死なない奴等の愚行
第96話 幽霊船と味方の凶刃
一部海水がなくなった事に驚きの声を上げる団員達。
「なんだこりゃ!? おい海なくなってんぞ!」
「マジだ! どうなってんだ!?」
「あれは、たぶん蒼海の死霊騎士だねぇ」
「そうなのかユーリ? あっ! あそこに居るじゃねえか! そういえば、あの中にケルベロスが居るってユーマが言ってたな」
「じゃあケルベロスの力でもあるって事か」
「あいつも順調にイモータル化してんな」
イモータル化って何だよ!
言った奴とは距離があったので心の中で俺は叫んだ。何だよイモータル化って……人間離れしていってるって事か? …………否定はできないな。
こうして融合なんてしちゃったりと、普通の人間ではありえない事が自分の身に起きている。こんな事になるなんて入団したての時には予期できなかったなぁ。
などと入団した時の事を思い出して、懐かしい気分に浸りながら海がなくなった海底で身動きのとれなくなった海賊船を見てみる。船は横転していて海賊達があり得ない状況に騒いでいるのが分かる。
(このまま海を元に戻しても全滅しそうですね)
「そうだな……船もあの状態じゃ、浮かび上がるのは難しいだろ」
という訳で元に戻した。再び海水が戻っているのを見て、慌てて海賊船の上に飛び乗る奴も居た。このまま放置しても船は浮かび上がらないとも思ったが、念の為海賊船を破壊しておく事にする。
海を元に戻す際に海賊船に向かって勢いよく放水をし、その水圧で船体に穴を開けていく。こうして二度と船は浮かび上がる事はなかった。
「とりあえず一仕事終えたな」
(そうですね。残っている海賊船もほとんどありません)
サーペントの言う通り確かに今も浮かんでいる船は少ない。それも航行可能な船はイモータルの団員が制圧しており、海賊は全滅していた…………あの船を除いて。
「あの幽霊船はまだ健在だな」
(はい……まだ戦ってるようですね)
他の海賊船とは全く異なる海賊船。確かダンが幽霊海賊団のファントムと言っていた。
船上では髑髏を連想させる仮面を付けた海賊と交戦している。珍しく普通に戦っているように見えた。
だが、それも時間の問題だろう。他の海賊の相手を終えた団員達が続々と幽霊船へと集まっていく。個々が強い連中が集まれば、どんな相手でも力押しで倒せるだろう……と思っていたが、この幽霊海賊団は一筋縄ではいかなかった。
クレアが再び包丁を巨大化させて幽霊船へと振り下ろそうとしたのだ。先程の船と同様に両断するつもりだ。オッサンを始めとするイモータルの人間が船に居るのだが、お構いなしに振り下ろす。
そして船底まで包丁を振り下ろし、元の大きさに包丁を戻す。そしてクレアは首を捻った。
彼女の反応は当然のものだった。いつまで経っても船は真っ二つになって転覆しないのだ。船には一切傷が付いていない……傷付いたのは船に居た一部の団員だけだ。クレアの凶刃に巻き込まれて肩からばっさりと腕を切断した団員の姿が見える。
不思議そうにしているクレアのもとにマヤが近付く。そして何かクレアに話して、元のサイズに戻った包丁に魔法を掛ける。魔法を掛け終えると、これで大丈夫とばかりにマヤは親指を立てる。
マヤに魔法を掛けて貰った包丁を再び巨大化させる。そして今度はたた振り下ろすだけでなく、船底に包丁が達しても動きを止めず、くるりと一回転させ再び包丁を振り下ろした。器用に巨大包丁を何回転もさせて、船を切り刻んでいったのだ。さながら乱切りである。
だが、幽霊船はノーダメージ。船に居たイモータルの団員達は大ダメージ。うん、薄々こうなるような気がした。体がバラバラになって動けなくなっている団員も居て、海賊は戸惑って動きを止めているようではあるが……。
クレアとマヤは斬れない海賊船に対して不思議そうに首を傾げているようだった。いや、斬れない幽霊船よりも、もっと気にするべき事があるぞ。味方をバラバラにしている事とか。
そんな二人のもとへ博士が近付いた時には、幽霊船に居る団員達に避難を呼び掛けようかと思った。
「なんだこりゃ!? おい海なくなってんぞ!」
「マジだ! どうなってんだ!?」
「あれは、たぶん蒼海の死霊騎士だねぇ」
「そうなのかユーリ? あっ! あそこに居るじゃねえか! そういえば、あの中にケルベロスが居るってユーマが言ってたな」
「じゃあケルベロスの力でもあるって事か」
「あいつも順調にイモータル化してんな」
イモータル化って何だよ!
