死なない奴等の愚行
第132話 久し振り、お帰りください
複製ゴブリンを倒し、複製石を街で売り、フェルが叱られ、一週間ほどが経過した。
あれ以来、これといったトラブルはなく、平穏な日々を過ごす。
ああ、このまま平穏無事にハーフモンスターの国とやらに辿り着ければいいな…………そんなふうに思ってしまったのが間違いだったのかもしれない。
「元気だったかねケルベロスくんっ!」
「お帰りください!」
速攻で頭を下げてお帰りを願った。
日が沈み始め、ここで野営をする為に準備を始めた時だった。突然空中から何かが落ちて来たと思いきや、ジジイだった。
イモータルの魔道具開発担当、博士。
その肩書からは優秀そうに思えるが、そんな事はない。ただの危険人物だ。死なないから大丈夫といって、平気でイモータルの団員を実験に使おうとするマッドサイエンティスト。ジジイの魔道具に助けられたことはある。だが、それ以上に無茶をやらかす。魔道具によって敵に向かって一人突っ走らされたり…………ああ、そんな事もあったな……。
どんな用件で来たのか分からないが、みんなには野宿の準備をして貰い、何が起きてもみんなに危険がないよう離れたところで俺はジジイを相手をしている。
「はっはっは! そう照れるな!」
「照れる要素なんてどこにもねえよ! どうして来たんだ?」
「ああ、団長に頼まれてな……ほら、これだっ!」
博士は収納魔法によってしまわれた二つの細長いものを取り出した。
それに見覚えがあった。初陣で身につけていた魔道具の一つ、確か名前はガンだったか……。
「サーペントと融合してから戦闘能力は問題ないかと思ったが、毎回纏えるか分からんからなっ! 一人でもある程度戦えるようにと団長に頼まれ、届けに来たんだっ!」
「…………そうか」
いや、助かる。助かるのだが…………もっと早く欲しかった……。複製ゴブリンに何度もボコボコにされずに済んだかもしれない。あれのせいで、未だに年少組の俺に対する態度がよそよそしい。
だが、それはジジイやオッサンを責めるのは筋違いだ。こうして持って来てくれるだけでも、ありがたい。お礼をしっかり言うべきだ。
「ありがとう。じゃあ気を付けて帰ってくれ」
「はっはっはっ! 照れ隠しかっ! 本当は嬉しいんだろう!」
「嬉しいけど、帰って欲しいというのは素直な気持ちだ」
長居されると何をされるか分からない。ガルダ達を巻き込んで、何かをする可能性……というか危険性がある。早々にお帰りいただかなければ……。
「まあまあ、先程も見たがハーフモンスターをつれているのだろう? 是非使って欲しい魔道具が……」
「お断りします!」
俺がこのジジイからガルダ達を守らなくては……。
不老不死ではないので何かあれば、取り返しのつかない事にもなるかもしれない。
「これは……なかなかの出来なのだ。ハーフモンスターにはモンスターの特徴が酷似していてな、それを活かして作ってな。まあ、まだ実験段階なんだが」
「ちゃんと実験済ませてからにしろ! ほらっ、もうストレートに言うけど、帰れ!」
「むう……仕方ない。では、ハーフモンスター達への魔道具はまた次の機会にしよう」
諦めてくれたが、今回はだ。ガルダ達が少なくとも俺と居る間は、ジジイから守らないと……そう思いながら二つのガンを受け取る。
それと俺が収納魔法を使えない事を配慮して、ガンを収納する為の腕輪の形をした魔道具を用意してくれていた。これで年少組が誤って使ったりする事は防げるだろう。
「それじゃあ、帰るぞ! また来るからなっ! さらばだっ!」
ジジイは別れを告げると、急上昇してすっかり暗くなった闇夜に包まれた空へと消えた。
帰ったところで、俺は安堵して思わずその場に腰を下ろす。
ああ、何も起きなくて良かった……。
何事もなくジジイをやり過ごせた……そう思っていたのだが、翌朝になって俺は博士の爪痕に気付くのだった。
