死なない奴等の愚行
第127話 本当にすることがないのでガルダと語らう
俺の足が無事に再生すると、既に力を失っている複製石を売る為に近くの街へと向かう事に。ちなみに御者をフェルではなく、ルリがやっている。
複製ゴブリンとの戦いで疲れただろうし、少しでもできる事を増やして役に立ちたいとの事でフェルに習いながら御者をしている。
……俺のやる事がなくなってしまうという焦りは募るばかりだ。
俺もフェルに教えて貰おうかち考えていたのだが、先を越されてしまった。
(でしたら一緒に子供の相手をしましょうよ)
そう俺を誘ってくれるサーペントだったが、それは無理だ。
先程複製ゴブリンと戦っていたところを子供達はがっつり見ていたようで…………ぐったり死にかけては復活する俺に怯えてしまっている。
頑張ったのにな、俺…………くすん。
(……そ、それならミヤさんやノイセさんは? あの子達の相手をしたらどうですか? 怯えている訳ではないようですし)
サーペント……二人はもう年頃の女性だ。そして絶賛女子トークで盛り上がっている。そこに入るのはゴブリンの大群に突っ込むよりも厳しいぞ。
「……はあ」
「お疲れですか? ケルベロスさん?」
「ん、いや……疲れているのはガルダの方だろ。悪いな結局戦わせてしまって」
「いえ、多少の荒事なら前の村で慣れていたので。ゴブリンくらいのモンスターはよく村に現れていたんですよ。小さい頃はまだ両親が居たんですが、亡くなってしまってからは私が戦わないといけませんでしたし……」
前に一度だけ村の事を聞いた。
彼の両親はハーフモンスターに理解ある人だったらしい。ガルダ以外に、ルリ、ミヤ、ノイセを何処からか引き取って、森の奥に村を作ったそうだ。それから何処から噂を聞いて、ハーフモンスターがやって来たり、ハーフモンスターとして生まれて来た子供を村に置いていく人も居た。
成長してやがて村から出て行くハーフモンスターも居て、またここの場所がばれてしまいハーフモンスターを奴隷として売ろうとしている。そんな風の噂によって、村に残ったのはこの場に居る者だけとなった。
そして……噂通り奴隷として売られてしまったらしい。
「でも、あれだけ戦えたなら村に来た連中も倒せたんじゃないか?」
「いや、その…………人を相手にした事がなかったので……情けない話、体が動かなかったんです。確かに抵抗できたかもしれませんが、相手もただでは済まないかと……」
相手の身を案じて手が出せなかったのか……。
確かにゴブリンを拳一発で絶命させるほどの力だ。あれだけの力を振るえば、下手すると人も死んでしまうだろう。
「ガルダは優しいんだな」
「いえ、臆病なだけですよ……ケルベロスさんこそ……えっと……何度も立ち向かう勇姿は感服いたしました!」
やっぱり優しい。ガルダは俺を傷つけないよう言葉を選んでくれた。
なんやかんやで一番ゴブリンを倒した数は三人の中で一番少なかったからな……俺。ガルダは途中から戦い始めたはずなのに。
「はあ……せめて魔道具があれば……」
(魔道具に頼っている時点で駄目ですよケルベロスさん。せめて、魔法が使えればいいんですけどね……)
サーペントの言葉に俺は溜息を吐く。魔力の量は多くあるのに、魔法が使えない。そういう体質なのだとマヤが以前言っていた。魔道具を使ったり、サーペントを身に纏ったりするのに魔力は必要になるので助かるのだが、一人だけでは魔力は宝の持ち腐れだ。
「ガルダ、ちょっと来てくれる?」
「ああ……すみません、ちょっと呼ばれたので失礼します」
「おう」
ミヤに呼ばれてガルダは俺から離れた。
これで話し相手も居なくなってしまった。何かする事もないので溜息を一つ吐いてから、仕方なくイモータルで身につけた心を無にする技術を使う事にする。
まさか一般人との旅で使う事になるなんてな……。
こうして俺は次の街まで無心であり続けたのだった。
