死なない奴等の愚行
第158話 新たな仕事は安心安全です
「それで……いったい何しに来たんですか?」
サラを言い負かす事はできないと判断したシャラは、さっさと用件を済ませて帰って貰う事に考えを切り替えたようだ。
「ああ。ガルダ達の書類ができたらから持って来たんだ」
シャラを除いた奴隷から解放する為の書類だろう。俺はサラから書類とペンを受け取り、自分の名前を書いていく。
「ガルダ達は?」
「とりあえず国が用意してくれた家で暮らす事になった。今後どうするかは、奴等次第だな。後で顔を見せたらいい。ガルダが遊びに来てくださいって言ってたぞ」
「そうか」
自分の名前を書き終えるとサラにペンとともに返す。すると、渡した直後シャラがサラをさっさと追い払おうとする。
「これで用は済みましたね! さあ、出て行ってください!」
いや、正直出て行かないで欲しい。いつかの夜みたいに、彼女と二人きりになると押し倒されてしまいそうだ。そんな祈りが通じたのか、サラはシャラに対して首を横に振る。
「いや、用はこれだけじゃないんだ。これから仕事の話をみんなにするから来てくれ。もう動けるだろ?」
「いえ! まだケルベロスさんは本調子では」
「もう元気だ! 問題ない!」
ベッドから飛び降りて問題ない事をアピールする。体には問題ないものの、気分的にはもう少し休みたいところ。だが、この場から脱するには今しかない。
「分かった。それじゃあ来てくれ、勿論サラもだ。初仕事だな」
「……はい」
不満そうに返事をするサラ。「二人きりになって…………するチャンスだったのに」という小さな呟きが聞こえたが、聞き取れなかった部分は何を言っていたのか非常に気になる。だが、わざわざ尋ねるのは怖いのでやめておこう。
「ところで、その仕事ってセーレでの仕事なのか?」
「ああ、久し振りのセーレだからな。色々仕事を取って来たんだ」
「? 幾つもあるのか?」
「既に仕事の分担は考えてある。それも後で教えるからな。それじゃあ行こう」
こうして、サラを先頭にこの宿の食堂と思われる広い部屋に辿り着く。既に団員はタロスを除いて全員集まっているようだった。
俺とシャラは適当な椅子に座る。座った途端、周囲の団員からシャラの事を言っているのだと思うが、「愛されてんな」「大事にしろよ」「鬼畜野郎」と囃され、最後のおいっ。
どうやらガルダ達を引き取った際の誤解が、まだ一部で解けていないようだ。
また、シャラも「あの飲みっぷりは凄かったな……」と称賛の言葉が投げかけられていた。
サラがみんなの前に立ち、一つ咳払いをすると彼女へと視線が集まる。全員の視線が集まったところでサラは話し出す。
「さて、それじゃあ今回の仕事だが……こんな感じだ」
そう言って俺の名前を決めた時のように、仕事の内容が一つずつ宙に浮かんでいく。その数は十以上。いったい何処からこれほどの仕事を持って来たのだろうか。
「セーレには滅多に来ないから、できるだけ仕事を引き受けるつもりだ。大変だろうが、頑張ってくれ!」
なるほど。閉鎖的な国だから自分達ではどうしようもない事が解消できず、滞ってしまっているのかもしれない。それならこの仕事の数は頷ける。
そして一つ一つ仕事が割り振られていく。驚いたのがサーペントとは別にされてしまった事だ。もし、何か戦闘する事になれば魔道具で頑張るしかない……正直不安だ。
「安心しろケルベロス。お前には安全な仕事をして貰う予定だ」
そんな俺の不安を感じ取ったのか、そのように言ってから俺の仕事を伝える。
「お前には……行方不明のペットを探して貰う!」
…………あ、うん。確かに宙に浮いている仕事の中に行方不明のペット探しがある。俺の聞き間違いかと思った。
いや、確かに安全だけど…………傭兵としてどうよ?