あれ以来、これといったトラブルはなく、平穏な日々を過ごす。
ああ、このまま平穏無事にハーフモンスターの国とやらに辿り着ければいいな…………そんなふうに思ってしまったのが間違いだったのかもしれない。
「元気だったかねケルベロスくんっ!」
「お帰りください!」
速攻で頭を下げてお帰りを願った。
日が沈み始め、ここで野営をする為に準備を始めた時だった。突然空中から何かが落ちて来たと思いきや、ジジイだった。
イモータルの魔道具開発担当、博士。
その肩書からは優秀そうに思えるが、そんな事はない。ただの危険人物だ。死なないから大丈夫といって、平気でイモータルの団員を実験に使おうとするマッドサイエンティスト。ジジイの魔道具に助けられたことはある。だが、それ以上に無茶をやらかす。魔道具によって敵に向かって一人突っ走らされたり…………ああ、そんな事もあったな……。
どんな用件で来たのか分からないが、みんなには野宿の準備をして貰い、何が起きてもみんなに危険がないよう離れたところで俺はジジイを相手をしている。
「はっはっは! そう照れるな!」
「照れる要素なんてどこにもねえよ! どうして来たんだ?」
「ああ、団長に頼まれてな……ほら、これだっ!」
博士は収納魔法によってしまわれた二つの細長いものを取り出した。
それに見覚えがあった。初陣で身につけていた魔道具の一つ、確か名前はガンだったか……。
「サーペントと融合してから戦闘能力は問題ないかと思ったが、毎回纏えるか分からんからなっ! 一人でもある程度戦えるようにと団長に頼まれ、届けに来たんだっ!」
「…………そうか」
いや、助かる。助かるのだが…………もっと早く欲しかった……。複製ゴブリンに何度もボコボコにされずに済んだかもしれない。あれのせいで、未だに年少組の俺に対する態度がよそよそしい。
だが、それはジジイやオッサンを責めるのは筋違いだ。こうして持って来てくれるだけでも、ありがたい。お礼をしっかり言うべきだ。
「ありがとう。じゃあ気を付けて帰ってくれ」
「はっはっはっ! 照れ隠しかっ! 本当は嬉しいんだろう!」
「嬉しいけど、帰って欲しいというのは素直な気持ちだ」
長居されると何をされるか分からない。ガルダ達を巻き込んで、何かをする可能性……というか危険性がある。早々にお帰りいただかなければ……。
「まあまあ、先程も見たがハーフモンスターをつれているのだろう? 是非使って欲しい魔道具が……」
「お断りします!」
俺がこのジジイからガルダ達を守らなくては……。
不老不死ではないので何かあれば、取り返しのつかない事にもなるかもしれない。
「これは……なかなかの出来なのだ。ハーフモンスターにはモンスターの特徴が酷似していてな、それを活かして作ってな。まあ、まだ実験段階なんだが」
「ちゃんと実験済ませてからにしろ! ほらっ、もうストレートに言うけど、帰れ!」
「むう……仕方ない。では、ハーフモンスター達への魔道具はまた次の機会にしよう」
諦めてくれたが、今回はだ。ガルダ達が少なくとも俺と居る間は、ジジイから守らないと……そう思いながら二つのガンを受け取る。
それと俺が収納魔法を使えない事を配慮して、ガンを収納する為の腕輪の形をした魔道具を用意してくれていた。これで年少組が誤って使ったりする事は防げるだろう。
「それじゃあ、帰るぞ! また来るからなっ! さらばだっ!」
ジジイは別れを告げると、急上昇してすっかり暗くなった闇夜に包まれた空へと消えた。
帰ったところで、俺は安堵して思わずその場に腰を下ろす。
ああ、何も起きなくて良かった……。
何事もなくジジイをやり過ごせた……そう思っていたのだが、翌朝になって俺は博士の爪痕に気付くのだった。
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