複製ゴブリンとの戦いで疲れただろうし、少しでもできる事を増やして役に立ちたいとの事でフェルに習いながら御者をしている。
……俺のやる事がなくなってしまうという焦りは募るばかりだ。
俺もフェルに教えて貰おうかち考えていたのだが、先を越されてしまった。
(でしたら一緒に子供の相手をしましょうよ)
そう俺を誘ってくれるサーペントだったが、それは無理だ。
先程複製ゴブリンと戦っていたところを子供達はがっつり見ていたようで…………ぐったり死にかけては復活する俺に怯えてしまっている。
頑張ったのにな、俺…………くすん。
(……そ、それならミヤさんやノイセさんは? あの子達の相手をしたらどうですか? 怯えている訳ではないようですし)
サーペント……二人はもう年頃の女性だ。そして絶賛女子トークで盛り上がっている。そこに入るのはゴブリンの大群に突っ込むよりも厳しいぞ。
「……はあ」
「お疲れですか? ケルベロスさん?」
「ん、いや……疲れているのはガルダの方だろ。悪いな結局戦わせてしまって」
「いえ、多少の荒事なら前の村で慣れていたので。ゴブリンくらいのモンスターはよく村に現れていたんですよ。小さい頃はまだ両親が居たんですが、亡くなってしまってからは私が戦わないといけませんでしたし……」
前に一度だけ村の事を聞いた。
彼の両親はハーフモンスターに理解ある人だったらしい。ガルダ以外に、ルリ、ミヤ、ノイセを何処からか引き取って、森の奥に村を作ったそうだ。それから何処から噂を聞いて、ハーフモンスターがやって来たり、ハーフモンスターとして生まれて来た子供を村に置いていく人も居た。
成長してやがて村から出て行くハーフモンスターも居て、またここの場所がばれてしまいハーフモンスターを奴隷として売ろうとしている。そんな風の噂によって、村に残ったのはこの場に居る者だけとなった。
そして……噂通り奴隷として売られてしまったらしい。
「でも、あれだけ戦えたなら村に来た連中も倒せたんじゃないか?」
「いや、その…………人を相手にした事がなかったので……情けない話、体が動かなかったんです。確かに抵抗できたかもしれませんが、相手もただでは済まないかと……」
相手の身を案じて手が出せなかったのか……。
確かにゴブリンを拳一発で絶命させるほどの力だ。あれだけの力を振るえば、下手すると人も死んでしまうだろう。
「ガルダは優しいんだな」
「いえ、臆病なだけですよ……ケルベロスさんこそ……えっと……何度も立ち向かう勇姿は感服いたしました!」
やっぱり優しい。ガルダは俺を傷つけないよう言葉を選んでくれた。
なんやかんやで一番ゴブリンを倒した数は三人の中で一番少なかったからな……俺。ガルダは途中から戦い始めたはずなのに。
「はあ……せめて魔道具があれば……」
(魔道具に頼っている時点で駄目ですよケルベロスさん。せめて、魔法が使えればいいんですけどね……)
サーペントの言葉に俺は溜息を吐く。魔力の量は多くあるのに、魔法が使えない。そういう体質なのだとマヤが以前言っていた。魔道具を使ったり、サーペントを身に纏ったりするのに魔力は必要になるので助かるのだが、一人だけでは魔力は宝の持ち腐れだ。
「ガルダ、ちょっと来てくれる?」
「ああ……すみません、ちょっと呼ばれたので失礼します」
「おう」
ミヤに呼ばれてガルダは俺から離れた。
これで話し相手も居なくなってしまった。何かする事もないので溜息を一つ吐いてから、仕方なくイモータルで身につけた心を無にする技術を使う事にする。
まさか一般人との旅で使う事になるなんてな……。
こうして俺は次の街まで無心であり続けたのだった。
「コメディー」の人気作品
書籍化作品
-
-
238
-
-
310
-
-
140
-
-
127
-
-
4405
-
-
361
-
-
32
-
-
439
-
-
107
コメント