死なない奴等の愚行
第163話 仕事は無事に(?)終わりました
「…………」
「…………」
「…………」
三人無言だった。ペットを捕まえて、仕事を終えたというのに表情は浮かない。
理由は明白だ。俺の手の中にあるペットが全く動かない。よく見れば、大きな皹が生えてしまっている。そう、完全に壊れてしまっているようだ。
俺と衝突したうえ、カーシャにも突っ込まれ、壊れてしまったようだ。
「……ケルベロスさん、よろしくねー」
「待て……俺に責任を擦り付けるな」
「ケルベロス……私は、タロスのところに行くから……」
「カーシャも逃げるな。報告するまでが仕事だろ?」
二人はサラの説教が嫌なのか俺に任せて逃げようとしている。決して逃がしてなるものか。まあ、俺だって説教は嫌だ。なんとかできないものかと二人に相談をする。
「マヤ、魔法で直せないか?」
「うーん……単純な構造なら直せるけどー、これは難しいねー。魔道具だから博士ならなんとかなるかもー……たぶんー」
「博士か……」
正直あまり頼りたくないが……背に腹は代えられないか。
「博士に直せるか訊いてみるか。あ、でも、博士も仕事中か」
「……私が、頼みに行く」
「……逃げるなよ?」
「逃げない……それも持って行く……」
そう言ってカーシャは壊れた魔道具のペットを受け取り飛んで行った。
直ってくれるといいけどな……。
カーシャを見送り、俺とマヤはその場で暫く待機する事にする。
このまま宿に戻ってサラと鉢合わせしたら仕事の報告をしなくてはならない。それにマヤは、リッチによる呪いの力がまだ残っているようなので、それを浄化すると言うので丁度良い。
「……暇だな」
一方、俺は特にやる事がなかったので木陰で横になる。
まだ呪いは残っているとマヤは言っていたが、彼女の結界のおかげか素直に木漏れ日を心地良く感じる事ができて、心が洗われるようだった。やがて睡魔が襲って来るのも必然で、目を閉じ、俺は寝てしまった。
だが、すぐに睡眠は打ち切られた。体感で10分も寝ていないだろう。
カーシャが皹の生えていない、ちゃんと動いているペットを手に戻って来たのだ。
「早かったな……直してくれたみたいだな」
「うん……前に、同じような魔道具に触れた事があるって……あっという間だった……」
「そうか。でも、これでサラに仕事の報告ができたな」
しかし、博士には借りができてしまった……いや、よく考えてみれば、迷惑を被ってばかりいるので、むしろ借りを返して貰った思う事にしよう。
「……あれー?」
「どうした?」
カーシャの手で首を傾げたりする仕草をするペットを見て、マヤが不思議そうに声を上げた。
「うーんとねー、なんか……さっきと違うー?」
「違う? 皹は消えてるし、動いてるじゃないか。すっかり元通り…………カーシャ、何か博士は言ってなかったか?」
マヤの疑問に俺は何をおかしな事をと笑い飛ばそうとした。だが、直したのが博士だったので、その言葉は決して笑い飛ばせるものではないと思い、カーシャに確認をする。
「……そういえば……調整したって言っていた」
「…………自爆機能とかついてないよな?」
「そういった類の機能は付いてないと思うー。魔力の循環が良くなってたりー、元々備わっている機能が向上してるだけじゃないかなー」
「そうか……」
マヤの言葉に安堵するが、本当に余計な機能を付けていないか心配になる。以前、バスという魔道具にも、説明書になかった機能が備わっていた前例があるので、不安を拭えない。
だけど、言わなければばれない……。
それは俺だけでなく、マヤやカーシャも同じ気持ち。俺達は博士が直してくれたペットを手に、サラに仕事の報告をしに行くのだった。
報告する際には、勿論ペットが壊れたり、博士に直して貰った事は伏せた……。
「…………」
「…………」
三人無言だった。ペットを捕まえて、仕事を終えたというのに表情は浮かない。
理由は明白だ。俺の手の中にあるペットが全く動かない。よく見れば、大きな皹が生えてしまっている。そう、完全に壊れてしまっているようだ。
俺と衝突したうえ、カーシャにも突っ込まれ、壊れてしまったようだ。
「……ケルベロスさん、よろしくねー」
「待て……俺に責任を擦り付けるな」
「ケルベロス……私は、タロスのところに行くから……」
「カーシャも逃げるな。報告するまでが仕事だろ?」
二人はサラの説教が嫌なのか俺に任せて逃げようとしている。決して逃がしてなるものか。まあ、俺だって説教は嫌だ。なんとかできないものかと二人に相談をする。
「マヤ、魔法で直せないか?」
「うーん……単純な構造なら直せるけどー、これは難しいねー。魔道具だから博士ならなんとかなるかもー……たぶんー」
「博士か……」
正直あまり頼りたくないが……背に腹は代えられないか。
「博士に直せるか訊いてみるか。あ、でも、博士も仕事中か」
「……私が、頼みに行く」
「……逃げるなよ?」
「逃げない……それも持って行く……」
そう言ってカーシャは壊れた魔道具のペットを受け取り飛んで行った。
直ってくれるといいけどな……。
カーシャを見送り、俺とマヤはその場で暫く待機する事にする。
このまま宿に戻ってサラと鉢合わせしたら仕事の報告をしなくてはならない。それにマヤは、リッチによる呪いの力がまだ残っているようなので、それを浄化すると言うので丁度良い。
「……暇だな」
一方、俺は特にやる事がなかったので木陰で横になる。
まだ呪いは残っているとマヤは言っていたが、彼女の結界のおかげか素直に木漏れ日を心地良く感じる事ができて、心が洗われるようだった。やがて睡魔が襲って来るのも必然で、目を閉じ、俺は寝てしまった。
だが、すぐに睡眠は打ち切られた。体感で10分も寝ていないだろう。
カーシャが皹の生えていない、ちゃんと動いているペットを手に戻って来たのだ。
「早かったな……直してくれたみたいだな」
「うん……前に、同じような魔道具に触れた事があるって……あっという間だった……」
「そうか。でも、これでサラに仕事の報告ができたな」
しかし、博士には借りができてしまった……いや、よく考えてみれば、迷惑を被ってばかりいるので、むしろ借りを返して貰った思う事にしよう。
「……あれー?」
「どうした?」
カーシャの手で首を傾げたりする仕草をするペットを見て、マヤが不思議そうに声を上げた。
「うーんとねー、なんか……さっきと違うー?」
「違う? 皹は消えてるし、動いてるじゃないか。すっかり元通り…………カーシャ、何か博士は言ってなかったか?」
マヤの疑問に俺は何をおかしな事をと笑い飛ばそうとした。だが、直したのが博士だったので、その言葉は決して笑い飛ばせるものではないと思い、カーシャに確認をする。
「……そういえば……調整したって言っていた」
「…………自爆機能とかついてないよな?」
「そういった類の機能は付いてないと思うー。魔力の循環が良くなってたりー、元々備わっている機能が向上してるだけじゃないかなー」
「そうか……」
マヤの言葉に安堵するが、本当に余計な機能を付けていないか心配になる。以前、バスという魔道具にも、説明書になかった機能が備わっていた前例があるので、不安を拭えない。
だけど、言わなければばれない……。
それは俺だけでなく、マヤやカーシャも同じ気持ち。俺達は博士が直してくれたペットを手に、サラに仕事の報告をしに行くのだった。
報告する際には、勿論ペットが壊れたり、博士に直して貰った事は伏せた……。
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