サラを言い負かす事はできないと判断したシャラは、さっさと用件を済ませて帰って貰う事に考えを切り替えたようだ。
「ああ。ガルダ達の書類ができたらから持って来たんだ」
シャラを除いた奴隷から解放する為の書類だろう。俺はサラから書類とペンを受け取り、自分の名前を書いていく。
「ガルダ達は?」
「とりあえず国が用意してくれた家で暮らす事になった。今後どうするかは、奴等次第だな。後で顔を見せたらいい。ガルダが遊びに来てくださいって言ってたぞ」
「そうか」
自分の名前を書き終えるとサラにペンとともに返す。すると、渡した直後シャラがサラをさっさと追い払おうとする。
「これで用は済みましたね! さあ、出て行ってください!」
いや、正直出て行かないで欲しい。いつかの夜みたいに、彼女と二人きりになると押し倒されてしまいそうだ。そんな祈りが通じたのか、サラはシャラに対して首を横に振る。
「いや、用はこれだけじゃないんだ。これから仕事の話をみんなにするから来てくれ。もう動けるだろ?」
「いえ! まだケルベロスさんは本調子では」
「もう元気だ! 問題ない!」
ベッドから飛び降りて問題ない事をアピールする。体には問題ないものの、気分的にはもう少し休みたいところ。だが、この場から脱するには今しかない。
「分かった。それじゃあ来てくれ、勿論サラもだ。初仕事だな」
「……はい」
不満そうに返事をするサラ。「二人きりになって…………するチャンスだったのに」という小さな呟きが聞こえたが、聞き取れなかった部分は何を言っていたのか非常に気になる。だが、わざわざ尋ねるのは怖いのでやめておこう。
「ところで、その仕事ってセーレでの仕事なのか?」
「ああ、久し振りのセーレだからな。色々仕事を取って来たんだ」
「? 幾つもあるのか?」
「既に仕事の分担は考えてある。それも後で教えるからな。それじゃあ行こう」
こうして、サラを先頭にこの宿の食堂と思われる広い部屋に辿り着く。既に団員はタロスを除いて全員集まっているようだった。
俺とシャラは適当な椅子に座る。座った途端、周囲の団員からシャラの事を言っているのだと思うが、「愛されてんな」「大事にしろよ」「鬼畜野郎」と囃され、最後のおいっ。
どうやらガルダ達を引き取った際の誤解が、まだ一部で解けていないようだ。
また、シャラも「あの飲みっぷりは凄かったな……」と称賛の言葉が投げかけられていた。
サラがみんなの前に立ち、一つ咳払いをすると彼女へと視線が集まる。全員の視線が集まったところでサラは話し出す。
「さて、それじゃあ今回の仕事だが……こんな感じだ」
そう言って俺の名前を決めた時のように、仕事の内容が一つずつ宙に浮かんでいく。その数は十以上。いったい何処からこれほどの仕事を持って来たのだろうか。
「セーレには滅多に来ないから、できるだけ仕事を引き受けるつもりだ。大変だろうが、頑張ってくれ!」
なるほど。閉鎖的な国だから自分達ではどうしようもない事が解消できず、滞ってしまっているのかもしれない。それならこの仕事の数は頷ける。
そして一つ一つ仕事が割り振られていく。驚いたのがサーペントとは別にされてしまった事だ。もし、何か戦闘する事になれば魔道具で頑張るしかない……正直不安だ。
「安心しろケルベロス。お前には安全な仕事をして貰う予定だ」
そんな俺の不安を感じ取ったのか、そのように言ってから俺の仕事を伝える。
「お前には……行方不明のペットを探して貰う!」
…………あ、うん。確かに宙に浮いている仕事の中に行方不明のペット探しがある。俺の聞き間違いかと思った。
いや、確かに安全だけど…………傭兵としてどうよ?
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