言った奴とは距離があったので心の中で俺は叫んだ。何だよイモータル化って……人間離れしていってるって事か? …………否定はできないな。
こうして融合なんてしちゃったりと、普通の人間ではありえない事が自分の身に起きている。こんな事になるなんて入団したての時には予期できなかったなぁ。
などと入団した時の事を思い出して、懐かしい気分に浸りながら海がなくなった海底で身動きのとれなくなった海賊船を見てみる。船は横転していて海賊達があり得ない状況に騒いでいるのが分かる。
(このまま海を元に戻しても全滅しそうですね)
「そうだな……船もあの状態じゃ、浮かび上がるのは難しいだろ」
という訳で元に戻した。再び海水が戻っているのを見て、慌てて海賊船の上に飛び乗る奴も居た。このまま放置しても船は浮かび上がらないとも思ったが、念の為海賊船を破壊しておく事にする。
海を元に戻す際に海賊船に向かって勢いよく放水をし、その水圧で船体に穴を開けていく。こうして二度と船は浮かび上がる事はなかった。
「とりあえず一仕事終えたな」
(そうですね。残っている海賊船もほとんどありません)
サーペントの言う通り確かに今も浮かんでいる船は少ない。それも航行可能な船はイモータルの団員が制圧しており、海賊は全滅していた…………あの船を除いて。
「あの幽霊船はまだ健在だな」
(はい……まだ戦ってるようですね)
他の海賊船とは全く異なる海賊船。確かダンが幽霊海賊団のファントムと言っていた。
船上では髑髏を連想させる仮面を付けた海賊と交戦している。珍しく普通に戦っているように見えた。
だが、それも時間の問題だろう。他の海賊の相手を終えた団員達が続々と幽霊船へと集まっていく。個々が強い連中が集まれば、どんな相手でも力押しで倒せるだろう……と思っていたが、この幽霊海賊団は一筋縄ではいかなかった。
クレアが再び包丁を巨大化させて幽霊船へと振り下ろそうとしたのだ。先程の船と同様に両断するつもりだ。オッサンを始めとするイモータルの人間が船に居るのだが、お構いなしに振り下ろす。
そして船底まで包丁を振り下ろし、元の大きさに包丁を戻す。そしてクレアは首を捻った。
彼女の反応は当然のものだった。いつまで経っても船は真っ二つになって転覆しないのだ。船には一切傷が付いていない……傷付いたのは船に居た一部の団員だけだ。クレアの凶刃に巻き込まれて肩からばっさりと腕を切断した団員の姿が見える。
不思議そうにしているクレアのもとにマヤが近付く。そして何かクレアに話して、元のサイズに戻った包丁に魔法を掛ける。魔法を掛け終えると、これで大丈夫とばかりにマヤは親指を立てる。
マヤに魔法を掛けて貰った包丁を再び巨大化させる。そして今度はたた振り下ろすだけでなく、船底に包丁が達しても動きを止めず、くるりと一回転させ再び包丁を振り下ろした。器用に巨大包丁を何回転もさせて、船を切り刻んでいったのだ。さながら乱切りである。
だが、幽霊船はノーダメージ。船に居たイモータルの団員達は大ダメージ。うん、薄々こうなるような気がした。体がバラバラになって動けなくなっている団員も居て、海賊は戸惑って動きを止めているようではあるが……。
クレアとマヤは斬れない海賊船に対して不思議そうに首を傾げているようだった。いや、斬れない幽霊船よりも、もっと気にするべき事があるぞ。味方をバラバラにしている事とか。
そんな二人のもとへ博士が近付いた時には、幽霊船に居る団員達に避難を呼び掛けようかと思った。
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