死なない奴等の愚行
第137話 駄々っ子に腕を引き千切られそうになった
盗賊達をフェル達が片付けた後、すぐにバスを発進させてだいぶ離れたところで休憩を取る事にする。魔力はまだ余裕はあるが操作に神経を使う。
ガルダ達が昼食の準備をしているのを、ちょうど良い大きさの岩があったので腰を掛けてなんとなく眺める。手際よく準備を進めていく。
「…………」
特に何かする訳でもなく気を抜いているなか、気がかりな事が一つあった。
書置きのなかに説明がなかった数々のボタンやレバー。あれを操作したらどうなってしまうのか…………怖いが、一度どういう機能が備わっているのか試してみたい。
「……よし。フェル、サーペントちょっと来てくれ」
「うん!」
(どうしたんですか? ケルベロスさん?)
二人が近くに来てくれたところで、これからやろうとしている事を説明する。
「実はバスにまだ使っていないボタンやレバーがあるから試してみたいんだ。ただ、どんな機能か想像もつかないから少し離れて試そうと思う。サーペントはこの場に残ってガルダ達を見ていてくれ。フェルは一緒に来てくれるか?」
「うん! いいよ!」
(分かりました……ですが、大丈夫でしょうか?)
「確かにどんな機能か分からない。だから、ガルダ達から少し離れて……」
(いえ…………もしかすると自爆機能とか……)
「…………」
サーペントのその懸念は正しいかもしれない。
博士の事だ……もしかすると自爆機能を備え付けているかもしれない。となると試さない方がいいだろうか。足がなくなってしまうのは困る。
「……やっぱり、やめとくか」
「えー! 試してみようよ! 面白そうじゃん!」
俺とサーペントの遣り取りを把握していなかったフェルが、俺が取り止めようとすると腕を掴んで揺さぶって来る。
「いや、サーペントと話してみたんだけどな……もしかすると自爆機能があるかもしれないって……」
「自爆? 面白いじゃん! やってみようよ!」
「…………」
(…………)
俺とサーペントは目を輝かせるフェルを見て、久し振りに一般人の思考と不老不死はかけ離れている。さて、どう説得をすればいいか……。
フェルをいかに説得しようか悩んでいる間も、彼女は俺の腕を掴んで揺さぶり続ける。
……徐々にフェルの手に力がこもって掴まれている腕が痛い。肩のあたりに痛みが走る。そろそろ肩が外れそうだ……下手すると千切れるかもしれないので、やめてくれとお願いしよう。
「フェル、ちょっと一回腕を掴むのをやめてくれないか?」
「じゃあ、バスの機能試してみる?」
「いや……それは……」
「嫌だ! 試す!」
「痛いっ、本当に痛いからっ! フェ、フェルさん、力を緩めて! ねえ! 掴んでいる部分から汗のように血が滲んで来てる! ああああ……か、肩がっ! 肩がブチブチ音がしてる! げ、限界来てるから!」
「やーるーのー!」
とんだ駄々っ子だ!
ちびっ子を育てている世界中のお父さん、お母さん! 子供に腕を引き千切られそうになったら、どうしたらいいの!? 教えてください!
とにかくこのままでは本当に腕が千切れそうなので、俺はもはや彼女の要求に従うしかなかった。
こうして、当初の予定通りバスの未知なる機能を使ってみる事に。いや、まだ自爆機能があるとは決まった訳ではない。
きっと……大丈夫。大丈夫だと……祈ろう。
万が一、博士が自爆という重大な機能を書き漏らしていたら…………再会した時に全力を持って退治しよう。封印魔法をしっかり覚えて……。
ガルダ達が昼食の準備をしているのを、ちょうど良い大きさの岩があったので腰を掛けてなんとなく眺める。手際よく準備を進めていく。
「…………」
特に何かする訳でもなく気を抜いているなか、気がかりな事が一つあった。
書置きのなかに説明がなかった数々のボタンやレバー。あれを操作したらどうなってしまうのか…………怖いが、一度どういう機能が備わっているのか試してみたい。
「……よし。フェル、サーペントちょっと来てくれ」
「うん!」
(どうしたんですか? ケルベロスさん?)
二人が近くに来てくれたところで、これからやろうとしている事を説明する。
「実はバスにまだ使っていないボタンやレバーがあるから試してみたいんだ。ただ、どんな機能か想像もつかないから少し離れて試そうと思う。サーペントはこの場に残ってガルダ達を見ていてくれ。フェルは一緒に来てくれるか?」
「うん! いいよ!」
(分かりました……ですが、大丈夫でしょうか?)
「確かにどんな機能か分からない。だから、ガルダ達から少し離れて……」
(いえ…………もしかすると自爆機能とか……)
「…………」
サーペントのその懸念は正しいかもしれない。
博士の事だ……もしかすると自爆機能を備え付けているかもしれない。となると試さない方がいいだろうか。足がなくなってしまうのは困る。
「……やっぱり、やめとくか」
「えー! 試してみようよ! 面白そうじゃん!」
俺とサーペントの遣り取りを把握していなかったフェルが、俺が取り止めようとすると腕を掴んで揺さぶって来る。
「いや、サーペントと話してみたんだけどな……もしかすると自爆機能があるかもしれないって……」
「自爆? 面白いじゃん! やってみようよ!」
「…………」
(…………)
俺とサーペントは目を輝かせるフェルを見て、久し振りに一般人の思考と不老不死はかけ離れている。さて、どう説得をすればいいか……。
フェルをいかに説得しようか悩んでいる間も、彼女は俺の腕を掴んで揺さぶり続ける。
……徐々にフェルの手に力がこもって掴まれている腕が痛い。肩のあたりに痛みが走る。そろそろ肩が外れそうだ……下手すると千切れるかもしれないので、やめてくれとお願いしよう。
「フェル、ちょっと一回腕を掴むのをやめてくれないか?」
「じゃあ、バスの機能試してみる?」
「いや……それは……」
「嫌だ! 試す!」
「痛いっ、本当に痛いからっ! フェ、フェルさん、力を緩めて! ねえ! 掴んでいる部分から汗のように血が滲んで来てる! ああああ……か、肩がっ! 肩がブチブチ音がしてる! げ、限界来てるから!」
「やーるーのー!」
とんだ駄々っ子だ!
ちびっ子を育てている世界中のお父さん、お母さん! 子供に腕を引き千切られそうになったら、どうしたらいいの!? 教えてください!
とにかくこのままでは本当に腕が千切れそうなので、俺はもはや彼女の要求に従うしかなかった。
こうして、当初の予定通りバスの未知なる機能を使ってみる事に。いや、まだ自爆機能があるとは決まった訳ではない。
きっと……大丈夫。大丈夫だと……祈ろう。
万が一、博士が自爆という重大な機能を書き漏らしていたら…………再会した時に全力を持って退治しよう。封印魔法をしっかり覚えて……。
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