死なない奴等の愚行
第122話 ハーフモンスターの国への道中
オッサンに言われて、いざハーフモンスターの国へ。
共に行くメンバーは七人のハーフモンスター達、サーペントそして……。
「ケルベロスと一緒に旅できるなんてっ! ふふっ、匂い嗅ぎ放題だねぇ!」
オッサンが案内役、そして何かあった時の為の戦力としてつけてくれた。
元商人の悪魔を簡単に倒した実力者。戦力の面ではとても頼もしい。頼もしいが…………ずっと鼻をひくつかせて、満面の笑みを浮かべているのが気になる。俺の体臭は他の人と何が違うのだろうか。
まあ、フェルが居てくれるおかげで移動に幌馬車が使える。
さすが何百年と人生経験があると馬車の扱いも問題ない。俺は馬を巧みに操るフェルの横に座っているだけだ。ちなみにサーペントは纏っていない。匂いを嗅ぐのに邪魔になり、フェルを怒らせてしまうので控えている。
今サーペントは、後ろでハーフモンスター達と遊んでいる。
ちなみにハーフモンスターたちの名前をさすがに聞いた。引き取ったばかりの時は正直どうしようかと悩んでいたので名前を聞いていなかった。
ハーフモンスター達の代表である両腕が黒い岩肌のような男はガルダ。ガルダよりやや歳が下と思われる三人の女性はミーア、リルナ、シャラ。十歳に満たないだろう二人の女の子はルリ、ミヤ。女の子と同じくらいの歳の男の子はノイセ。
ハーフモンスター達は俺がアレッサを救った事で、だいぶ心を開いてくれた。ガルダはまるで舎弟のように十分に一度は「何かやる事はありませんか?」と声を掛けて来る。小さな子供達はみんなサーペントと遊ぶのに夢中だが、ミーア、リルナ、シャラは積極的に炊事をおこなってくれる。
奴隷になる前まではこの三人が中心となって家事を行っていたようだ。
正直助かった。俺やサーペントはそういった経験はない。フェルも残念ながら料理に関しては経験があまりないらしい。何度かチャレンジしてみたことはあるそうだが、途中で止められてしまうそうだ。いったい何をしたのやら……。
「ケルベロスさんっ! 何かすることはありませんか?」
「いや、特にな……いや、もう少ししたら食事にしたいから、みんなに準備をするよう伝えて貰えるか?」
「分かりました! あ、フェルさんは何かありますか?」
「美味しいご飯!」
「分かりました! みんなに伝えます!」
そう言って再び後ろに引っ込むガルダ。ちなみにフェルに対しては、最初から心を開いていたような気がした。フェルの見た目がハーフモンスターのようだからかもしれない。
すぐに打ち解けてくれて良かった。警戒されて重い空気の中、共に旅をするというのは辛いからな。
こうして先程ガルダに告げた通りに食事をとる為、フェルに幌馬車を止めて貰った。すぐに調理器具や食材を手にしてみんなが幌馬車から飛び出す。
ルリ、ミヤ、ノイセは火を熾す為の枝を拾い集める。ミーア、リルナ、シャラは具材を切り、ガルダはせっせと竈を作る。
俺とフェルとサーペントはそれを見る。
…………俺なんもしてないな。
フェルは幌馬車を動かしているし、サーペントは子供達と遊んでいる。
俺は本当に何もしていない。誰からもそれを責められてはいないが、この旅で俺の中に罪悪感が膨れ上がっていた。
何度か手伝おうと声をかけるのだが……。
ガルダは「ケルベロスさんは休んでいてください! こんな雑用は奴隷がやるべき仕事ですから!」と言う。
ミーア、リルナ、シャラは「ケルベロスさんにそんなことはさせられません! 私たちの料理を美味しく召し上がっていただければ充分です!」と言う。
ルリ、ミヤ、ノイセは声を揃えて元気良く「だいじょうぶ! ケルベロスさんはゆっくりしていてください!」と言われてしまった。
…………みんな、良い子だな。
だけどね、俺を働かせてくれないかな? 俺、座ってるだけなんだ……。
フェルから馬の扱いを教えて貰おう。
俺は現状から脱却する為にそんなことを思うのだった。
