死なない奴等の愚行
第164話 セーレの王様
納骨堂から宿に戻ると、仕事が完了したとだけサラに報告した。
ペットの魔道具を渡した時がばれるんじゃないかとひやひやしたが、特に気付かれる事はなかった。とりあえず仕事は終わった。後はこの先ペットの事がばれないよう祈るだけだ。
「さてと……」
既にマヤとカーシャとは別れていて、日が落ち始めていた。
薄暗くなり、ぼちぼち明かりが灯っていくのを見て、俺は一人で外を出歩く事にした。
到着早々、国を見て回る事なく意識を失い宿の中。その後は仕事で納骨堂へと行っただけ。全くこの国を見ていなかったので、折角自由時間を得られたのだから、国を見て回る事にする。
この国の人は聞いていたように、確かにハーフモンスターのようだ。肌の色が青かったり、赤かったり。また角が生えていたり。獣のような耳が生えている人も居るが、おそらく獣人という訳ではないのだろう。
親のどちらかが獣人であれば、獣人の可能性がある。だが、どちらも獣人でなく獣の耳を生やして生まれたのならハーフモンスターとされるのだ。
世知辛い世の中だが、この国はそんな世の中でハーフモンスターにとって、唯一の安息地だろう。
そんな事を思いながら歩いていると、見覚えのある人を見かけた。
「あ、ケルベロスさん!」
「おお、ガルダ」
俺の元奴隷。今日解放したばかりのガルダ。サラに連れて行かれて何処に居るのかと思ったが、思わぬところで出会った。
「他のみんなは?」
「みんなは用意していただいた家で休んでます。俺はちょっと買い出しを……あ、そうだ。ケルベロスさん、もしお時間があるならうちに来ませんか?」
「いや、折角俺の奴隷から解放されたっていのに……そんな顔なんて合わせたくないんじゃないか?」
「何を言ってるんですか! ケルベロスさんは俺達の恩人なんですから、そんな恩知らずな事を思う訳ないじゃないですか!」
ガルダはそう言って、是非うちに来てくださいと言うので、俺はお言葉に甘えて彼の家へとお邪魔する事にした。
「ここで生活していけそうか?」
「はい、なんとか。サラさんがセーレの王様に直接頼んでくれたんです。用意してくれた家の近くは俺達と同じような境遇の人達が住んでいて、気が楽です。それと仕事なんかも紹介して貰えそうで助かります」
直接王様に頼んだのか……いや、でもおかしな事ではないか。なにせ王様のペットを探す依頼を受けるくらいなのだから。王様にばれないよな…………ペットの事。い、いや、大丈夫に決まってる!
思わぬところで王様が出て来たので、思わず先程の仕事の事を思い出してしまった。もう終わった事なのだから忘れよう。
とにかくガルダたちが、この国でやっていけるようで良かった。そんなふうにガルダの話を聞いて思いつつ、彼の案内で家へと向かう。
「ここです! どうぞ入ってください! みんな、ケルベロスさんが遊びに来てくれたぞ!」
そう言って、とある家の扉を開けて中へ呼び掛ける。俺はガルダの後に続いて家の中に入らせて貰おうかと思ったが、そうする事はできなかった。突然ガルダが片膝をついて顔を伏せたのだ。
誰かに敬意を示すような仕草だが、それは俺に対してではない。
いったいどうしたのかと家の中を覗き込むと、元奴隷だったみんな以外に、見覚えのない一人の女性が居た。
いったい彼女は誰、あ……。
女性の肩に居るある存在に気付く。その存在とは先程俺がサラに渡したペットの魔道具だった。あれは王のペット……それが彼女の肩に乗っているという事はもしかすると……。
「はじめまして、イモータルの団員の一人、ケルベロスよ。私はセーレの王、ユマエ」
案の定、王様だった。
ペットの魔道具を渡した時がばれるんじゃないかとひやひやしたが、特に気付かれる事はなかった。とりあえず仕事は終わった。後はこの先ペットの事がばれないよう祈るだけだ。
「さてと……」
既にマヤとカーシャとは別れていて、日が落ち始めていた。
薄暗くなり、ぼちぼち明かりが灯っていくのを見て、俺は一人で外を出歩く事にした。
到着早々、国を見て回る事なく意識を失い宿の中。その後は仕事で納骨堂へと行っただけ。全くこの国を見ていなかったので、折角自由時間を得られたのだから、国を見て回る事にする。
この国の人は聞いていたように、確かにハーフモンスターのようだ。肌の色が青かったり、赤かったり。また角が生えていたり。獣のような耳が生えている人も居るが、おそらく獣人という訳ではないのだろう。
親のどちらかが獣人であれば、獣人の可能性がある。だが、どちらも獣人でなく獣の耳を生やして生まれたのならハーフモンスターとされるのだ。
世知辛い世の中だが、この国はそんな世の中でハーフモンスターにとって、唯一の安息地だろう。
そんな事を思いながら歩いていると、見覚えのある人を見かけた。
「あ、ケルベロスさん!」
「おお、ガルダ」
俺の元奴隷。今日解放したばかりのガルダ。サラに連れて行かれて何処に居るのかと思ったが、思わぬところで出会った。
「他のみんなは?」
「みんなは用意していただいた家で休んでます。俺はちょっと買い出しを……あ、そうだ。ケルベロスさん、もしお時間があるならうちに来ませんか?」
「いや、折角俺の奴隷から解放されたっていのに……そんな顔なんて合わせたくないんじゃないか?」
「何を言ってるんですか! ケルベロスさんは俺達の恩人なんですから、そんな恩知らずな事を思う訳ないじゃないですか!」
ガルダはそう言って、是非うちに来てくださいと言うので、俺はお言葉に甘えて彼の家へとお邪魔する事にした。
「ここで生活していけそうか?」
「はい、なんとか。サラさんがセーレの王様に直接頼んでくれたんです。用意してくれた家の近くは俺達と同じような境遇の人達が住んでいて、気が楽です。それと仕事なんかも紹介して貰えそうで助かります」
直接王様に頼んだのか……いや、でもおかしな事ではないか。なにせ王様のペットを探す依頼を受けるくらいなのだから。王様にばれないよな…………ペットの事。い、いや、大丈夫に決まってる!
思わぬところで王様が出て来たので、思わず先程の仕事の事を思い出してしまった。もう終わった事なのだから忘れよう。
とにかくガルダたちが、この国でやっていけるようで良かった。そんなふうにガルダの話を聞いて思いつつ、彼の案内で家へと向かう。
「ここです! どうぞ入ってください! みんな、ケルベロスさんが遊びに来てくれたぞ!」
そう言って、とある家の扉を開けて中へ呼び掛ける。俺はガルダの後に続いて家の中に入らせて貰おうかと思ったが、そうする事はできなかった。突然ガルダが片膝をついて顔を伏せたのだ。
誰かに敬意を示すような仕草だが、それは俺に対してではない。
いったいどうしたのかと家の中を覗き込むと、元奴隷だったみんな以外に、見覚えのない一人の女性が居た。
いったい彼女は誰、あ……。
女性の肩に居るある存在に気付く。その存在とは先程俺がサラに渡したペットの魔道具だった。あれは王のペット……それが彼女の肩に乗っているという事はもしかすると……。
「はじめまして、イモータルの団員の一人、ケルベロスよ。私はセーレの王、ユマエ」
案の定、王様だった。
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