと一緒であれば、どんな場所でも行きます」
(別に世界の果てに行きたくないという訳ではないんですが……。まあ、どこまでお役に立てるか分からないですけど)
「…………」
明確に、行く事に反対なのは俺だけだった。
こうなってしまえば、俺一人断固として行かないと拒否する訳にも行かない。
こうして俺を含めた十人で世界の果てへと向かう事になったのだった。
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