共に行くメンバーは七人のハーフモンスター達、サーペントそして……。
「ケルベロスと一緒に旅できるなんてっ! ふふっ、匂い嗅ぎ放題だねぇ!」
オッサンが案内役、そして何かあった時の為の戦力としてつけてくれた。
元商人の悪魔を簡単に倒した実力者。戦力の面ではとても頼もしい。頼もしいが…………ずっと鼻をひくつかせて、満面の笑みを浮かべているのが気になる。俺の体臭は他の人と何が違うのだろうか。
まあ、フェルが居てくれるおかげで移動に幌馬車が使える。
さすが何百年と人生経験があると馬車の扱いも問題ない。俺は馬を巧みに操るフェルの横に座っているだけだ。ちなみにサーペントは纏っていない。匂いを嗅ぐのに邪魔になり、フェルを怒らせてしまうので控えている。
今サーペントは、後ろでハーフモンスター達と遊んでいる。
ちなみにハーフモンスターたちの名前をさすがに聞いた。引き取ったばかりの時は正直どうしようかと悩んでいたので名前を聞いていなかった。
ハーフモンスター達の代表である両腕が黒い岩肌のような男はガルダ。ガルダよりやや歳が下と思われる三人の女性はミーア、リルナ、シャラ。十歳に満たないだろう二人の女の子はルリ、ミヤ。女の子と同じくらいの歳の男の子はノイセ。
ハーフモンスター達は俺がアレッサを救った事で、だいぶ心を開いてくれた。ガルダはまるで舎弟のように十分に一度は「何かやる事はありませんか?」と声を掛けて来る。小さな子供達はみんなサーペントと遊ぶのに夢中だが、ミーア、リルナ、シャラは積極的に炊事をおこなってくれる。
奴隷になる前まではこの三人が中心となって家事を行っていたようだ。
正直助かった。俺やサーペントはそういった経験はない。フェルも残念ながら料理に関しては経験があまりないらしい。何度かチャレンジしてみたことはあるそうだが、途中で止められてしまうそうだ。いったい何をしたのやら……。
「ケルベロスさんっ! 何かすることはありませんか?」
「いや、特にな……いや、もう少ししたら食事にしたいから、みんなに準備をするよう伝えて貰えるか?」
「分かりました! あ、フェルさんは何かありますか?」
「美味しいご飯!」
「分かりました! みんなに伝えます!」
そう言って再び後ろに引っ込むガルダ。ちなみにフェルに対しては、最初から心を開いていたような気がした。フェルの見た目がハーフモンスターのようだからかもしれない。
すぐに打ち解けてくれて良かった。警戒されて重い空気の中、共に旅をするというのは辛いからな。
こうして先程ガルダに告げた通りに食事をとる為、フェルに幌馬車を止めて貰った。すぐに調理器具や食材を手にしてみんなが幌馬車から飛び出す。
ルリ、ミヤ、ノイセは火を熾す為の枝を拾い集める。ミーア、リルナ、シャラは具材を切り、ガルダはせっせと竈を作る。
俺とフェルとサーペントはそれを見る。
…………俺なんもしてないな。
フェルは幌馬車を動かしているし、サーペントは子供達と遊んでいる。
俺は本当に何もしていない。誰からもそれを責められてはいないが、この旅で俺の中に罪悪感が膨れ上がっていた。
何度か手伝おうと声をかけるのだが……。
ガルダは「ケルベロスさんは休んでいてください! こんな雑用は奴隷がやるべき仕事ですから!」と言う。
ミーア、リルナ、シャラは「ケルベロスさんにそんなことはさせられません! 私たちの料理を美味しく召し上がっていただければ充分です!」と言う。
ルリ、ミヤ、ノイセは声を揃えて元気良く「だいじょうぶ! ケルベロスさんはゆっくりしていてください!」と言われてしまった。
…………みんな、良い子だな。
だけどね、俺を働かせてくれないかな? 俺、座ってるだけなんだ……。
フェルから馬の扱いを教えて貰おう。
俺は現状から脱却する為にそんなことを思うのだった。
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